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俺は異世界で軍師になる  作者: 中村竜野
第3章”サンバラ地方編”
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ススリゲ砦の攻防5

 キリングは修羅と化していた。来る敵を全てをひれ伏した。フリダム軍の兵士は数で囲んではいるが、腰が抜けていて何時でも突破できるぐらい脆そうだった。

 キリングは、軽く鼻を鳴らすと大声で叫んだ。


 「雑魚は皆消えろ!度胸のある者が前に出ろ!居ないのか?このへっぽこ軍隊!」

 「黙って聞いてればいい気になりやがってよ。なあ、ケリー」

 「しかし、ガマンダ落ち着け。敵の技量は相当の物だったぞ」

 「それを覚悟でやるんだろうが。最近俺達は目立った活躍をしてねえ。ここで敵の大将を取ればガッロトのお頭にご報告が出来るってもんだ」

 「そうだが……」

 「やらないのなら俺の前から消えろ!」


 キリングの前に立ち話し合っている二人を見ていてイライラしていた。

 ガマンダは、ニヤリと笑った。


 「そうだな、お前を片付けてからケリーと話し合いをさせてもらうぜ」

 「ならば二人同時で来い。時間が惜しい」

 「俺も……か。ならば遠慮は要らんぞ」

 

 ガマンダは、ケリーが剣を抜いている時には、キリングの方に走って向って行った。

 ケリーは、その行動に度肝を抜かれた。


 「ガマンダ!何をしているんだ!」

 「手柄は俺が貰うぜ。ケリーはそこでみていな」

 

 キリングに近づくと片手斧を両手に持って斬りつけた。

 しかし、手応えを感じられなかった。困惑を生じた。


 「確かに斬ったはずだ。何故……だ」


 ガマンダは大量の血を噴出しながらそこに倒れこんだ。

 キリングは何食わぬ顔でガマンダを見ずにケリーを視界に捕らえ剣を向けた。


 「次は、お前なんだろ?」

 「ガマンダアアアアアアア!?」


 ケリーは信じられないような顔をして錯乱し始めた。


 「貴様あああ!!殺すぞ!絶対にだ!」


 剣を抜き、一気に間合いを詰めて来た。

 キリングは、一度剣で防御したが思いのほか力があり後方に退いた。

 しかし、それを怒り狂ったケリーが追撃を始める。


 「力があるな。このような状態でなければもう少しいい勝負が出来たかも知れないが……終わらせる」

 「何だと!?そんなこけおどしが通用する……と思って……いる……のか……」

 

 キリングは、剣を鞘に収めると後ろに向き直った。後ろで倒れる音がしたのだが、予想していた通りだった。

 これで敵の指揮官が二人を離脱。指揮も低下しているだろうから一気に攻め、敵の総大将の首を取れば勝ち。そう、頭の中で思い描けていた。

 しかし、思いもよらないことが目の前に起きた。


 「リンセンス……か・何故ここにお前がいる」

 「…………」

 「まあ、いいここで貴殿の首を取らせていただくぞ」


 三人の護衛兵が居たが、横を通り過ぎた瞬間、目にも留まらぬ速さで斬った。

 最後のリンセンスは、呆然としており、この剣の一突きで終わりだと思った。

 だが、他にも居たのか横槍を入れてくる者が居た。


 「危ないですね……リンセンス殿も早くして下さい。あの作戦を、彼らの命を無駄にするつもりですか」

 「ごめんなさい……ケリー、ガマンダ。この戦いが終わったらお墓作ってあげるからね……」

 

 泣きながらも大剣を構え、キリングに向かって叩きつけるように攻撃をした。


 「くっ」


 苦悶を吐きながら大剣を横に滑らせた。それを見逃さずアラーブも斬りつけたが、寸前の所で回避されてしまった。


 「作戦……何の事だ!」

 「そろそろ時間ですね。後ろ見てください」

 「後ろ?……何だと!?」


 ススリゲ砦の方角から多数のフリダム軍がこちらに向ってきていた。帝国兵士は不意を突かれ成すすべなく散っていった。

 先頭にはマサキ、フリード、アリスと続いてアルンもその後ろに随時していた。


 「アルン……裏切ったな……アルン」

 「投降してください……あなた方の負けです」


 リンセンスは、泣きながらも懸命に言葉を発した。

 キリングは、その姿に昔の妹を思い出しててしまった。


 「投降はしない。帝国に忠義をしている身。ここは意地でも撤退をさせて貰う」

 「逃がしません!!」


 再度、剣と剣のぶつかり合いが始まった。だが、徐々にキリングが押され始めてきた。

 キリングは、数多の戦場に行けば負けなしで帰ってくる。模擬戦闘でも一対一では、ほとんど負けなしである。そのキリングが一人の女の子に押され始めてきた。


 (こんな小娘に何をしているんだ……情でも移ってしまったとでも言うのか、しかし……)


 力強い一撃がリンセンスの大剣に向って行った。


 「きゃあ!」

 「私は、生きて帝国の為に恩を返さなければならないのだ!それをこんな所で死ねるか!!」

 「死んでもらわなきゃ困るんですよ」


 マラハイが隙を見て後ろから攻撃をしたにも関わらず、即座に対応した。

 だが、少しずつ疲れがあるのか、体が鈍ってきた。

 

 (ここで疲れが体に出てきたのか……こんな所で)


 そこに帝国兵士が二頭の馬を引き連れてキリングの所に急いで近づいてきた。


 「キリング一〇〇人尉。ほとんどの兵士が投降あるいは討ち死になってしまいました。早くこの場を離れましょう」

 「くっ、仲間を見捨てていくのは忍びないが、ここで引かねばいけないか」

 「なっ!?」


 マラハイの剣を弾き飛ばすと、すぐに馬に乗り駆け出した。

 ススリゲ砦の帝国軍の崩壊、指揮官キリング戦場から離脱。その言葉にススリゲ砦の攻防戦が終わりを告げた。

 ここまで読んでいただきありがとうございました

 感想などお待ちしております。

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