チェンジングボーイ7
子供達が、ジュンの右手と左手に取りつく。右腕によじ登ろうとするので、それは振り落とす。
「ばい菌ついていたらいけないから、触っちゃだめ」
両手に子供をぶらさげ、ランの机まで連れていく。
年長の男の子は、シュリとヨウ。今は女の子になっているのがマルソーだ。
「ほら、解毒剤」
ランは小瓶と救急箱を、机の端に押しやる。
「早いな」
ジュンは机に尻を預け、救急箱を開けた。
五歳のシュリがジュンの片膝に跨って、馬がわりにする。
「ガチャガチャしてて、落ちてもしらねーぞ」
「追跡はまだだけど、下手人を上げるかい?」
従業員の健康管理と、仕事中の問題責任はランにある。プライベートで揉め事に巻き込まれた場合は、ジュンからも金を取る。
ひったくりを捕まえた時は、ボーナスが出たが。
「そっちはいい。髪切りのことで、後で世話かけるかも知れない。五人の内の一人は、政府要員かラボの子供だ。第四セクトの侵入許可を持っていた。二人は捕まえて、確認とった。一人は逃げていったが、そっちはラボを当たれば、俺にでも調べられる」
そこまで言って、ジュンは思い出し笑いをする。
「金持ちのガキな。背中に派手な痣ができてるかも。忘れ物の鋏を返してやった」
いい気味だと笑うジュンを、ランも嗜めない。
ヨウは脛に抱きついて、ぶらさがっている。子供にかかると、ジュンはアスレチックジムだ。
マルソーは床に座って、積み木遊びの続きに戻る。
「相手が悪かったね。よく知りもしない相手と関わるのに、これで少しは懲りるだろうよ」
まったくだとジュンも思う。
金や、有名な親がもみ消してくれると思っているガキには、一度お灸を据えてやる必要がある。
ジュンはガーゼに薬を塗りつけたものを、腫れている箇所に貼り付けた。
「二人は?」
「洗面所へ。リュウが、髪をどうにかするのを手伝うって」
ランの言葉を聞きつけて、口をはさまれる。
「ジュンは、リュウ姉ちゃんに捨てられたんだよな」
小さい子供というのは、侮れない。
「失礼だが、的確なコメントだな」
シュリの奴は、嬉しそうに胸を張る。
「褒めてないぞ」
ジュンはシュリの頭をつついた。シュリは不貞腐れて見せる。
「あっちの子が、あんたの言ってた?」
「ああ。名前はリュウだ」
同じ屋根の下で家族のように暮らしていると言っても、ジュンも立派な大人だ。一々付き合ってる相手の話など、詳しくはしない。
「それであの子の方も、連れて来たのかい?」
ランにかかると、ジュンより一つ上のリュウもあの子になってしまう。




