買い物での出来事
俺は、オアシス町で一〇人の兵士達とバラバラになり、必要な道具や食材を確保していた。。だが、一〇〇〇人となると大変だった。食材もそうだが、それようの馬も必要になってくるのだ。
道具屋に必要な分の物を注文すると外に出て、次の店に向おうとした。だが、道具屋の隣の店を見ると思わず足を止めてしまった。
(アクセサリー……か。いつも戦いやらで忙しくてあいつらに何もあげていられなかったな……たまには良いか)
そう思うとアクセサリー屋に入っていった。
中はところせましとアクセサリーが置いてあり、思わずどれを買えば良いのか迷ってしまった。あまり女の子に贈り物をしたことがない正樹だったので、どれが好みなのか分からない。「聞いとけば良かったかもしれないが、それじゃあ驚かせない。さあどうしよう」と悩んでいると奥の方から女性の声が聞こえた。
「なあ、ねえちゃん。俺達と遊ぼうぜ」
「いいだろ?なあ、なあ」
「すまないがそう言うのはあまり興味ない。出直して来い」
二人の男が女性をとり囲んでナンパしていた。フードを被っていたが、少しだけ顔がちらりと見えた。美しい。そんな言葉が似合う女性だった。ゲームやアニメでしか見たことなかったが、あんなに美人なら一声や二声がかかるかもしれない。でも断れてもなお、今度は二人の男は無理やり腕を掴もうとしていた。だが、そうはさせなかった。腕を掴もうとしていた男は、尻を蹴っ飛ばして壁にぶつけた。女性ともう一人の男は俺の方を見た。
「悪いな。道だと思って思わず蹴っ飛ばしちゃった」
「誰が道だと蹴っ飛ばす奴がいるんだよ!」
「ここにいるだろうが!」
蹴っ飛ばした男も怒り狂った目をしながら俺の方を向いた。このままじゃ喧嘩が始まりそうな雰囲気だった。
「貴様!俺達を誰だと思ってやがる!帝……」
「その名前をここで出すな!ローター!」
「す、すまん。だが、こいつだけは許せねえ!」
「もう時間だ。行くぞ。そこの兄ちゃん俺達の用事が終わったら、殺ししてやるから首を洗って待ってろよ。土下座すれば半殺しにしてやるよ」
捨て台詞を吐いて行くとそのままスタスタと店から出て行った。まあ、何も起こらなくて良かったっと自己完結していると女性が袖を引っ張ってきた。
「先ほどは申し訳なかった。何とお詫び申し上げればよいか……」
「すまん。ちょっと待っててくれるか?」
「?」
女性は俺の言葉に首を傾げていた。だが、後ろで無言で怒っている店主が怖くて、先に終わらせていないと大変な目に遭いそうだからすかさず謝りに行った。
土下座して謝り許してもらうと先ほどの女性の所まで戻った。
「ごめんね。それでどうしたんだ?」
「私のせいで悪い人から因縁を付けられ、店主には怒られ、すまない!な、何かお詫びと言うか何か手伝わせていただけないだろうか!」
「え、え~と。あ!それならアクセサリー一緒に選んでもらえない?何が良いのか分からなくて」
「私で宜しければ。私もこれを買いにここまで来たのだ」
「君は何処出身なの?」
「イフリト地方出身。それ程良い品が揃っている。それでえ~と。貴方は?」
「俺は、マサキだ。今度からそう呼んでくれると助かる」
「私は、エステルだ。私も呼び捨てで構わない」
「それじゃあエステル頼むぜ!」
「任せてくれ!」
俺とエステルは、エミル達にどのアクセサリーが似合うかどうか真剣に悩んだり、笑ったりしながら選んだ。だが、時は早いものですぐ別れの時間が来てしまった。
「俺はもう行くよ。それじゃあまたどこかで」
「その時はまた……買い物に付き合って欲しいものだな」
俺はエステルが見えなくなるまで手を振りながら後ろで歩きした。何回か人に当たってしまったが。だが、エステルがこの先の戦いに関わってくる事になろうとは、まだ知るよしもなかった。
マサキがいなくなるまで私は手を振り続けた。ここまで男の人に心の底から笑いあったり悩んだり出来たのは初めてかもしれない。マサキみたいな人が戦争で命を落とすのなんて考えたくもない。だから早くこの戦争を終わらせる。そしてまた、あの人ともう一度楽しく買い物がしたい。それが彼女の思いだった。
彼女の近くにフードを被った女の子が物音を立てずに現れた。
「フリダム軍は北上しアイス地方に向うそうです。各地の反乱軍も徐々に勢力を弱めてきてます。我々も加勢し、一気に叩くのはどうかと」
「無理だな。アイス地方に居座っているあいつの事だ。出しても我々帝国騎士団の事を敵として見るだろう。それよりイフリト地方の反乱軍を全部潰し、戦力を蓄えたる。そして戦況次第で行動を変える。だから、すぐにでも動けるように準備を頼む」
「はっ!」
先ほどの女の子は物音を立てず消えていった。私もイフリト地方に向うべく歩いて、闇の何へと消えていった。
サンバラ地方の最後の戦いを遠くの方で見ていた人物が居た。後ろには三〇〇〇の帝国兵士が控えていたが、誰も助けに行こうとはしなかった。その中でほくそ笑む人が一人居た。
「行かなくて良かったんですか?このまま加勢していれば確実に勝てていましたよ?」
「ふっ。今勝っても駄目なのだよ。アラーブ君。フリダム軍はこれからも頑張ってもらわなければならないのだよ。ふははははっ!」
「何かあるのですか?」
「あるな。だが、その時はお前も必要だ。アラーブ君。来てくれるな?」
「仰せのままに」
男の前でアラーブは顔を下げると砂塵が吹き上げた。そして消えた頃には、帝国兵士三〇〇〇とアラーブとその笑っていた男が消えていた。
更新遅れてしまい、すみませんでした。
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