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俺は異世界で軍師になる  作者: 中村竜野
第2章~カラハリ地方編~
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撤退戦1~バブル城~

 俺達は、シンクのおかげで帝国軍で逃げることが出来たが、まだガルーダ町に帰還できておらず仲間を見捨てた事により内心がはれやかではなかった。

 今の俺達は、数十の騎馬で駆けているが、先の小競り合いで半分ぐらいの馬が足に怪我をしており、思うように撤退が出来ていなかった。

 このままでは……敵に追いつかれる。そう思ったが外見には出さずに少しの休憩を命じた。

 その間は、馬や怪我している人の治療をアリスに頼んで、俺は一人で太陽の日陰となっている大きな木の近くに座って思案した。

 どうすればこの現状を打破できるのか。どうすれば皆を助ける事ができるのか。シンクと残してきた兵士達は大丈夫なのか。いろいろな思いが心の中から出てきた。

 そんな、俺のことをフリードが心配した表情をしながら話しかけてきた。


 「兄貴……自分ひとりで背負い込まないでくれよ」

 「え?」

 「兄貴は何か考えている時はいつも頭を掻く癖があるからわかりやすいんだぜ……そうやっていつも無茶しやがって」

 「だが……」

 「だがじゃねえよ。もしかして今回の作戦を失敗したのは自分だと思ってるのか?自分のせいでシンクの部隊が壊滅したと思っているのか!?」

 

 フリードはみるみるうちに激怒した表情をしながら声を荒げた。

 しかし、俺の方もその事に立ち上がって大きな声を上げていた。


 「お前に何が分かる!俺のせいで無駄に命を散らしたか……そもそも戦争なんてしなければこんな事にはならなかったんだ。このままでは俺だけでじゃなくお前たちまで……」

 「ふざけんなよ!?クソ兄貴!」

 「ぐはっ!」


 俺は、思い切り殴られてた。その行動が意外すぎて、どうする事もできずにただ地べたに顔を叩きつけられた。

 フリードは、地面に倒れた俺の襟を掴んだ。


 「そんなのは甘ったれた事を言うんじゃねえ!何が戦争をしなければよかっただ?今まで、死んだ兵士達の気持ちもわかんねえのか!シンクだってむざむざ死にに行くようなことはしてねえ!俺達に、最後の希望として託したんだよ!そんなのもわかんねえのか」

 「……希望?」

 

 俺は、何故か目元から涙が出てきたがそれを気にせずフリードの言った言葉を復唱した。


 「そうだ!俺達は、帝国に勝てると思って、残りの俺達を守ってくれたんだ!でも、兄貴は何もわからずただ黄昏たそがれて挙句の果てには自分のせいだと弱気になってんじゃあな……そっちの方が失礼じゃねえのかよ!」

 「…………」

 「俺のせいでもあるし、この遠征を考えたみんなのせいでもある。それを危険だと思いながら皆で決めたことなんだ。兄貴だけのせいじゃない。皆が支えてこそ仲間ってもんだろ?こんな時ぐらい一緒に背負わせてくれよ」

 

 ガサガサと近くから足音が聞こえてきたと思ったら治療していたアリスや兵士達が集まってきた。


 「お兄ちゃん、一人で抱え込まないで。いつでも私達が隣にいるから大丈夫だよ」

 「そうだぜ、マサキ様。俺達は好きでやってんだ」

 「俺達は、命令されたから来たんじゃない。自分達の意志で来たんだ」

 「いいこと言うじゃねえかよ。ははははっ!」

 「ほら、マサキ様も軽めですが、食事が出来ましたから一緒に食べましょうよ」


 俺はその光景を見た後にフリードの方を見ると、ほらなっと心の中で思ってそうな顔をしていた。

 ありがとうと内心で呟きながら目元の涙を手で払った。


 「ああ、ちょうど腹が減っていた所だったんだ。でも、酒とかはダメだぞ」

 「マジかよ!兄貴そこをなんとか」

 「……フリード。エミル様に言いつけるよ。帰還中に酒を飲んでいたって」

 「それだけは洒落になりません。許して下さい~。アリス様」

 「……どうしよう」


 その光景を見ていた俺達は、皆で笑った。これから帝国が追撃してくるのに全然負ける気がしなかった。


 


 投稿が大分遅れてすみませんでした。

 次回からは、死ぬ気の撤退戦が始まります。読んでもらえるととても嬉しいです。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。感想など受け付けています。

 撤退戦~前編~から撤退戦1~バブル城~に変更しました。

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