表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/35

チェンジングボーイ8

「偶然会ったんだ。来たいっていうから。迷惑だったか?」

 ランは溜息を吐いて、頭を振る。

 いかにも馬鹿にしている。

 言っても無駄だとばかりに、ランは話を変えた。

「それで。今日はどうするの?」

 二人になりたいとは言われたが、男のジュンともいたいかどうか。それにジュンが女に戻っても、そんな気にはなれないかもしれない。

「働いたら腹減ったってリュウは言ってたけど、女になったらあまり食う気も出ないかもな。俺は腹が減ったんで、ちゃんと食事にしたいけど」

 二十歳を過ぎても、まだ腹は減る。

「三人分用意しよう。その間、この子たちを見ていておくれ」

 二人のリュウも心配だが、子供達を放っておいて、悪戯をされてもかなわない。遊んでもらえそうだと敏感に察知して、シュリ達はジュンの手を引っ張る。

「ジュン。ヒヨコ見た? ヒヨコ」

「ヒヨコ? アヒルじゃないのか?」

 背の高いジュンは、幼児と手を繋ぐと腰を曲げなくてはいけない。

「ヒヨコだもん。黄色いもん」

「アヒルも黄色くないか?」

「アニメのアヒルと一緒にするな、バーカ」

「そうだっけか?」

 ジュンが教えなくても、家で悪い言葉は覚えている。

「ほら。見て見て」

 言われなくても見えている。

 飾り棚の下の玩具スペースの箱の中に、黄色いアヒル(ヒヨコか?)が五匹、蹲っている。

 シュリが箱を乱暴に傾ける。ヨウもせっせと、ヒヨコを掻き出す。

「あー、こら、お前ら全部出すな」

 ジュンは慌ててヒヨコを掴もうとするが、起動状態に入ったヒヨコはヨタヨタペタペタいっせいに散らばる。

 一番チビのマルソーが奇声を発して、ヒヨコを追いかけて走り出す。

「ほらー、捕まえるの大変なんだから。マルソー、またこけるぞ、お前」

 興奮してマルソーは、男の子になっている。女の子供は、男の子供より大人しい。

「撫でたら大人しくなるんだぞ」

 シュリとヨウはヒヨコを捕まえ、床に引き延ばすかのようにヒヨコの体を押さえ付ける。本当の生き物なら、ぺちゃんこだな。

 アヒルは(やっぱりアヒルだろう)ガアガア鳴いて、抗議する。

「ほら、嫌がってる、嫌がってる。お前らには無理だって。こうして優しく撫でてやるんだ。ほら見ろ。こうだ。よしよし」

 ヨウの手から逃れてきたアヒルの背を、ジュンはそっと撫でる。アヒルは撫でられて大人しくなる。

 虫と違って、鳥や獣は平気だ。

 ジュンは、気配に気付いて顔をあげる。洗面所から、リュウが出てくる。

「あー、そう言うふうにしたんだ。いいんじゃない」

 剃られた部分に長髪の付け毛をつけて、後ろで縛っている。

 男のリュウが新しい髪形を気に入っても、女のジュンはあのままだとショックを受けたはずだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ