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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 14

魔王復活の儀式、鮮血のデーモンロード

エルフの里を出て、近くの人間街『ログ』に潜入した太郎とヒブネ。

酒場の噂話や、裏社会の情報の断片を太郎のスキル(金に物を言わせた情報収集)で繋ぎ合わせた結果、戦慄の事実が判明した。

「奴隷として売られているのではありませんでした……」

路地裏で、ヒブネが青ざめた顔で報告する。

「この街の地下には魔族が潜んでいます。彼らはエルフの魔力を利用し、かつて封印された『魔王』を復活させるための生贄として、同胞たちを攫っているのです」

「魔王復活……!? 生贄だって!?」

金儲けよりも遥かにタチが悪い。カルト的な儀式のために命が奪われようとしているのだ。

一刻の猶予もない。

「太郎様。私が囮になります」

ヒブネが言った。

「正面から乗り込めば、人質にされた同胞が殺されるかもしれない。私が捕まってアジトの深部に入り、内側から暴れます。その隙に、太郎様が救助を」

「……分かった。危険すぎる賭けだけど、それしかない。必ず助けるから、無茶はしないでくれよ」

作戦通り、ヒブネはわざと路地裏で魔族の下っ端に捕まり、地下水道の奥にあるアジトへと連行された。

太郎は気配を消し、少し距離を開けて追跡する。

辿り着いたのは、地下深くに広がる巨大な儀式の間。

血生臭い空気が充満し、中央の祭壇には禍々しい魔法陣が描かれている。

「ひひっ、また上玉のエルフが手に入ったぞ」

「こいつの魔力なら、魔王様の極上の糧になるぜ」

下卑た笑い声を上げる魔族たち。

その奥には、鉄格子に閉じ込められ、傷つき、怯えている数名のエルフたちの姿があった。

「さぁ、儀式を始めろ! その女の喉を裂き、聖なる血を捧げよ!」

魔族の幹部らしき男が叫ぶ。

ヒブネが祭壇に押し倒され、処刑鎌が振り上げられた。

(今だ……!)

暗闇に潜んでいた太郎が動いた。

『雷霆』を引き絞り、狙いを定める。標的は魔族ではない。

ヒュンッ!!

風切り音と共に放たれた矢は、ヒブネの両手を拘束していた手錠の鎖を、ピンポイントで射抜いた。

カキンッ!!

「なっ!? 鎖が切れた!?」

魔族たちが動揺する一瞬の隙。

太郎はアイテムボックスから、ヒブネの愛槍を取り出し、全力で投擲した。

「ヒブネ!!」

「はいッ!!」

ヒブネは宙を舞う槍をガシッと掴み取った。

拘束から解き放たれた彼女の瞳には、鬼神の如き怒りが宿っていた。

「よくも……よくも同胞たちを!!」

ヒブネが槍を旋回させる。

「風の精霊よ! 怒りを力に変えろ! 『ギガ・トルネード』!!」

ゴォォォォォォォォォォッ!!

狭い地下空間に巨大な竜巻が発生した。

下っ端の魔族たちが木の葉のように吹き飛ばされ、壁に叩きつけられて絶命する。

「し、死ねえええええええ!!」

ヒブネは叫びと共に、祭壇の上にいる魔族幹部へと肉薄した。

神速の突き。

ズドォッ!!

「ガハッ……!?」

白銀の槍が、幹部の心臓を正確に貫いた。

勝負あり。誰もがそう思った。

「オノレェェ……! 人間風情ガァァ……!!」

しかし、幹部は死ななかった。

彼は口から血を吐きながらも、不気味に笑った。

「我が命尽きるとも……魔王様の復活は止められん……!!」

幹部は呪文を唱えると、周囲に転がる下っ端魔族の死体から立ち上る血と怨念を、自らの体へと吸収し始めた。

「な、何だ!?」

ヒブネが槍を引き抜き、後退する。

幹部の体が膨れ上がり、皮膚が裂け、どす黒い筋肉と角が生えた異形の巨人へと変貌していく。

魔族の上位種、デーモンロードへの進化だ。

「グオオオオオオオオオッ!!」

咆哮だけで空気がビリビリと震える。

その圧倒的な威圧感に、檻の中のエルフたちが悲鳴を上げた。

ヒブネも槍を構え直すが、その手は僅かに震えている。

「くっ……! こいつ、再生した上に強くなってる……!」

絶体絶命の危機。

だが、その喧騒から一歩引いた場所で、太郎は静かに立ち尽くしていた。

彼はデーモンロードを見ていなかった。

彼が見つめていたのは、鉄格子の向こう側。

服は破れ、体には暴力の痕があり、恐怖でガタガタと震えながら、互いに身を寄せ合っているエルフたちの姿だった。

「…………」

太郎の目から、光が消えた。

温厚なパパの顔でも、陽気な冒険者の顔でもない。

かつて国一つを滅ぼしかけた魔神王を葬った時の、冷徹で、底知れない「英雄」の顔がそこにあった。

太郎がゆっくりと、雷霆に手をかけた。

静かなる激怒が、地下空間を支配しようとしていた。

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