クニマロ
「ようやく二人きりになれましたなァ。お久しぶりですね旦那」
「ああ。一目見て合点がいったぞ。お主が北竟大帝の一味であったとは。確かにこれで全て説明がつく。初めにあった時、お主は俺に善樹を斬らせようとして下らぬ策謀を弄したな」
「ええ。それだけじゃねェ、今日みたく『糸』で誘い込んで『巣』に引きずり込んで始末しようともしましたし……」
「あの淫魔……クラリス・アグライアをけしかけたのもお主というわけだ。」
「ご名答」
体を揺らしながら、クニマロは笑った。
「そして首都を騒がせた動く死体……思い出した、あの時は気にも留めなかったが、ハンナがお主の名を出していたな。クニマロよ、これだけは答えよ。あの娘……エリーはここに居るのか」
「いや、ここにはいませんよ。ただきっと見ているでしょうね。夢現に、どこまで見えてどこまで聞こえているかはわかりゃしませんが。……彼女がいる気配でもしたんですかい? 愛のなせるわざってェやつですかねぇ……」
「白々しいことを。きっとあの娘はマリア達をただでは返すまい。なんといってもここは死者の国だ。人形には困らんだろう」
三郎太の台詞にクニマロは目を丸くした。
そして憐憫を湛えた声色で言った。
「おいおいおい、そこまで気づいてあげられるんなら一言あの娘に声をかけてやったっていいじゃねぇか。あんまりな仕打ちだ。あの娘が可哀想だ。女の心の分からねぇわけではないだろうに」
――それが、分からぬ。
三郎太は地下墓地に入って以来、エリーの気配を濃密に感じとりながらも、決してそちらに意識を向けはしなかった。殺意になら殺意を返せる。怒りにも応じることが出来る。死者の怨念ならば容易に跳ね返して見せる。しかし、この粘りつくような執念に三郎太は立ち向かう術を知らなかった。
「それにそれを知ってなお、聖女サンたちを送り出したのかい。ひでぇ男だぜ旦那は。あっしもそこまで鬼畜にはなれねぇや」
「マリアは一流の人物だ。セシルには俺が剣を教えた。シオーネには才がある。ノエリアにこんな奇抜な死に方はできまい。皆、道理を外れた化生に殺される理由はない」
三郎太は逆安珍の柄に手をかけた。
「そして、俺は、あの者共のためなら命を懸けても惜しくない。さぁ、望み通りの決闘だ。いざ!」
「おっとっと! そう慌てなさんなって」
構える三郎太。しかしクニマロは右手を突き出してそれを遮った。
「旦那一人を呼んだのは殺し合いの為じゃねぇ。いやそれもあるんだがその前に、あっしは旦那と話がしたかったんでさァ」
「この期に及んでまだ戯言がいるか」
「いるともいるとも、大切だぜ、戯言ってのは。旦那にとっても悪い話じゃないからまぁ聞けよ」
クニマロは振り返って無防備な猫背を晒しながら、部屋の奥にうず高く積まれた骨の山に近づくと、その上に腰かけた。
「一つ昔話をいたしましょう」
三郎太は訝しんだ。時間稼ぎかと思ったが、既にクニマロは此方を誘い出し待ち構えていたのだから今更罠を仕掛けるとも思えない。
「あっしの一番最初の記憶は路地裏で残飯を漁っていた時のものです。どうやらあっしは生まれた時からずいぶんと醜かったらしい。それで親に捨てられ、不幸にも生き残り、気づけばてめぇを食わす手段を知るまでには成長できちまった」
クニマロの口ぶりは過去を懐かしむようなものだった。
決して、これから戦おうと言う敵に聞かせる話ぶりではなかった。
しかし三郎太はその自嘲するような物言いに込められた、えも言われぬ寂しさに、少し惹かれていた。
「……食っていけるようになったって、醜いナリは変わりゃァしません。なんつっても嫌われるのはこれでさァ」
そう言ってクニマロは、右手を包む布をほどいた。
現れたのは、黒々とした剛毛に覆われた腕だった。手は丸く膨らんでおり、指は極端に短い。そしてその先端まで毛に覆われている。
人の体に、人ならざるものがある。その醜悪さに三郎太は息を呑んだ。
三郎太は今自らを襲った感情を知っている。既に何度も経験している――肝を通り抜けるその寒さの正体を。
「……魔人」
「そう。あのアマちゃんも、旦那も、そしてあっしに出会った多くの幸せな一般人も、これを見ればみんなそう言う。あっしは魔人だとね」
クニマロは小さく笑った。
「しかし魔人とはなんですかい。人と違う部分を持っているモノですか。異常な能力を持っているモノですか。それとも……人間社会に馴染めないモノですか。北竟大帝の奴は魔人とは欲望に正直で、人の平穏と秩序を見れば壊さずにはいられない。と言ってましたがね。
あっしはたしかに異常な能力を持っている。旦那やお嬢さん方を誘いこんだ『糸』と『毒霧』。それに、人間ってのも好きじゃねえ。ほとんどがあっしを見ては石を投げてきたような連中だ。……この目だって潰したのはどこにでもいるような若い兄ちゃんでしたよ。
だけどね、それでもあっしはこれまで自分の事は人間だと思って生きてきましたし、金を稼ぐのも飯を食うのも女を抱くのも、全部人の中でやってきたんですぜ? この平穏を、都市の片隅で当たり前のように咲く笑顔を、ぶっ壊したいなんて思ったことは一度もねえ」
「ならばなぜ、世界を壊すと嘯く北竟大帝に力を貸す」
「それはね、あっしを救ってくださった御方がいるからよ」
クニマロは、醜い顔で穏やかにほほ笑んだ。
「旦那は勘違いしてらっしゃるが、あっしらにとっては北竟大帝なんてどうでもいいんです。スズカも言っていませんでしたかい?」
スズカ――その名はハンナ・アルブレヒドがあの人から貰った名だと言っていた。
北竟大帝はその協力者であるとも。
その正体を三郎太はハンナに問うたが答えは無かった。
再び問う三郎太に、クニマロもまた言葉を濁した。
「あの御方はおっしゃった。人の世を破壊しつくし、再び魔の時代を築こうと。人に排斥され続けた者達が、今こそ結集し立ち上がるのだと。あの御方は、こんな醜い男にも救いの手を差し伸べてくださった。斬られ、打たれ、焼かれたこの右腕をいつくしむように包んでくださった。美しいと言ってくださった。だからあっしはあの御方のためにこの身を捧げる。そして北竟大帝は人の世を破壊する手段を知っていた。だからあの御方と盟約を結んでいる。あっしらあの御方に救われた者共にとって重要なのは手段のみ。北竟大帝の目的なんざどうでもいいんですよ」
「何が言いたい。結局、あの御方とやらも、この世界の秩序の破壊を目論んでおるのだ。されば俺は其奴も殺す。北竟大帝と同じように」
彼らが主と仰ぐ者の正体は依然として明らかでない。しかし、彼の言う通り、それが魔の輩にとって聖人であり、救いであったとしても三郎太のすることは変わらない。
秩序を乱すものを探し出し……斬る。
「そこで、旦那に相談です」
クニマロは骨の山から下りると、かつてない真剣な表情で三郎太を見た後、深々と頭を下げた。
「旦那。今からでも遅くねぇ。此方側にきてくだせえ。あっしは旦那のことを良く知っている。散々付け狙いましたからね。だから言わせてもらう。現実を受け止めるんだよ旦那。アンタは彼方の世界に見放されたんだ。いらねぇって棄てられたんだ。そして――此方の世界で受け入れられることも無い」
「貴方は此方側だったんだと思う」――ハンナの言葉が聞こえた気がした。
「あっしらは人に追われ、排斥されてきた。だから人間が憎くて仕方ねぇ。だけど同時に愛おしくもあるんだ。憎いってことはよ、つまりはどうして俺たちを仲間に入れてくれねぇんだって怒ってるってことで。本当は、人の輪に入りたくて仕方ねぇんだ。だから、あっしらはアンタみたいなのがたまらなくほしい。俺たちと同じように仲間はずれにされて、それでも人間であろうと踏ん張っているアンタが、仲間に欲しいんだ」
クニマロは懇願するように言った。
「旦那。あんたは人間だ。絶対に魔人なんかじゃねえ。だけど寂しい人間だ。世界に見放され、お前なんか必要ないと追放された悲しい人間だ。あの御方やあっし達には、そんな人間が必要でさぁ」
数々の非礼はお詫び申し上げる。しかしここはどうかひとつ。
そう言って、再び頭を下げるクニマロに向けて、三郎太は――。
「騙るな! クニマロ!」
――怒号と共に、逆安珍を抜いた。
「その言葉は誰のものだ。さる御方とやらか、それとも北竟大帝か、世界中の魔の代弁のつもりか! 違うであろう、その言葉はお主のものだ。お主が人間に未練を持ち、お主が『魔』にあっても人を偲びたいがために俺を求めているのだ!」
「違う! あっしは本当に旦那のことを――」
「俺が彼方の世界に棄てられただと? 此方にあっても生きてはゆけぬだと? それがどうした! 答えなどとうに得ておるわ。彼方の世界にいらぬと言われ、此方の世界にいらぬと言われたとしてそれが何だと言うのだ。俺は俺だ。俺の信じた道をただ進むのみ。この道を行くことで、主君が死ねと仰せられるならいつでも腹を斬る。しかし仮に世界や世間が死ねと言ったとしても俺は死んでなどやらぬぞ。有象無象の百姓共の身の程知らずの指図など無礼千万。もしも世界が――天命が俺を殺すというのなら、いつでも殺しに参るが良い、尋常に受けて立つ。結果殺されるならば是非も無し。ただ神妙に、亡霊共の復讐も閻魔の裁きも受け入れよう」
クニマロは顔面も蒼白に、信じられないものを見たと言った様子で、震える腕で顔を覆った。
「どうして……なぜ……知っているんですよ旦那、あんたはいつも……今だって……」
「さぁ選べ、 魔か! 人か! お主を救った者に忠を尽くすと言うのならここで人への未練を捨てよ! それが秩序を壊し、世界を滅ぼす覚悟というものだ!」
「旦那ァッ!」
クニマロは奇声をあげながら、人とは思えぬ膺力で三郎太へと迫った。
突き出された異形の右腕に、逆安珍をあわせるが、刃は黒々とした剛毛に遮られて肉を断つには至らない。
「うぬッ……!」
瞬間、悪寒を感じた三郎太は転がるようにして、体を包みかけた気配を躱した。
「流石に場慣れしてやがりますね」
起き上がって見れば、感心したようにつぶやくクニマロの周囲で、白い糸が蠢いている。
もしも後一瞬でも反応が遅れていれば、前の三人娘と同じように簀巻きにされていただろう。
「一体いつからこんなものが使えるようになったのか、わかりませんがねッ!」
今度は五指より糸が射出された。
「む!」
飛び出した糸は逆安珍の刀身に巻き付いた。
何重にも重なった糸は恐ろしく強靭で、いかに切ろうともがこうがびくともしない。
「へへへっ……恐ろしいでしょう魔人ってのは。旦那はずっと前からこの恐ろしさを知っている。だけどじっとそれを堪えてきた……安寧なんてどこにも無かった。心安らぐ場なんて見つからなかった……ああ、いたわしい……かわいそうに……」
「……黙れッ!」
釣り人が網を手繰り寄せるように、だんだんと糸はクニマロの指に吸収されてゆく。
それと同時に、三郎太の体も、引きずられるようにじりじりとクニマロに近づいてゆく。
クニマロは腰から短剣を抜いて、それをちらつかせた。
「さぁ旦那、最後のチャンスです。選んでくだせぇ。これはとっておきですが、あの御方は旦那の事を……正確には旦那の一族の事を、どうやら知っているようですぜ」
「……何だと」
幾分か落ち着きを取り戻したように見えるクニマロが穏やかな声色で告げる。
「あの御方は旦那と同じ世界の――きっと同じ国の出身なんでしょう。どうです、興味が湧いたでしょう。会うだけでいい、会えばきっとわかる。あの御方は旦那みたいなのにも安息の地を与えてくださる……救ってくださる!」
それを聞いた三郎太の、抵抗する力がわずかに緩んだかに見えた。
それを、屈服の証だとクニマロが判断した瞬間――それは起きた。
三郎太は渾身の力を込めて、巻き取られていた逆安珍を上へと持ち上げた。
気を抜いていたクニマロの異形の右腕が、それにつられて持ち上がる。
無防備にさらけ出されたクニマロの胸元に飛び込みざま、三郎太は右手を脇差にかけ、神速の抜き打ちを見舞った。
身体が交差し、一瞬遅れてクニマロの絶叫が地下に響いた。
三郎太の脇差は、黒々とした異形の右腕と、尋常の人間の体のちょうど境目を斬り離していた。
三郎太を突き動かしたのは怒りであった。
いやしくも日本国に生まれたものが、何ゆえか黄昏の計画に加わって、異なる世界の破滅を望んでいる。その理不尽が、非道が許せなかった。
そして同時に、猶の事始末は己がつけねばならないと思った。
「ぐぅぅぅぅぅぅゥゥゥゥゥ……!」
クニマロはたたらを踏みながらも、何とか立ち直り三郎太を振り返った。
血の溢れる傷口を押さえながら、クニマロはうめき、三郎太を睨んだ。
その目はいまだ闘志を失っていなかった。
「……さぁ選べ、人か、魔か」
そう言いながら、表情には出さずとも、三郎太は心中叫んでいた。
――最早その体に魔の象徴はない。もしも人への未練が捨てられないのなら……クニマロよ、お主が此方側に戻って来い。
「ハハッ……はははっ……」
クニマロは力なく笑った。
それは呆れにも、あきらめにも見えた。
「ありがとう、旦那。旦那のお心は、その顔や口と比べると途方もなくお優しいんですね。旦那のおかげで、あっしはあっしの道を違えずにスんダ」
「…………」
「あっしは忠を尽くす。あっしを救っテ下さった御方の為ニ。そして世界を壊す。人間を殺す。殺して殺して殺シ尽ス」
「そうか」
三郎太は、クニマロの身に起きている異変に気付いた。それがあまりにも人間を冒涜した醜悪なものであることにも気づいた。
しかしそれでも、道を選んだ一人の男から、決して目を逸らすまいと、三郎太はクニマロを見つめ続けた。
まず右腕の切断面が泡立つようにして不自然に盛り上がった。そしてそこから、以前よりも巨大な、真黒い毛に覆われた腕――いや、脚が飛び出した。
全身に黒い毛が生え、手足は太く盛り上がり、全て同じ脚となった。
わき腹を破って、さらに二本の脚が飛び出した。
腹が膨れ、首が縮んだ。バランスの悪い体を、蜘蛛の如く六脚で支えて立ち上がった。
顔が引きつり、鼻が前へと飛び出した。黒と黄色の毛が顔を覆い。その頭部はさながら虎のようであった。
人のような獣のような不気味な顔で、それでもクニマロは満足げにほほ笑みながら、三郎太へ告げた。
「ア、ア、アリガ……人トシテ……サイゴ、御礼ヲ……。ミ、ミ、南ヘ! ホ、ホッキョウ……ノ! 次ノ……ネライハ! 南ヘ! ミナミヘ!」
あとの言葉は意味をなさなかった。
獣となったクニマロは、ひときわ大きな唸り声をあげた。そして跳躍し、天井に穴を穿つと夜の闇へと消えて行った。
◆
「……で、早速出発ってわけ」
クニマロとの戦いから一夜明け、教会に出向いた三郎太が昨晩の次第を伝えるとともに、南へ向かう旨を告げると、マリアは露骨に不満げな顔をした。
「事情は分かったわ。だけどこんな急な出発じゃあの子達がかわいそうよ。とくにセシルとは新年祭からまともに会話がないじゃない。それで今回も何も言わずにどこかにいっちゃうの?」
セシル、ノエリア、シオーネの3人は魔法学校にいる。新年祭の跡片付けをしなければならないらしい。この日、三郎太は早朝から屯所や市場へ出向いていたため彼女らとは顔を合わせていない。
「お主の口から頼む」
「はぁーあ、襲い掛かってくる骸骨共を蹴散らして、なんとか外に出てからのあの子、結構貴方の事心配してたのに。その相手がこれじゃあね……」
心底呆れたといったようにマリアは嘆息してみせる。
三郎太も思うところがないわけではないが、ときは一刻を争う。
北竟大帝が南方で何か事を起こそうとしている。その目的を調べる猶予すらないのだ。
非礼であることは承知の上だが些末なことには構っていられなかった。
「とにかく、俺は南へ行く。善樹には全て話をしてある。お主には善樹と共に首都で奴らの動向を監視してもらいたい」
「南へ……ってまた漠然とした行き先ね。ティアナとシユウ君はどうするの?」
「盲人を連れて行けるか。蚩尤はその世話に残す」
「じゃあやっぱ南へは貴方一人で? 無茶じゃないの? 相手の目的が分からないうえ、そもそもクニマロの言葉だって罠かもしれない」
マリアの指摘はもっともだった。
三郎太は視線で窓の外を指した。
「俺だけではない。ハリマを連れて行く」
窓の外には、馬具を付けられた奇怪で巨大な白鹿ハリマが、いつものように泰然とした雰囲気を纏いながら立っていた。
「……きっとクニマロの言葉は罠ではない。あれは、奴が人としての最期に、俺に託した言葉だ。事の核心に迫ったものに違いあるまい。それにもしこれに乗じて、やつらが俺を始末しようとするのならばむしろ好都合だ。刺客を辿れば奴らの企みにたどり着き、阻止することが出来る。さすれば黄昏の計画そのものにも不都合が生じるだろう」
三郎太には不思議と勝算があった。
常に泰然自若としていたハリマが、今回に限っては三郎太に素直に従ったと言うのも、何か意味があるように思っていた。
「何よもう、これで三度目? 私は一体何回貴方を送り出せばいいのよ。そんなに私と一緒に行動するのが嫌なのかしら?」
マリアは見送りの為に外に向かいながら、そんな軽口をたたく。
「言うな。古来戦場に赴くのは男と決まっておる」
「あ、そ。ところでその外套はどうしたの。インバネスかしら。貴方がそんなおしゃれなものを着るなんて」
三郎太は珍しく、袴羽織の上に灰色の外套を纏っていた。
「蚩尤からの餞別だ。奴が作ったものらしい。本当のところは知らないが、雨も槍も跳ね返すとの触れ込みだ」
そのほかティアナからは銀の懐中時計を、フィンデンブルクからはスキットル――奇しくも中身はカドリの酒屋の蒸留酒――を受け取っている。
「いい仲間をもって……。それなのに、どうしても一人で戦うのね」
三郎太は、マリアが零した儚げな一言を聞かなかったことにして、ハリマに跨った。
「帰ってきたら、みんなでお祝いをしましょ。新年祭がうまくいったお祝い」
三郎太は小さくうなずいて、ハリマを進ませた。
目指すは南。
北竟大帝、そしてまだ見ぬ敵の首魁――その野望を砕くために。




