カリアン平原の攻防~前編~
翌日、俺たちはエミルの屋敷で会議をしていた。そのメンバーは、俺、エミル、フリード、アリス、リルブ町とマールニア町から来た、シンクとマルニーアだ。シンクは武術に優れ、戦闘に向いており、マルニーアは話術が得意で外交に向いている。その、六人で難しい顔をしていた。
「……偵察隊の報告は?」
「やはり総大将はゴットンらしい。兵の数はおよそ二〇〇〇だ」
「「破壊斧使いのゴットン!!しかも二〇〇〇!!」」
シンクとマルニーアは驚愕していた。
『破壊斧使いのゴットン』。帝国の中で異名を取るものがいるが、並大抵の事ではなれない。それと、異名の取る多くの人が奥義と言う物を習得している。奥義は、一回使うだけで大量の体力が削られるが、その代わり鬼のような強さを持っていた。ゴットン将軍もその中の一人だ。
「この戦いの勝算は……ありますか?」
マルニーアは心配した顔で言った。俺は正直に答えた。
「分からない」
「分からない!?もし、この戦いで負けたらどう責任取ってくれるんですか!」
マルニーアは俺の言葉に怒っていた。確かに、俺たちに命を賭けているのにこんな素っ気無い答え方をするなんて怒るに決まっている。フルル森戦では、敵が油断しているお陰で倒す事が出来たが、今度は異名持ちの将軍だ。絶対勝てるなんてどこにも保証がない。
「だいたいですね。このままでは……」
「黙りなさい!マルニーア!」
エミルはマルニーアを黙らせて話を始めた。
「帝国が何ですって?このまま皆で喧嘩しているなんて相手の思うつぼよ!しかも自分がやりもしないでマサキに文句しないで!それが聞けなかったらこのまま脱退してもいいのよ!」
エミルは俺の為にマルニーアを怒ってくれた。俺は胸の中に何か暖かいものを感じた。
「エミルありがとう。マルニーア殿さっきは無礼な発言お許し願いたい」
「こちらこそがつがつともの言いをてしてしまいすまない。エミル殿のお陰で助かりました」
俺たちは、互いに謝り握手を交わした。俺は心の中でエミルに感謝しつつフリードに敵の動向を聞いた。
「どのくらいでここに到達するか分かるか?」
「およそ三日ぐらいかと思うぜ」
こちらは六〇〇、相手は二〇〇〇の兵しかも異名持ちの将軍が指揮官。不利だが勝たなきゃならない。俺は初めてこの世界に来て家族になってくれたエミルや義理とはいえ兄弟になったフリード、ここに来て俺に親切にしてきてくれた、アリスやナストレアの住民を俺は守りたい。俺はそう思い、イスから立ち上がった。
「これから、俺たちは帝国軍を迎え撃つ!場所はカリアン平原だ!」
「勝てる算段でも思いついたの?」
エミルは俺に微笑みながら言ってきた。俺の心を読んだのかと思いながらエミルに笑って見せた。
「自信はあるが、皆の頑張り次第によって変わる!この戦いは負けられない!何としてでも勝つぞ!」
「「「「おおー!!」」」」
「早速兵を至急集める!シンクとマルニーアは自分の町から兵を連れてきてくれ。フリードはナストレアの兵士に激励でも送っといてくれ!」
俺は、そう言うとすぐに皆は準備を始めた。俺は、エミルの方に向きなおった。
「エミルは自分で国を作れると思ったら作りたいと思う?」
エミルは少しキョトンとしていたがすぐに俺の質問に答えてくれた。
「もし、自分に国を作れる才能が合ったら、皆が笑っていられるようにしたいな」
「そうだな。この戦い絶対勝とうな!」
「うん」
俺は、エミルの顔に少し見とれてしまったがすぐに意識を取り戻して、顔を赤くしながら自分の部屋に戻った。
読んでいただきありがとうございます。
戦いのシーンが書けなくてすみませんでした。
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