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四角関係?? 1

 リュウは、細い目でしばらく黙ってジュンを見下ろした後。

「心配する場所が、違うだろう?」

「そうか?」

 リュウも頭のいい方だ。ジュンにとって、友人付き合いしたい系統ではない。

「剃り残しを剃るのに、女の俺じゃ心許ないから変わっただけだ。人の女をとるほど、馬鹿じゃないよ俺は」

「ふうん」

 リュウはなぜか嫌そうに俺を見て、

「女の俺のことは俺に聞くな。管轄外だ」と、強い口調で言う。

 誰も、そんなことは聞いていない。だが、リュウ(女)がどう言う気だったのか知りたい。

 別れた後も友人として付き合っている他の女達と同じで、完全にジュンのことなど吹っ切っているのか。

 よりを戻すと言うのも、ジュンとリュートをからかったものか。

「本人に聞くしかないのかな?」

「本人は、答えないって言う選択もあるけどな」

 そうなのだ。

 からめ手も無理なら、正攻法も無理。

 女のジュンになら、リュウの気持ちも分かるのかもしれない。

 脳も記憶も共有しているが、回路は違う。思考形態が違う分、相手が考えたことの全てが分かる訳ではない。

 

 ジュンは溜息を吐き、右側だけレイヤーを入れられ不揃いになった髪を弄ぶ。

「あいつ、怒るだろうな。髪だけは綺麗に伸ばしてたから」

 男の自分にも、長髪が似合う。ジュンはいつも、一つに縛っていた。

「肩より上でボブに切り揃えたら? 幼く見えるし、若い方が得じゃないのか?」

「それだと、今のドラマのエキストラ役は来なくなるかも」

「男のままなら、仁侠ものでも青春ものでも、オファーがやまほどくるだろう?」

 男のジュンは、スカウトされたことは一度や二度ではない。ポルノ関係も多い。

 相手に不自由はしていないし、そこまで好き者でも、撮影されて興奮する趣味もない。

 ちびっこの面倒をみるという問題はあるが、ランのところで働く方がずっと面白い。

「演技したいって言う気持ちは、俺にはわかんねぇ」

 性別が固定されていた過去の時代、男に生まれていれば、女に生れていればもっと幸せで違う人生を送れたかもしれないと人々は思っていたらしい。

 確かに、男と女では人生が違う。どちらでいることが、より幸せかはわからない。

 綺麗な顔に生まれたから女に生まれればよかったと思って、クヨクヨ悩むような特権は前時代のものだ。

 女に生まれていれば、そもそもその外見は得られなかったことを、ジュン達は知っている。その点、ジュン達の内面は進化しているかもしれない。

 肉体的に性差が目立たなくなり、脳内物質の分泌で、肉体レベルで性別がシフトする人間が最初に現れた時は、性別が変わるなど蛙やミジンコレベルに退化したなどと騒がれたものらしいが。

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