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俺は異世界で軍師になる  作者: 中村竜野
第2章~カラハリ地方編~
13/57

これからのするべき事

 俺たちはアカーサス城を陥落させてから1日が経過していた。玉座にエミルが座っており、少し離れた所に皆が姿勢を良く立っていた。 

 俺は、エミルの隣に控えて今後の事を説明していた。


 「我々は、ようやく城を手に入れる事が出来ましたが、今後どうするか分かるか?フリード」

 「おう!」


 フリードは元気良く返事をした。昨日の戦いで、ランスロットと一騎打ちで敗北してしょぼくれていると思っていたが、過去の事を気にしても仕方がねえ!、と入って疲れているにも関わらず鍛錬をしていた。

 俺もフリードみたいな人になりたいと少し思ってしまった。


 「まずはカラハリ地方を俺らの領土にする為にアイザック将軍をぶっ潰すんだろ?」

 「確かにそうだが、その前にやることがあるんじゃないか?」

 「やること?」

 「お金の問題ですね」


 フリードは俺の言葉に首を傾げていたが、アーミンが代わりに答えてくれた。

 

 「アーミンさんの言うとおりです。我々は何度も帝国軍を退けましたが、その分お金がかかりました。その為今のフリダム王国はお金がもう少しで底をついてしまいます。皆さんは何か案はありませんか?」

 

 皆はうーん、と頭を抱えていたがアリスが何かを考えたようで手を上げた。


 「何だ?アリス」

 「ここに町があるから商人を呼んで入城税を取る」

 「入城税か……どのくらい取るんだ?」

 「一回入るごとに一〇〇ルクス払う」

 「「「一〇〇ルクス!!」」」


 場の皆は驚いていた。普通の城の入城税は、地域ごとに違ってくるが一〇〇〇~二〇〇〇ルクスぐらいだ。そのため、一〇〇ルクスは破格の値段だ。

 アリスは続けて更に述べた。


 「でもその代わり物を売る時や泊まる時に追加で税金を払わせる」

 「そう言う事か!」

 「?……どう言う事?」


 今度はエミルが可愛く首を傾げた。

 俺は、アリスが考えた案を皆に分かるように教えた。


 「商人達が入城税を払ってこの城に入ったとすると人間の特性みたいなもので、払ったからには長く居たいと思うだろ?そこで、宿屋の出番だ!」

 「何でじゃ?」

 「商人達は元を取りたくて売り物が売れるまで城に残る間に宿屋を提供しお金を払わせる。その中の何割かは国に収める。しかも、この国で売買する物の何割かのお金も治める事で他の所よりも多く稼げると言うやり方だ!」

 「凄いですね。私もアリスさんを見習わなければなりませんね。早速取り掛かりましょう」


 マルニーアはそう言うとエミルにお辞儀をして、すぐに出て行った。

 俺も残った皆を集めて指示を出した。


 「フリードとシンクは他の町に行って宣伝してきてくれ。アーミンとゴットンは、マルニーアと一緒に城下町の整備を頼む。これは、王国の未来がかかっている。皆頼むぞ!」

 「「「おおー!!」」」


 ここに居る全員が腕を上げて声を上げた。その後は、俺の言った仕事をするために急いで出て行った。

 今いるのは、アリスと玉座に座っているエミルと俺だけになっていた。しばらくの間沈黙していたが、エミルが耐え切れなくなったのか口を開いた。


 「私にやる事とかない?ずっと玉座に座っているのも結構きついから」

 「今の所は無いかな?重要な書類とかも無いし」


 エミルは、言ってしまうと仕事がとても速い。重要な書類が山盛りに置いてあって、普通の人なら二、三日かかりそうなのを一晩で終わらせてしまう。本当は今日やるはずの仕事が昨日には終わっていて、仕事が無かった。


 「私は?」

 「アリスは、今回の案の責任者になってくれるかな?」

 「どう言う事やれば良い?」

 「城下町に視察に行って皆がちゃんと仕事をしているかどうかを調べるとかかな」

 「それじゃあ、お兄ちゃんも一緒に行こ?」


 アリスに上目使いで見られてドキッとしてしまった自分が居た。その事を顔に出ないように冷静に言った。

 

 「分かった。行くか」

 「やった。お兄ちゃんとデート」

 「ごほっ!!」


 俺は耐え切れなくなって咳が出てしまった。それとは別にアリスは、とても嬉しそうな顔をしていた。

 その光景を見ていたエミルは、玉座から急に立った。


 「私も行きます。町の視察に!」

 「え?でも」

 「私も行きます!」


 俺とアリスは何でエミルが怒っているのか分からず、ただただ首を縦に振ることしか出来なかった。



▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 俺たちは、アカーサス城下町を散策していた。町の皆は、帝国の支配から解放された事でとても喜んでいた。城下町は、ナストレアよりも大きくいろいろな屋台、武器防具屋などがあり熱心に皆が働いていた。

 俺は、真剣に町の視察に来ていたつもりだった。

 しかし、俺の左右の腕にぴったりくっついている者がいるので集中する事が出来なかった。左にアリスで、右にエミルがいて、それを見ていた町の人に冷かされてしまった。

 何でこんな事をするんだと言うとアリスはデート、エミルは知らないとふてくされながら答えた。

 エミルの怒っている理由が分からないが、仕事もしなければならないのでその件については後にした。

 俺たちは、城門近くにマルニーアとアーミンがいたので今の進行状況を聞いてみる事にした。


 「マルニーア。今、どんな感じですか?」

 「マサキ殿。両手に花とはよく言ったものです」

 「……すみません。私も恥ずかしいのですが、放してもらえなくて」

 

 マルニーアはそれを聞くと苦笑していた。アーミンの方は皆に指示を出しているようで忙しそうだった。ゴットンはここにはいなかった。


 「今は、アーミン殿に指示を出してもらって城門付近の整備をしております。ゴットン殿は町の整備をしておりましてここにはいません。私もここを見終わったら手伝いに行くつもりです」

 「そうでしたか、ありがとうございます。頑張って下さい」

 「ありがとうございます。仕事だけではなく、エミル殿とアリス殿の事もきちんと面倒を見てあげてくださいよ?」

 「……ご忠告ありがとうございます」

 

 俺は、礼儀をして素早くその場を後にした。

 その後は、町がどのように整備するのか気になったのだが、食べ物を食わされていた。


 「マサキ。このクレープおいしいわよ?あ~んしたいから口を開けて?」

 「お兄ちゃん。このイカ焼きおいしい。食べさせるから口を開けて?」

 「何でこうなってんだよ!仕事だろ!仕事だよな!」


 俺は、そう言いながら大きな声で叫んだ。エミルとアリスに食べ物以外でも遊んだりして、まるでアリスの言う通りデートをしに来た様にしか見えなかった。

 二人の食べ物を断る事も出来ず、急いで食べている所に一人の影が見えた。

 その影を追って上を見ていくと、そこにはにやにや顔のゴットンがいた。


 「良いの~、若いもんわ。こんな道端でいちゃいちゃしておって。しかも二人も」

 「いちゃいちゃしていません!それで今は進行状況はどうなんですか!」

 「そんな怒らんでも。今は、町の人たちも協力しておるので、意外と早めに終われそうじゃ」

 「そうですか。そのまま引き続きお願いします」

 「任せておけ!あと、忠告しておくが彼女二人を大事にするのだぞ?」

 「さっきも似たような事言われましたよ」

 「そう言う事が出来るのも若い頃だけじゃ。今は思う存分楽しめば良い。ははははっ!」


 ゴットンは高笑いをしながら仕事に戻っていった。

 俺は、それを見届けると俺の腕にくっついている二人の方を向いた。


 「今日の仕事はだいたい終わったから帰るか」

 「そうね。今日の所はこれぐらいにしといてあげる」

 「私も勉強になったから帰る。お兄ちゃんの事で」

 

 俺は、何を許すとか勉強になったとかは、ツッコミをしたかったがややこしくなると思ったので、止める事にした。

 そんなこんなで俺たちは城に戻ってきた。王広間に誰もいなく、玉座にエミルが座って隣に俺とアリスが立った。それで今日の調査の事を話した。


 「アリスが考えてくれた案は順調に実行できそうだな。このまま行けば三日もあれば出来そうだな。あとは……」

 「私たちのデートの事ね!」

 「はあ!?」


 俺は思わず素の返事をしてしまった。アリスも首を縦に振った。


 「もう少し仕事の事を忘れるべき。私たちの事をちゃんとエスコートしなければならない」

 「今日は仕事の為に城下町に言ったんだよな!あれ、俺がおかしいのか?」

 「命令です!次に視察行く時は、ちゃんと女の子をエスコートしなさい!マサキ!」

 

 エミルにドヤ顔で言われてしまった。

 その時、マルニーアは急いで走ってきた。


 「整備の事で話したいことがあるので、来てもらえませんか?アリス殿とエミル殿とマサキ殿」

 「すぐに行きます!アリス、マサキ」

 「分かった」 

 「待て!視察の時だけじゃ」

 「命令ですよ!」

 「お兄ちゃん……諦めが肝心」

 「何だとー!!」


 俺の声はアカーサス城の全てに響き渡るほどの大きな声だったと言う。


 

 ここまで読んでいただきありがとうございました。

 感想などありましたらよろしくお願いします。

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