四角関係?? 3
ジュンにどうこうできることではない。
リュートがジュンをどう思っているか分からないのに付き合うのを決めるのも、リュウがよりを戻したいわけでもないのに、復縁を迫るのも変だろう。
「前に付き合っていたこともあるし、私よりあの人の方がいいですよね?」
リュートは、ジュンでもいいと思っているのか?
それとも女のジュンが笑顔だけ向けるように、気を使っているだけなのか?
本音を言えば、ジュンを捨てない方ならいい。女のジュンだって、捨てられるかも知れない。
ジュンが曖昧に口を濁しているとランが、口を挟む。
「男の身勝手と思われるよ」
今日のランは珍しく、ジュンの男女関係に突っ込んでくる。リュウとは別れたといったときも、仕方ないねと言っただけだ。
色々言いたいことは、あったのかもしれない。
ジュンは苛立つ。
「悪いけどさ。今すぐ結論を出さなきゃいけない話か? 俺がリュートをどうこうするって言うのか。可愛いと思うが、そこまで飢えちゃいない。お前だって、俺と付き合いたいとか思ってるわけじゃないんだろう? 俺とはさっき会ったばっかりじゃないか。時間かけてもいいはずだろう?」
身を乗り出して、リュートに力説する。リュートは困惑げに頷いた。
きっぱり断れないだけか、心に男に対する隙があるのか。
「あの子だって、あんたが気付くのを待ってたんだよ」
ランは、溜息混じりに言う。
「え。リュウ? リュウが何を気付いて欲しがってたって?」
「気付いて欲しくて、同時に気付いて欲しくない。女心だね」
ジュンは、匙を投げた。
「あー、もう、分かるかよ」
投げ出した後で、溜息を吐く。
「だから俺は、頭が悪いってわけか。この俺の所為で、女の時の俺まであんたに愛想尽かされたらどうしよう。なあ、男の時はこんな俺でも、男のあんたは女の俺と付き合いたいと思う?」
ジュンの所為で振られたとなったら、女の俺はジュンを許してくれないだろう。
男の時は、女の時は、こんな最低な人だとは思わなかったと破局するカップルも珍しくない。
「それを言うならあんなことで怯える男の私は、情けなくないですか? 愛想尽かされるのは私の方かも」
リュートは不安げに眉を顰める。
女のリュートも推測では、男のリュートはまだ女のジュンに未練があるということか。まあ、情けないと言えば情けない。女のジュンがどう思うかは、不明だ。
しかし男といっても、心が鉄でできているわけではない。
「俺は男の時でも虫は嫌いだ。情けないと笑いたければ笑えばいい」
ジュンはきっぱり言い切る。




