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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 70

激闘クラーケン! 撒き餌作戦と雷龍の一撃

港街ポートセーリのギルドが手配した堅牢な軍船に乗り込み、太郎たちは沖へと出た。

空は晴れ渡っているが、海面は不気味なほど静まり返っている。

「さて……どう出るか」

太郎が『雷霆』を手に、油断なく海面を見つめる。

その時、船底からドォン! という衝撃が伝わった。

「来ました!」

ライザが叫ぶと同時に、海面が爆発した。

ザッパアアアアアアンン!!

水しぶきと共に現れたのは、マストよりも太い巨大な触手。

伝説の海魔、クラーケンだ。

ぬらりと光る赤黒い巨体が、船首にまとわりつき、軍船をミシミシと締め上げる。

「行きます!」

ライザが甲板を蹴った。

長剣に蒼き闘気を纏わせ、うねる触手へと斬りかかる。

「ハァッ!」

ガギンッ!

「くっ!? 滑りがあって、刃が通し難い!」

ライザが着地し、顔をしかめる。

クラーケンの表面を覆う分厚い粘液が、物理攻撃の威力を分散・吸収してしまうのだ。

「ライザ! 気を付けて!」

太郎は弓を構えるが、引き絞った弦を戻した。

(駄目だ……! 距離が近すぎる! ここで『必殺の矢』を放てば、爆発で船ごと沈没する!)

通常の矢では、あの巨体には針で刺す程度の影響しかない。

そうしている間にも、別の触手がライザを狙って振り下ろされる。

「ライザ! 離れて!」

「火の神よ! かの者を焼き払え! 『フレイム・バースト』!!」

サリーが杖を突き出す。

先端から収束された高熱の火炎ビームが放たれ、ライザを襲おうとした触手を正確に貫いた。

「ギュオオオオオッ!?」

水分を蒸発させられ、焼かれた痛みにクラーケンが悲鳴を上げる。

嫌がった海魔は、墨を吐きながら急速に海中へと潜っていった。

「逃げた?」

ライザが海面を睨む。

「……いや、そうは思わない。船底から奇襲を仕掛けてくる気だ」

太郎は冷静に分析した。

海中に潜られたら手出しができない。こちらの船が沈められるのを待つだけだ。

(考えろ……奴を海から引きずり出す方法を……)

太郎の脳裏に、先程の釣りの記憶が蘇る。

魚は美味い餌に食いついた。なら、魔物だって……。

「そうだ!」

太郎はウィンドウを開き、**『強力集魚用・撒き餌(アミノ酸30倍配合)』**という業務用の大袋を取り出した。

「太郎様?」

「この世界の人達は、僕が出す食べ物に感動する! 旨味成分は万国……いや、万魔共通のはずだ! なら魔物だって!」

太郎は袋を破り、ピンク色の粉末状の撒き餌を豪快に海へとばら撒いた。

「食えるもんなら食ってみろ!!」

撒き餌が海水に溶け出し、強烈な磯の香りと旨味エキスが拡散していく。

すると、数秒後。

ボコッ、ボコボコボコッ!

海面が沸騰したように泡立った。

海中のクラーケンが、未知の「極上の餌」の匂いに理性を失い、踊り食いせんと浮上してきたのだ。

「!?(ウマそうな匂いだ!!)」

クラーケンが海からその醜悪な頭部と全触手を晒した。

「今だ! ライザ、サリー!」

「はい! 氷よ、全てを凍り尽くせ! 『ブリザード』!!」

サリーが最大出力の氷結魔法を放つ。

濡れた体で海上に飛び出したクラーケンにとって、冷気は致命的だ。

カチカチカチッ!

一瞬にして巨体が氷漬けになり、巨大な氷のオブジェと化した。

必殺の時は来た。

太郎は相棒である『雷霆』を構え、つがえた『必殺の矢』に全神経を集中させた。

「雷霆……頼むぞ」

『承認……限界解除……』

雷霆が主の意思を汲み取り、形状を変化させる。

弓の両翼が展開し、青白いプラズマがバチバチと迸る。

つがえられた漆黒の必殺の矢は、エネルギーの過充填により紅く、熱く光り輝き始めた。

ゴゴゴゴゴ……!

太郎の周りに、雷の粒子が舞い、龍の形を成していく。

「行くぞ! 必殺! 『雷霆龍の一矢らいていりゅうのいっし』!!」

ズバァァァァァァッ!!

放たれた矢は、もはや矢ではなかった。

紅い雷を纏った巨大な雷龍となり、空間を削り取りながら直進した。

雷龍は凍り付けのクラーケンをそのあぎとで食い破り、体内から炸裂した。

ドガガガガガアアアアアアアンン!?

水平線の彼方まで響くような轟音。

巨大な水柱と爆炎が上がり、クラーケンの肉片は分子レベルまで粉砕され、蒸発した。

波が収まると、そこには何も残っていなかった。

「やったあああ!!」

「やりましたね! 素晴らしい一撃でした!」

サリーとライザが抱き合って喜ぶ。

太郎はゆっくりと弓を下ろし、何もない海面を見つめた。

「うん……勝ったね」

そして、グゥ〜と腹の虫が鳴いた。

「……でも、イカ焼きパーティーは無理だったかな。木っ端微塵にしすぎちゃった」

最強の一撃を持ってしまったが故の悲哀。

太郎は幻となった巨大イカ焼きを惜しみつつ、勝利の凱旋へと舵を切るのだった。

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