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サトリの異世界楽隠居譚  作者: 夢落ち ポカ(現在一時凍結中)
第二章 転生(憑依)して超頑張ったら学園に入学しちゃったよ
22/46

第21話 駄々を捏ね繰返してみました

今回は短いので早めに投稿しました。

が、次から長くなりますので今日はこれまでで、また21日の20時に投稿します。

突発的な変更に申し訳ありません。

()=○○の心の声です

《》=サトリの心の声です

*5/6デイジーが勝手にガイアの胸部ハッチ空けたのは問題という事でフレアに対処してもらいました。

 


(サトリ視点)


 実に不思議な状況だった。


 俺は何故か日本人お馴染みの―――こちらの世界ではイーブル皇国風だが―――『正座』をさせられていた。


「授業妨害だ」

「どうして学園であんな危険な試験を実施していたのかな説明してくれないかな?」

「学園側の不手際もあるけどもうちょっと空気を読んで欲しかったわ…」

「…すごいわねこの魔導人形たち、本当にオリハルコンの外装と骨格をしているわよ?

 しかも武器まで…もう国家錬金術師の資格無条件で出せばいいんじゃないの?」

「……べたべた触らないで」

「デイジー様、話がずれてますよ?

 サトリ…反省している態度が見受けられないんだけど?

(あーあ、流石に今回の一件は庇おうにも庇えないからなぁ。

 サトリも学園の演習場じゃなくて王都の外でやればまだマシだったのに。)」


 ラインハルト、バルアミー、エリザベータたちの言い分は分からなくはない、単純に迷惑をかけたんだなぁとは思う、反省してないけど。


 デイジーは迷惑というよりもうフレアたち魔導人形四兄妹に興味が向いて国家錬金術師になっちゃえよみたいな太鼓判も押してもらった。


 フレアたちはされるがまま―――末っ子のガイアはどことなく鬱陶しそうな表情をしているが―――なのだが、まぁ気にしていないのでよしとする。


 ケリィは…まぁいつも通りのお小言である、ツンドラ振りは健在だ。


 そしてデレも健在である。


「たまに騒音が出てもそれくらいで一々授業停止するなんて、魔導師科が演習場使う時だって音くらい出ていたでしょう?

 その時は授業停止なんてしなかったのに、何で俺の時だけ怒られるのかさっぱり訳が分からないんですけど?」


 うん、今さっき思いついた割にはまともな言い訳だと思う。


 確かに騒音を出した、オーケー理解した。


 だがしかし、それなら魔導師科だって騒音…もとい、演習場で学生たちが何十人と魔法をばっこんばっこんぶっ放しているんだから、それと比べれば如何ほどのものかといえるんじゃないか?


「規模が違い過ぎるだろうが!?」

「限度があるでしょう!?」

「学園が揺れる規模の被害なんて想定していないわよ!?」

「ほら、これすごいわよ!?

 通常の魔核炉よりも三割近くコンパクトになっているから二基も搭載しているわ!!

 しかもお互いが増幅しあって…これは論文に出せば学会に震撼が起きるのは確実よ!!」

「……勝手に開けないで」


 おいおいデイジーはっちゃけ過ぎだぞ、調子のんな。


 あ、よかった、フレアが珍しく空気読んでガイアの胸部ハッチを閉ざしてくれた。


「デイジー様、戻ってきてくださーい?

 ……あのねサトリ、外にいたから分からなかったかもしれないけど、試験をしている間もう学園の校舎の中は凄かったんだよ?

 教室が揺れる所為で講師や教授方が黒板に板書する事も出来ないし、今までに無いくらい揺れているからそもそも授業になりやしない。

 本当に迷惑していたんだからね?

(僕も羊皮紙三枚ダメにしたし、後で請求しようかな。)」


 ふむぅ、なんとも理不尽に思えて実は真っ当な抗議だったのか。


 けど言い訳くらいはさせて欲しい、あのヴィントとかいう教授が自信満々に『結界を張るから大丈夫』なんて言うからこちらも全力でやらせたんだ。


 全ての責任を俺に押し付けないで欲しい。


 ていうか大半はあの無能教授の所為だ、もっとマシな結界展開しろという話である。


「…無能とは言うが、ヴィント教授は国でも五指に入る優秀な結界魔導師なんだがな」

「殿下、言ったでしょう?

 彼の様な規格外をこちらの常識で見てはならないと」

「…もうやめにしてこれからの事を話し合った方が建設的な気がしてきたわ

(頭が痛いわ…なんで半年もしない内にこうも学園で問題がぽんぽん出てくるのかしら…って、原因は明らかなのよねぇ。

 ……早く卒業したいわ。)」


 ああ、一人脱落した。


 エリザベートは俺に苦手意識を感じているのか、どこか及び腰のようでさっさとこの話を切り上げて生徒会の執務をしたいようだった。


 まぁこうも面倒事を持ち込んでくる俺に好意を持つ筈がないのは分かっているけど。


 ラインハルトとバルアミーもお手上げ状態で、ぐだぐだで説教話は終わってしまった。


 俺は立ち上がると、悩ましげな顔で顔を合わせている三人を放ってデイジーとケリィのいる場所へと足を向けた。


 最初から最後までデイジーは会話には入ってこなかったし、ケリィはこの展開を予想していたようで『お疲れ』といって労ってくれた、出来る義兄である。


「サトリ、この子達の材料にベヒモスの筋肉使っているって本当なの!?

 派閥からの資金で聖金貨五枚分まで欲しいのだけど!?」

「…フレア、なに情報を漏らしてるのさ」


 錬金術師にとって未知の触媒、あるいは素材は喉から手が出るほどに欲しい代物だ。


 しかもベヒモス、優秀な錬金術師の卵であるデイジーが欲さない訳がない。


 あげく興奮して聖金貨五枚もの超大金を持ち出す始末である。


「いえ、漏れても問題のない情報ですので。

 …デイジー様、我等の構成しているベヒモスの筋肉ですが、その大半はマスターの師であらせられるアニムス様の所有物です。

 マスターの手元に残っているベヒモスの筋肉は僅かで、デイジー様がお望みになるほどの量は到底手に入らないでしょう。

 となると、錬金術師派に所属されているデイジー様はアニムス様と交渉しなくてはならない訳ですが…未だにお顔を合わせられていない状況では残念ながら…無理ですね」


 それもそうだなと容赦のないフレアの言葉に納得した俺がいた。


 俺が師匠から買い取ったベヒモスの筋肉はその殆どをフレアたちに充ててしまった。


 残りは別の研究で使いたいからと思って今も俺の異次元鞄の中で眠っている。


 そしてデイジーのいる派閥は錬金術派だ、この時点でもうダメだろう。


 俺の持っている分は売るつもりはない、せっかく貴重な触媒を金を払っただけで手に入れたんだ。


 余す事無く俺が使い切るのは当然の権利だ。


 欲しけりゃ自分で買って…いや、狩ってこい。


「くぅ、またこの展開なのね…実家の不始末が本当に恨めしいわ」

「………どんまい?」


 言葉少ないガイアがうな垂れているデイジーを慰めている、なんとも面白い場面だ、笑えないのが本当に残念である。


「…さてと、帰ろうかな。

 新しい作品の設計図書きたいし、話も終わったし」

「……サトリ、分かっているとは思うが表向きお前は厳重注意をされたが為にこの場にいるんだからな?

 外に出たら、それらしい表情をしてせめて二、三日は反省したという態度でいろ」


 覇王少年―――ラインハルトが『分かっているよな?』といった様子で俺に言ってきたので、素直に肯いておく。


 相変わらず視線―――前もいた忍者君である―――も鬱陶しいので素直に言うことを聞く事にしようか。


「分かりましたラインハルト様、学園で不貞腐れた表情で二、三日過ごします」

「……分かっているのならそれでいい

(分かっていないではないか…扱い難い…いや、対応の難しい奴だまったく。)」


 頭を悩ませているラインハルトだが、まぁ俺の問題については精々困り続けてもらおう。


 近い内に護符も完成するし、それを対価にすればいいしな。


「それでは、失礼しました。

 ケリィ義兄さん、行こう。

 デイジー様はどうするの?」

「僕も行くよ。

 バルアミー様、殿下方も…失礼しました」

「私はまだ用事があるから、貴方達は先に行きなさい」

「はいはい、また明日ー」

「ええ、また明日」


 どうやらデイジーはまだ用事があるようだし、俺たちは一足早く生徒会室を出た。


 途中騎士科と商業科という変わった組み合わせの二人組みと擦れ違ったが、俺の頭には次に作る作品の事に頭がいっぱいで相手の顔を見ずにお互い過ぎ去っていく。


 ―――面倒の火種は、そこかしこにあるという事を後になって思い知る俺なのだが、この時はまだ何も知らなかった。




やらかしたら説教は必要ですよね、サトリはさっぱりしていませんが。

読んで頂き、ありがとうございました。

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