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団欒 3

「遊んでてモテる方と言えるかもしれないし、羨ましがる男もいるんだろうけど、俺はいつも捨てられる方で、結局は大した男じゃないから」

 リュートは、普段のジュンの周りにはいないタイプだ。

 リュートはこれは言っても平気かなと首を傾げて呟いた後、

「物足りなくなるんだと思います。愛されていると信じられないから」と、言った。

 満たしきれないから、離れてはいくのだろう。

 女の気持ちが分からないとただ馬鹿にされるのも嫌だが、説明されるとまた辛いものがある。

「俺が、きついから」

「ジュンさんは優しいですよ。でもその優しさは、誰にでも与えられるものでしかない。自分だけは特別だって思いたいんです、女は」

 リュートが力説する番だった。

「遊びと割り切って近付いて来る女も?」

「心のどこかでは、本気になってもらえると信じているんです」

「でも俺が熱心に掻き口説いたら、なに本気になってんのって馬鹿にされて捨てられたこともあるけど?」

 一瞬リュートが、それはと言い掛け口ごもる。そのあとで言葉を続けた。

「嬉しいと同時に、不安になったんだと思います。ここで人生決めていいのかなって」

 リュートの言葉は説得力がある。そう言うものなのかも知れないという気分はした。

 しかし、それとこれとは話が別だ。

「女って、わかんねー」

 ジュンは椅子にそっくりかえる。

 

 ドアが開いて、喧嘩を引き離されたヨウが、リュウに連れて来られた。リュウはシンクの前に踏み台を出して、ヨウに手と顔を洗わせる。

 同じことはシュリも洗面所の方で、ランにされているだろう。

「喧嘩したら駄目だって言ってるだろう?」

 ジュンも一応、注意する。

「だってシュリ、偉そうなんだもん」

 男の時の、のたのたした喋り方と違い、ポンポンと勢いがいい。

 シュリは男の時も偉そうで子分扱いするが、ヨウはそれを喜んでどこにでもついて回る。

 女のヨウは、自己主張もある。割れ鍋に綴じ蓋というのは、こういうことかと思えた。

 

 流しに置かれたデザートの器を指してヨウが、

「チョコ食べたよ」

「おいしかったか?」

 聞いてやると、うんと無邪気に頷く。

 男の子の時と違って、女の子のヨウは汚い言葉は使わない。

「ジュン姉ちゃんのぶんは、ないんだよ」

「え。そうなのか?」

 ジュン自身は、別にどうでもいい。

「うん。マルソーが落としたから」

「あー。姉ちゃん怒るぞー」

「マルソーが悪いんだよ。チョコがくまさんだから、喜んで落っことしちゃったの」

「マルソー、泣いただろう?」

「うん。可愛そうだからあたし、自分のぶん一口あげたの」

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