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学校

 料理を食べ終わると、疲れがたまっていたのだろう花菜と清華姉はすぐに寝た。

 「嘉輝の料理はうまいな。ミラのは食えるんだがいつも味が微妙でな。」

 しいさんそれ以上言うとあぶないですよ。

 後ろにいますから本人。

 「いつも普通なんだよな。久しぶりに客が多かったから高級な牛肉を買ったんだがミラがつくると安い牛肉と味が変わら、ごっ。」

 頭を台所から持ってきたであろうフライパンで殴られたしいさんはそのまま気絶してしまった。

 「作れない人に言われたくありません!」

 怒ったミラさんはどこかに行ってしまった。

 まあ、自業自得だな。

 

 嘉輝が起きたのはまだ日が出てきたくらいだ。

 洗面所に行き顔を洗うと目が完全に覚めた。

 そのあと予備の歯ブラシをしいさんからもらったのでそれで歯を磨く。

 口をすすいで完了だ。

 台所に行き朝食の準備をする。

 献立は食パンに、目玉焼き、牛乳、簡単なサラダだ。

 目玉焼きを焼き終わる前にはみんな席についていた。

 「いやー、昨日の夜どうやって寝たかわかんないんだよな。なんか病人用のベッドで寝てたし。あと、頭が痛い。」

 昨日、殴られたところをさすりながら考えているしいさん。

 「できましたよ。」

 嘉輝はみんなの前に作ったものを置いていく。

 そのあとの朝食は賑やかなものだった。

 

 朝食を食べ終わり、早速今日から学校だ。

 嘉輝は花菜と清華姉に忘れ物がないか2回確認し、しいさんの医療所を出る。

 ミラさんについていくと大きな建物が見えた。

 「ここです。」

 そう言ってミラさんが指したのはさっきの大きな建物だ。

 「大きくないですか?」

 「ここは宿でもあるんですよ。卒業生たちがそこで寝泊まりしてます。それにここには研究施設があって、設備も充実してて卒業生なら申請さえ出せば使えるらしいです。」

 色々と、あるらしい。

 嘉輝たちは歩き出したミラさんに続く。

 中に入ると小さい子から老人まで多くの年層の人がいた。

 そのまま、ミラさんについて行くと教員室の前で立ち止まった。

 中に入るとメガネをかけた美人さんが近づいてきた。

 「シーサーの言ってた子ね。」

 「はい。」

 「あなたたち全員私のクラスだからちょっと待っててね。今日はいる人、もう一人いるのよ。」

 廊下でメガネの美人教師名前はアンジェリーヌ先生ともう一人を待っているのだが会話がない。

 嘉輝は意を決して話しかける。 

 「アンジェリーヌ先生はなんの科目を担当するんですか?」

 「アンジェでいいですよ。長いですし。あと、この学校では担当する先生が全ての担当です。戦闘や特殊の授業では他クラスとの合同授業ですのでそのときはほかのクラスの先生に教わるかもしれません。」

 「ありがとうございます。アンジェ先生。」

 嘉輝がのお礼に笑顔で返してくる。

 そのまま、少し話しているとアンジェ先生が手を振った。

 後ろを見ると、初老の男に付き添われた銀髪の女の子がこちらに歩いてきた。

 多分あの子がもう一人だろう。

 「担当することになったアンジェリーヌです。」

 「私はハクアお嬢様の付き添い人のダンディーです。」

 初老のダンディーさんの名前を聞いたとたん、花菜が腹を抑えて膝をついた。

 「だ、大丈夫ですか!?」

 アンジェ先生が焦って花菜に駆け寄る。

 「お腹が痛いんですね。いまヒールかけますから、少し待ってください。」

 いや、たしかにお腹が痛いんだろう。だが、回復魔法では治らない。

 「あ、大丈夫です。清華姉お願い。」

 「わかったわ。」

 清華姉は心得たとばかりに花菜を引きずって離れていった。

 「少ししたらもどると思おうので、話し続けてください。」

 アンジェ先生はわかりましたと言って、ダンディーさんとの会話を続ける。

 終わる頃にやっと二人が帰ってきた。

 「それでは行きましょうか。」

 今度はアンジェ先生についていく。

 さほど歩かず、アンジェ先生は止まった。

 「ここ5組が今日からあなたたちの学ぶ場所です。」

 少し待っててと言われたので、廊下で待つこと少々新しいお友達云々、5人もいるという話となりやっと入るよう促される。

 順番はハクア、ミラさん、そして花菜、清華姉となり最後に嘉輝だ。

 5人が入ると、数人の男子が立ち上がった。

 『このクラスは当たりだった!』

 数人の男子はアンジェ先生に注意されて座ったがじっとこちら(絶対俺ではない)を凝視している。

 「それではハクアさんから自己紹介していってください。」

 アンジェ先生はそう言って、教卓の前から避ける。

 あそこでやれということだろう。

 ハクアはトコトコと可愛らしい足取りで供託前に移動する。

 移動し終えたら、空中に文字を書き始める。

 なるほど、黒板がないのはああやってかけるからか。

 書き終わったハクアはそれを裏返す。

 「ハクア・バン=スーノ・エル・カイゼル・ラエール。これからよろしくしてくれ。」

 クラスの全員が名前を聞いて驚く。

 驚いてないのは嘉輝、花菜、清華姉とアンジェ先生だけだ。

 そのまま、ハクアは一礼をして避ける。

 しかし、ミラさんは固まってしまっている。

 花菜に視線で伝える。

 こっちを見た花菜はひとつうなづいて、ミラさんに耳打ちする。

 耳打ちされたミラさんはなぜかこっちを見てきて、顔が赤くなった。

 だが、体は動くようになったらしく教卓の前まで移動した。

 深呼吸をして

 「わた、っいた・・・舌かんだ。」

 盛大に噛みました。

 少し休んで再挑戦。

 「私の名前はミラエル・フォルンです。これから約1年よろしくお願いします。」

 礼をしたミラさんはハクアと同じくそこから避けた。

 「私、あの子の本名初めて聞いたわ。」

 隣の清華姉が耳元で囁いてくる。

 「たしかに、しいさんがミラ、ミラ言ってたので気にしなかったがちゃんとした自己紹介はしてなかったね。」

 嘉輝が清華姉に囁き返していると、もうすでに教卓の前にいる花菜が目に入った。

 その立ち姿は威風堂々・・・としようとしたのであろう姿だ。

 嫌な予感がするので、嘉輝はいつでも動ける姿勢で待機中だ。

 そして、花菜が口を開く。

 「我が名は深淵のダークマスター。煉獄の炎を使う地獄の―あいた。ちょっと嘉にぃ邪魔しないでよ!」

 嘉輝は速攻で止めた。

 「ちゃんとやれ。」

 嘉輝の言いたいことはそれだけだ。

 それ以外は何も求めない。

 「もう、こういうのは最初が肝心なのに。えっと、支倉花菜です。よろよろ。」

 嘉輝は出ていくのを我慢する。

 適当ではあるが、少なくともちゃんと名前を言っている。

 これ以上求めはしないと最初に決めたはずだ。

 嘉輝は自分の気持ちを落ち着ける。

 次に教卓を見るとすでに花菜は避けていて、清華姉が

立っていた。

 「私は支倉清華です。嘉輝ちゃんの嫁第一候補であり最有力候補の・・・って何嘉輝ちゃん?」

 さも当然のように虚言をはき、なんでというように首をかしげる清華姉。

 「俺たち姉弟だから。無理だから。」

 何回も言ったことを言う。

 こういうのは根気が大事だ。

 人間は忘れやすい生き物だから、何度も復習してやっと覚えれる。

 だから、何度も言うことが大事なんだ。

 「でも、義理だしね。」

 そして、いつもと同じ答えが返ってくる。

 そして、小さな声で付け加えた。

 「この世界じゃ戸籍はないから、姉弟もなにもないけどね。」

 たしかに、その通りだ。

 その通りではあるがそれは屁理屈というものではないのだろうか?

 まあ、清華姉が避けてしまったので嘉輝の番が来てしまったわけだ。

 嘉輝は重い足取りで教卓のとこに行き。

 クラスの方を向く。

 目の前からくる突き刺さってくるような視線。

 それはの発射地点は男子なのだが。

 しかし、花菜の言うとおり最初が肝心だ。

 ここは潔く、自己紹介をする。

 「支倉嘉輝です。結構世間に疎いこともあるので皆さんに迷惑をかけるかもしれませんが、そのときは助けてくれると嬉しいです。趣味は読書と料理です。皆さんと仲良くなりたいと思っているのでどんどん話しかけてくれると嬉しいです。これからよろしくお願いします。」

 言い終わった嘉輝は礼をして、清華姉の隣に移動する。

 アンジェ先生が席の場所を伝えてくる。

 まあ、全員一番後ろの席なのだが。

 ちなみに教室の造りは大学にいたものを感じる。

 しかし、ここで手を挙げるものがいた。

 そいつは、はっきり言うとチャラい男で胸にバラを指している。

 「先生、この人たちはまだ来たばっかりで右も左もわからないと思います。そこで提案なのですが、真ん中の方の席に新しく来た人たちを入れ、そこからひとつずつ後ろにずれればいいと思うのですが、どうでしょう?」

 意外とまともな事を言うので先生も考え始める。

 だが、多分あれは真ん中の方にいる自分の近くにこの4人の誰かはわからないが置いておきたいのだろう。

 「そうですね。そうしましょう。」

 アンジェ先生は考えた末にそう結論する。

 決まってしまったものは仕方ないのでおとなしく席が決まるのを待つ。

 それで再度決まった席は窓側の真ん中から少し後ろといったところだ。

 見事にみんな離れている場所になった。

 あのチャラい男の近くは花菜だ。

 「心配だ・・・。」

 花菜ではなくチャラい男の方が。

 何事もなければいいな。

 そんなことを祈る嘉輝だった。

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