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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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第二章 新たな旅立ち

英雄、逃亡するも顔バレする

「太郎国」の玉座を放棄し、城を抜け出してから数週間。

元国王であり、伝説の英雄・佐藤太郎と、二人の最強の妻たちは、自由気ままな冒険の旅を楽しんでいる――はずだった。

「……はぁ」

とある宿場の食堂で、太郎は深く溜息をついた。

顔には100円ショップで買った『パーティー用・鼻メガネ』をつけて変装している。

「ご注文は決まりましたか? お客様」

「あ、はい。このBランチを……」

「かしこまりました! ……って、そのお声! まさか!!」

店員の顔色が変わり、食堂中の視線が集まる。

「そ、その妙なメガネ! そして両脇に控える絶世の美女二人! 間違いねぇ! 初代国王、太郎陛下だああああ!!」

「うわあああ! 本物だぁぁ!」

「太郎様バンザイ! 太郎様バンザイ!」

「おい! 最高級の酒を持ってこい! お代は店持ちだ!」

またこれだ。

食堂は一瞬にして「太郎様ファン感謝祭」と化し、揉みくちゃにされた太郎たちは、ほうほうの体で店を逃げ出した。

街外れの森の中。

太郎は鼻メガネを地面に叩きつけた。

「駄目だ……! 何処に行ってもこれだ! 歓迎されて冒険どころじゃない!」

行く先々の村には「太郎像」が建ち、店で買い物をしようとすれば「お金なんて結構です!」とタダになり、ギルドに行けば「英雄様に頼める仕事などありません!」と断られる。

これでは冒険者ではなく、ただの大名行列だ。

「有名人はつらいですね、太郎様」

ライザが苦笑いしながら、水を差し出した。

「貴方の顔が刻印された金貨が流通していますし、吟遊詩人が貴方の武勇伝を歌って回っていますから。マンルシア大陸で貴方の顔を知らない者は、モグラくらいでしょう」

「うぅ……。僕はただ、無名の新人として『薬草採取』とか『ゴブリン退治』をして、稼いだお金で美味しいご飯を食べたいだけなのに……」

太郎が膝を抱えて落ち込んでいると、サリーがポンと手を叩いた。

「それでしたら、太郎様! 別の大陸へ行くのはいかがですか?」

「別の大陸?」

「はい! ここから海を渡った西の果てに、『サバラー大陸』という広大な大地があるそうです。そこなら、まだ私達の名前も知られていませんよ!」

サリーはワクワクした顔で、太郎のスキルから出した『世界地図帳』の端を指差した。

「サバラー大陸……!」

その響きに、太郎の冒険者魂(と食欲)が反応した。

情報が少ない未開の地。そこには見たこともない魔物、そして未知の食材が待っているに違いない。

何より、「ただの佐藤太郎」に戻れる場所だ。

「それだ! 行こう、サリー、ライザ!」

太郎はガバッと立ち上がった。

「目指すは新天地、サバラー大陸だ! そこで今度こそ、スローライフな冒険をするんだ!」

善は急げと、三人は港町へと向かった。

もちろん、正規の定期船に乗れば大騒ぎになるため、太郎たちはフードを目深に被り、コソコソと港の片隅へ。

「船はどうします? 買うにしても目立ちますが」

ライザが心配そうに言うが、太郎はニヤリと笑った。

「大丈夫。今回はこれを使うよ」

太郎がウィンドウを開き、取り出したのは**『インフレータブルボート(6人乗り・エンジン付き)』**。

ゴム製だが軍事用にも使われる強靭なボートだ。

「これなら魔法袋インベントリにしまえるし、誰にもバレずに出航できる!」

「さすが太郎様! 用意周到ですわ!」

三人は夜陰に乗じてボートを海に浮かべ、サリーの風魔法とエンジンを併用して沖へと滑り出した。

「さらば、マンルシア大陸! さらば、国王の地位!」

遠ざかる街の灯りを見ながら、太郎は叫んだ。

「待ってろよ、サバラー大陸! 新たな食材と、自由な日々よ!」

ボートは白波を立て、未知なる大陸へと舵を切った。

しかし、彼らはまだ知らなかった。

サバラー大陸が、過酷な自然と、筋肉と魔法が支配する「修羅の国」であることを。

第二章、開幕。

新たな大地で、100円グッズは通用するのか!?

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