バリア城
バリア城。
サンバラ地方の帝国反乱軍の本拠地である。地下水が豊富で木や果物がなっており砂漠の楽園とも言われている。
しかしここを壊滅的打撃を加えられると反乱軍の戦意は挫かれ今でさえ厳しい状態なのに更に危ぶまれてしまう。
俺らは椅子に座りながら差し出された紅茶を飲みながら話を聞いていた。
「フリダム軍が加わった事で更なる軍事的増強が出来ました。最近では各地の局地戦でも勝ち続けておりこのまま行けば帝国軍は時間の問題ですな」
今話しているのは、ガロットと言う反乱軍の副リーダーだ。今年で六十歳と年を取ってしまっているが帝国軍では『砂漠の悪魔』と若い頃に言われて恐れられたがその実力は未だ健在であると自負している。剣術や体術、武術など身に着けており接近戦において無類の強さを持っている。、帝国との戦闘で彼が出ると負ける事は無いと言う。
「確かに良いと思うよ……って私が考えたわけじゃないのに意見してごめんなさい」
反乱軍リーダーのリンセンスだ。後ろには似合わず大剣を背負っており、口癖はごめんなさい、の女の子だ。身長はアリスと同じくらいで年齢は十二歳とのことだ。
その二人だけではなく他にもいるが帝国との戦いで今はいなかった。
「今の所ガマンダ隊二〇〇〇とケリー隊三〇〇〇の部隊が帝国の部隊約四〇〇〇と交戦しましたが、半日で壊滅しました。逃げるものは追撃し、投降してくるものは水と食料を上げ軍の兵士の増強の為組み込んだそうです」
報告兵の話を聞きながらガロットは自分のひげを撫で回したながら笑った。
「ほほほほっ。これでガルス城までの道のりが出来た。我々のも行くとしてフリダム軍も今回の戦いに出てほしいのだがよろしいかな?」
「はい!私達もそのつもりでここまで来ました。民の為自分達の平和と自由の為頑張らせてもらいます」
「その言葉の真偽をここにいる間に確かめさせてもらうぞ。もし駄目なら……」
ガロットは自分の懐から誰が見ても業物の刀を取り出した。
その事にいち早く気づいたフリードもエミルを守るように前に出た。
「……やらんやらん。こんな事をやっていたら帝国が喜ぶだけじゃからな」
「一瞬真面目な顔に……って私が口を挟む場面じゃないよね。ごめんなさい」
「リンセンス、その口癖止められんか」
「そんなこと言ったって……私がいけないよね。ごめんなさい」
ガロットは苦笑いしながら俺達の方に向いてきた。
「お前さんがフリダム軍の軍師マサキか。そちらのお嬢さんは?」
「……アリス」
「ナイフ使いのアリス常々聞いている。それでフリダム軍の英雄フリードと破壊斧のゴットン。負ける気がしないですな」
「ワシの名前も知っているのか」
「当たり前じゃ。帝国の指折りの将軍の一人だからな」
うんうんっガロットは満足げに頷いていた。
最初は話づらかったが少しずつ心を開いてきてくれたので思い切って、来る途中の事について離してみた。
「来る途中にジャイアント・アームと言う魔物に襲われたんだけど、この近くそういうの出るのか?」
「は?……暑さで頭でおかしくなったのか。すぐに水を持ってくるからその辺に寝転がって休んでおれ」
「本当なんだよ。皆もそうだろ」
皆の方を向いてみると一緒になって頷いてくれた。これでしてくれなかったら俺だけおかしい人になってしまう。
嘘をついているには見えないが信じられないと言った顔にガロットはなっていた。
「私も信じていなかったけどある兵士が魔物を見たって言っていたよ。確かつい最近だったような……横槍をしてしまいごめんなさい」
「そんなことが……調査させなければならないかもしれないな。まだ信じていないが嘘でも無さそうだからな」
「信じてくれるのか。ありがとう」
素直に礼をしてくるのが恥ずかしかったのかそっぽを向いてしまった。
それを見ていたリンセンスはクスッと少し笑った。
「あ、明日は前線部隊と合流してガルス城を叩くのだ。早めに寝ておけ!」
そう俺達に言いつける顔を赤くしながらすぐに出て行った。
フリードは、笑いを堪えきれず大声で笑っており他の皆も伝染していくように笑い始めた。
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砂漠の軍神から砂漠の悪魔に変えさせてもらいました。




