カレー
台所に入るとキレイに整頓されていた。
以前使っていた人は嘉輝的にとても好感が持てる。
「まあ、あのしいさんが料理しないのはさっき発覚したからミラさんがやってるんだろうけど。」
嘉輝はまず冷蔵庫だと思われるものを見た。
「冷蔵庫だよな・・・。」
フォルムは冷蔵庫とさほど変わらない。
違うのは正面の4段に分かれている一番上の段の右側に虹色に光る石と思われるものがあることだ。
「ふむ。まあ、まず開けてみるか。」
何事もやってみることが肝心だ。
冷蔵庫(仮)に手を伸ばして、開けようとしたときしいさんが入ってきた。
「あ、冷魔器わかった。」
いや、わかったもなにも名前が初耳なんですけど。
多分、流れ的にこの冷蔵庫(仮)が冷魔器なんだろう。
「それじゃ、なんかわかってるみたいだから他のも教えなくても大丈夫そうだね。」
そう言って戻ろうとするしいさんの襟を掴む。
「戻れないんだけど。」
「説明してもらわないと大体しかわからないですよ。」
「わかった。」
しいさんは冷魔器(多分)に近寄った。
「こほん。あ、あ、あ、え、え、え、うー、うー、おー、お―」
「長い!喉整えるの長い!」
「・・・実は俺もこれらのことほとんど知らないんだよね。」
笑いながらそう言うしいさん。
「簡単でいいので、どんなやつかだけ教えてくれれば。」
「それなら大丈夫だ。」
そう言って、冷魔器を指差す。
「説明しよう!これは冷魔器という。用途は食品を長期保存するためらしい。あと、中は寒い。以上。」
やっぱり、これが冷蔵庫でいいらしい。
まあ、これからは余計なことを言わないようこっちの名称冷魔器と呼ばせてもらうが。
次に向かったのはどう見ても水道だ。
まあ、こちらもおな仕様に水が出るとこに石があるけど。
「これは・・・名前はわからん。用途は水を出すことだ。この町の水は汚いから、こうやって出す水以外は使えない。」
次に向かったのはコンロだろう。
そこにも同じく石がある。
「これはコンロ。火が出る。この上にフライパンや鍋などを置けば焼く、煮るなどができる。」
揚げ物はないのだろうか?あと、名前は変わらないらしい。
次に向かったのは嘉輝が唯一わからなかった黒い四角い箱だ。
右側にボタンが3つある。
これも同じく石がある。
「これは加熱魔器。冷魔器対をなすものだ。これはそうだな例えば少し冷えてしまったパンを暖かくして食べたいときにこの中へ入れてこのボタンを押せば少し経てば温かいパンになる。信じられんか?やってやろうか。」
「いえ、わかるので大丈夫です。」
嘉輝がそう言うと、あからさまに落ち込んだ。
説明したかったのだろう。
それにしてもレンジだったようだ。
「そして、さっきのボタンの下のこの二つのボタンは上のほうがパンを焼いたり、もう少し大きければピザを焼いたりもできるそうだ。その下のボタンは凍ったものを解凍できる。」
これ一つでレンジとオーブンの仕事ができるわけだ。
「それで、時間はどうやって設定するんですか?」
「ん?そんなのこれが勝手にやってくれる。食材の一番美味しいようにな。」
かなり高性能だった。
まず冷魔器の中を見るとそれなりに食材が入っていた。
以前使っていた人のおかげだろう。
「うーん、ちょっと待て。」
ここで一つ疑問が・・・。
「こっちの世界の食べ物と俺たちの世界の食べ物の味は同じなのか?」
だって、よくあるじゃん。似たような見た目だけど味が全く違うとか。
まあ、少し食べてみればいいんだけど。
嘉輝はひとまず安全そうな・・・とかはわからないので無難に野菜にする。
選んだのはきゅうりだ。
まず、よく洗う。
そして、塩を付ける。
そのまま食べる。
うん、うまい。
味は変わらない・・・と思う。
嘉輝は他のも同じと仮定してカレーライスを作ることにする。
肉はドロップアイテムで取れた何かはわからない鳥だが、アイテム名は「鶏肉」だから大丈夫だろう。
自然と鼻歌を歌い、次々と作業を進めていく。
炊いたご飯に作ったルーをかければ出来上がりだ。
ご飯は炊飯器というものはなかったのでなぜかあった釜で炊いた。
それでできたのがチキンカレー。
一応、アイテム名にもそうでてる。
味見をしたが、味も変わらない。
ちなみに、アイテムの詳細を見るやり方はここに来るときにミラさんが教えてくれた。
みんなが居た部屋に戻ると、花菜が駆け寄ってきた。
「出来た?」
「できたよ。」
「やったー!」
花菜がハイテンションで駆けていった。
そのあと、苦笑いのしいさんとミラさん、清華姉も移動した。