四角関係?? 2
やがて、食事ができた合図がする。
ジュンは三人のチビ(内訳はマルソーとシュリが女で、ヨウが男)をリュウに託して、ダイニングキッチンに向かう。
メニューは、揚げた芋に、野菜と米を詰めた肉、サラダとパスタ。サラダもパスタも好きな量を各自とる。
リュウが子供を見ているので、ランはキッチンに残った。
ジュンはたっぷり、リュートはちょっぴりとる。ランに聞かれるまま、バグにやられた時と髪切りに会った時の様子を語る。
ランも便利屋として揉め事収拾が仕事だから、事件や事故に関わる話には強い関心がある。外で見かけた事件や事故なども、ランには極力語るようにしていた。
ランは腕組みしてカウンターに凭れて、いつものように話を聞く。
「それで腰が砕けるほど、ベルにやにさがってたのかい」
「腰が抜けかけたのは重いからだ」
「でも、やに下がってたのは確かなんだろう? この子は悪い子じゃないんだけど、女に関してはルーズだから」
ランがリュートに警告する。
ルーズなつもりはないが、好みでない男を一切近づけない女のジュンの物堅さから言えば、ルーズなのだろうか。
しかし二股かけたり、未練たらしく関係を続けるような真似はしていない。
リュートは俯きがちに、
「私とは釣り合い取れないですよね」
事実そうなんだろうが、結構きつい言葉だ。
「やっぱり変かな。男の時だけじゃなく、女の時も。俺のが四つも上だろう?」
リュートが、男のジュンとでもいいと言うなら、それならそれでいいと思うが、世馴れていないリュートは、ジュンからすると子供に見える。
自分の方から、アプローチする気にはなれない。
ジュンが出ずっぱりだったもので、女のジュンはまともに十代を過ごしていない。いまだに十代のつもりでいるのかもしれないが、よりにもよって年下を選ぶのだから。
業界人と言うのは物慣れた者が多いから、ジュンにしたら選択肢が狭くて仕方がなかったのかも知れない。
付き合っている女と寝たいと言うのは、不真面目さとは関係ない。寝たいがために付き合っている様子もない。
たとえそうでも、ジュンがやめておけという義理はない。本人が真剣なら、仕方がない。
本気である分、振られた時に傷つくのは可哀想な気もするが。
ランは溜息を吐いて、頭を振る。
「本当に馬鹿な子だよ」
ジュンだって、色々考えている。
ジュンのどこが馬鹿なのか。ジュンの頭の中身を、見せてやりたいものだ。
「馬鹿じゃない」
「馬鹿じゃないなら、二人のリュウをどうするんだい?」
「それを俺に聞くな」




