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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 6

ギルド騒然! そして秘密の里へ

黒煙が燻る森の中。

ヒブネは、爆発によって半ば炭と化したキメラの惨たらしい死骸を見下ろし、ゴクリと唾を飲み込んだ。

調理用燃料でBランク魔獣を瞬殺する。その常識外れな戦果に、彼女の武人としての本能が震えていた。

「……本当に、勇者様なのですね。お見逸れ致しました」

ヒブネは太郎に向き直り、深々と頭を下げた。

「いやいや、道具を使っただけだし、運が良かっただけだよ」

太郎は謙遜するが、ヒブネの尊敬の眼差しは強まるばかりだ。

とりあえず、討伐証明部位となるキメラの角や、素材として使える牙や皮を採取し、一行は街へ戻ることにした。

「(やばいなぁ……。こんな大物を狩っちゃって、また騒ぎにならなきゃいいけど)」

太郎の背中に冷たい汗が伝う。

港街ガルの冒険者ギルド。

夕刻時で賑わうカウンターに、太郎たちは素材袋をドサリと置いた。

「へい、お疲れさん。ゴブリンの耳か? 数を確認するから……」

強面の受付係が袋を開ける。

次の瞬間、彼の顔色が青を通り越して真っ白になった。

「な……な、な……!?」

彼は震える手で、袋から巨大な獅子の頭部(角付き)と、太い蛇の尾を取り出した。

「キ、キメラだァァァァッ!!?」

その叫び声に、酒を飲んでいた冒険者たちが一斉に噴き出した。

「なんだと!? キメラ!?」

「Bランクの化け物だぞ! 騎士団でも一部隊が全滅するレベルだ!」

「誰がやったんだ!? まさか、その貧相なおっさんと新人パーティーが!?」

ギルド内が蜂の巣をつついたような大騒ぎになる。

冒険者たちがどっとカウンターに押し寄せ、太郎たちを取り囲んだ。

「おいあんちゃん! どうやって倒したんだ!」

「すげぇ魔法使いがいるのか!?」

「俺たちのパーティーに入ってくれ!」

フラッシュバックする「太郎国」での日々。

このままでは、また英雄として祀り上げられてしまう。

「ひぃッ! ほ、報酬だけください! 急いでるんです!」

太郎が叫ぶと、受付係は震える手で金貨の袋を渡した。

「あ、あぁ……これが規定の報酬だ。だが、ギルドマスターに報告を……」

「ありがとうございます! 失礼します!!」

太郎は金貨をひったくると、サリーとライザ、そしてヒブネの手を引いて、脱兎のごとくギルドを飛び出した。

人気のいない裏路地。

太郎たちは肩で息をしながら立ち止まった。

「はぁ、はぁ……。危なかった……」

太郎は膝に手をついた。

「不味いぞ……。このままでは、僕達の正体がバレるのも時間の問題だ。また『英雄様』扱いされて、自由な時間がなくなってしまう!」

「困りましたね……。サバラー大陸なら大丈夫だと思ったのですが」

サリーも困り顔だ。実力がありすぎて隠しきれないのが悩みどころである。

「どうしましょうか。もっと田舎の村へ移動しますか?」

ライザが提案するが、どこへ行っても魔物を倒せば同じことの繰り返しになる予感がする。

重い空気が流れる中、ヒブネが静かに口を開いた。

「……それでしたら、私の故郷、『エルフの里』に行きませんか?」

「え? エルフの里?」

「はい。深い森の奥にあり、結界で守られた場所です。人間は滅多に入れませんし、世俗とは切り離された、のどかな良い所ですよ」

「人間は入れない……! それなら、噂も広まらないし、静かに暮らせるかも!」

太郎の目が輝いた。

しかし、ライザが驚いた顔をする。

「え!? よろしいのですか? エルフ族は排他的だと聞いていますが……」

普通なら、人間を里に入れるなどご法度のはずだ。

「ハイ。私が長老に話を付けますよ。貴方達は私の命の恩人ですし、これほどの実力者なら里の者も認めざるを得ません」

ヒブネは優しく微笑んだ。

(それに、太郎さんの料理を長老たちにも食べさせてあげたいですし)

「ヒブネさん……! ありがとう! 是非連れて行ってくれ!」

太郎がヒブネの手を握りしめる。

「ふふ、分かりました。では、案内しますね」

こうして、行き場を失いかけた元国王一行は、次なる安息の地を求めて、伝説の「エルフの里」へと向かうことになった。

そこには、太郎の予想を超える「エルフの食事情」が待ち受けていることを、彼はまだ知らない。

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