笑顔
とりあえず、目立つので中には入り事情を話した。
「ははは、そいつはすげーな。」
ちなみに、羊毛は半分お代替わりにしいさんに献上した。
「すごいじゃないですよ!私なんてオルバさんに教えてもらって一週間毎日やってやっとできたのにいきなりあんな大魔法出されたら!・・・いえ、もういいです。」
多分、批判したかったんだろう。
まあ、八つ当たりだが、言いたいことはよくわかる。
それに、言う気をなくすのもよくわかる。
大魔法を出した二人は・・・
「いや~、すごいね魔法ってこの水の龍出すの九つ出せばヤマタノオロチになるね。やってみよー。」
とか言って、9つ出して水の龍を10個出したおバカな花菜に。
「花菜。頭10個になってるわ。それにそれなら1つを束ねて作るんじゃなくて、9個の頭を持つ水の龍を出したほうが早いわ。」
とか言って、本当に出してしまう清華姉。
嘉輝は遠くを見るような目で二人を見てるミラの肩に手を置こうと思ったが、ミラさんは嘉輝から見ると結構小さいので頭に手を置く。
「ひゃう。」
ついでに、髪が触っているとサラサラしてて気持ちいいので撫でておく。
「ふぉ、あ、意外と、なかなか・・・って何いきなり触ってるんですか!」
「あ、ごめん。」
怒られたので、名残惜しいが手を離す。
「なに離してるんですか!いきなりが悪かったんです。」
・・・俺が悪いんだろうか。いや、そうだな俺が悪いな。
嘉輝はまたミラさんの頭に手を置き撫でる。
「はー、疲れが取れる。これはとても、いいです。なんかオルバさんのいびきのせいで眠れなかったストレスや、オルバさんのせいで食後のデザートを食べれなかったストレスや、オルバさんのせいで―」
「やめてあげて!もうしいさんすごくどんよりしてるから。どんよりしすぎでなんか黒いのがもやもやとってしいさんどこ行くんですか?・・・・・・あ、戻ってきた。ちょ、しいさんその輪っかにしたロープ何に使うんですか!」
寸前で、ロープを奪うことに成功する。
「いや、やっぱ俺はいらない人間なんだということに気づいてな。昔からクラスの奴が俺に話しかけてくるやつの第一声は「信用できない」、「老けてる」、「あら、いたの?」あとは―」
「いえ、もういいです。わかりましたから。大丈夫です。しいさんはいい人ですから。少なくとも信用はできる人なの知ってますから。」
嘉輝はそう言って、安心させるために微笑む。
それを見たしいさんは眩しいものを見る感じでこちらを見る。
「そうか、これが笑顔の完成形!まるで後光が射しているかのようだ!これを習得すれば俺は、俺は!」
という、よくわからないことで多大な時間が流れていった。