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〝ユメ〟  作者: ミーケん
【現実編】file2 噂の脅威
10/12

data4 違和感

違和感は真実を照らす。

 ふと僕は自分の発した言葉に違和感を覚える。

 なんで知らない人の名前を知っているんだ?いや、というかそもそもどうして僕はこんなことを考えていた?さっきまでなにを考えていた?

 なにか重要なことを忘れている。

 それだけはわかるのにそれがなにかが全くわからない。重要ななにかのことを僕はうっかり偶然空いた落し穴に落ちて、そのまま忘れてきたかのように不思議な感覚に陥る。落ちて陥る。

 理解が自分を追い越して、公式がわからないのに問題が解けたような消化不良感。

 自分が理解を追い越して、習ったことのない問題を偶然解けてしまったような不自然。

 なにかを完全に忘れたのについさっきまではそのことについて考察していたかのような違和感がそこにはあった。

 この気持ちはなんだ?

 怖い。

 見えるのが怖いんじゃない。なにも見えないのが怖いのだ。

 そうだ。何にでも人間は見えないことや分からないことに恐怖する。

 人間が得る情報の大半は視覚に頼りきっている。そのため、暗闇に閉じ込められると恐怖するし、感覚も狂っていく。それは人間の本能的なものなのだ。暗闇は情報が遮断される。そうなればいつなにがどのように現れるかも知れない。

 人間の危機回避能力は情報の遮断を恐怖するのだ。


 では、僕は一人それを諦めることにしよう。そうして恐怖から逃れることにしよう。そうすれば僕は平常心を保てるのだから。これ以上の恐怖を味わうことなんてなくなるんだから。

 僕の座右の銘は『諦めることに意義がある』だ。たしかそうだった気がする。

 諦めるという行為は一般的に悪い印象を持たれているが、それは間違いだ。諦めるというのはつまり自分のことを理解しているということ。つまり、不用意なことは望まず、不必要なことは得ない、四捨五入の精神である。

 僕はそんな僕のことを気に入ってるし、それなりに好きだ。それなりに信用もしているし、自分のことはある程度は正しいと思っている。そうだった気もする。


 でも、だからこそ僕はそんな違和感を覚える。

 なぜ僕は忘れた?なぜ僕は覚えていない?なぜ突然こんなことを考えている?


 ──あぁ、なぜなんだろうか。


 気づけばカーテンを透けて光が漏れていた。

 思考を巡らせていると時間が早い。しかし、これだけ考えていても僕はこの違和感を解消させることは出来なかった。

 あぁ、だめだ。

 こんな思考状態で僕は学校に普通に白々とした顔で登校することができるのだろうか。

「まぁ、いいか」

 僕は小さく気持ちを吐露すると、さっさと準備を始めた。


 さて、登校中特になにもなく僕は学校についた。

 ついてしまった。

 そしてまた、それが僕を責める。なぜかはわからないが、なにもわからない違和感を感じる。それはどこまでも僕を縛り付け、離さない。

 なにかがおかしいと叫んでいる。


 教室に着く。

 そして、僕は気がついた。この教室には空席が"ありすぎる゛ことに。

それが意味することとは?


next→【幕間】ニ

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