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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 45

甘い魔力水と、魔法の寝袋

ダンジョン攻略の準備期間。

太郎のマイホームのキッチンは、さながら小さな工場のようになっていた。

「よし、どんどん作るぞー」

太郎が『食品』カテゴリから大量に取り出したのは、1缶100Pの『お汁粉(粒あん・190g)』だ。

これを温め、異世界の携帯用の水筒や、100円ショップで買った『耐熱ボトル』に移し替えていく作業が進んでいた。

「絶対にこれは売れるわよ! 砂糖は魔力回復に直結するし、何より市場に出回っている『魔力回復薬マナ・ポーション』より断然安いもの!」

サリーがボトル詰めを手伝いながら、鼻息を荒くしている。

この世界のポーションは、苦くて不味い上に、一本で金貨数枚もする高価な品だ。

それに比べて、このお汁粉は甘くて美味しく、即効性のエネルギー(糖分)補給になる。

「ふふっ、そうね。あのドラゴンスレイヤーのパーティーが愛飲している『秘薬』と言えば、皆飛びつきますわ」

ライザも手際よくラベルを貼っていく。

『ピカリ味見する~!』

作業中、ピカリが鍋に残ったお汁粉に顔を突っ込んだ。

『ん~っ! 甘~い! 美味しーい!』

「コラぁ! ピカリ! 盗み食いしない! それは商品よ!」

「あはは、まぁまぁ。ピカリの分も別にとってあるから」

太郎は苦笑いしながら、小さな皿にお汁粉を分けてあげた。

翌日。

冒険者ギルドの一角に、太郎たちの特設ブースが設けられた。

看板には『太郎印のダンジョン攻略グッズ』の文字。

「はいはい! いらっしゃい! ドラゴンスレイヤー御用達! 太郎印の防寒グッズは入りませんかぁ!」

サリーが愛嬌たっぷりに声を張り上げる。

「荷物にならなくて、軽い寝袋や懐中電灯も有りますよ~」

ライザが実演販売を行う。

彼女が手にしているのは、銀色の薄いシート――『アルミブランケット』と、コンパクトな『封筒型寝袋』だ。

「見てください。こんなに薄く折り畳めますが、広げれば極寒の山でも凍えない温かさ。重い毛布を持ち歩く時代は終わりました」

さらに、太郎は『LEDハンディライト』を点灯させた。

「そしてこれ! 松明たいまつ要らずの『魔法の灯り』です。煙も出ないし、風で消えることもない。ダンジョンの闇を昼間のように照らしますよ!」

『お汁粉美味しいよ~! 魔力が元気になるよ~!』

ピカリも空中でボトルを抱えて宣伝する。

英雄たちの出店に、ダンジョンへ向かう冒険者たちがどっと押し寄せた。

「おぉ! ドラゴンスレイヤーが勧める品か!」

「あの光る筒、すげぇ! 魔法具じゃないのか!?」

「それにこの『オシルコ』とかいう黒い飲み物……サリー嬢ちゃんがドラゴン戦で飲んでたアレか!?」

噂は既に広まっていた。

「買う買う! 俺にもくれ!」

「その銀色の布、5枚くれ! パーティー全員分だ!」

飛ぶように商品が売れていく。

「お汁粉10本! 銀貨1枚で!」

「まいどあり~!」

太郎はチャリンと銀貨を受け取り、商品を渡す。

原価100ポイント(約100円)の商品が、銀貨(数千円)で売れる。

利益率は驚異の数千パーセントだ。

「こっちも完売だ!」

「追加補充します!」

結局、持ち込んだ商品は瞬く間に売り切れとなった。

冒険者たちはホクホク顔で「太郎印」のグッズをリュックに詰め込み、ダンジョンへと向かっていく。

「ふぅ……儲かった」

空になった在庫と、銀貨でパンパンに膨れ上がった革袋を見て、太郎たちは顔を見合わせた。

「これ、ダンジョンに潜る前にもう家一軒分くらい稼いじゃったんじゃない?」

「太郎さんの商才には驚かされますわ……」

ダンジョン特需と100円ショップスキルの相性は抜群だった。

懐も豊かになり、装備も万端。

いよいよ太郎たち自身も、ダンジョン攻略へと乗り出す準備が整った。

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