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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 37

凱旋の牛鍋、禁断の生卵

ソウルワイバーンを討伐し、アルクスに平和を取り戻した太郎たちは、英雄として冒険者ギルドに凱旋した。

ギルド内は、生還した冒険者たちの安堵と、勝利の祝杯を挙げる熱気に包まれていた。

「良くやった! お前達!」

ヴォルフが満面の笑みで出迎える。

「あの絶望的な状況を覆すとはな。やはりお前達は、この街の希望だ!」

「ありがとうございます、ヴォルフさん」

太郎は照れくさそうに頭をかいた。

緊張の糸が切れたのか、ドッと疲れが押し寄せてくる。

「あぁ~、疲れたぁ……。魔力すっからかんよ」

「私もです……。お腹が空いて、力が入りません」

サリーがテーブルに突っ伏し、ライザもお腹を押さえて苦笑いする。

ピカリも太郎の頭の上で『おなかぺこぺこー!』と抗議している。

「そっか。みんな疲れてるし、お腹も限界だよね」

太郎は仲間たちの顔を見て、ポンと手を叩いた。

「よっし! 僕が料理を作っちゃおっかな! 今日は特大のご馳走だ!」

「えぇ!? 何々! 何作るの!?」

「楽しみだわ。太郎さんの料理は外れがありませんから」

「任せてよ。肉だ、肉!」

太郎は再びギルドの厨房を借りた。

今回はとっておきのメニューだ。

『食品』カテゴリから、奮発して高ポイントの食材を取り出す。

【 特選黒毛和牛(すき焼き用):3000P 】

【 すき焼きのたれ(老舗の味):200P 】

【 新鮮こだわり卵(10個入り):300P 】

【 白菜・長ネギ・焼き豆腐・しらたきセット:400P 】

「まずは牛脂を溶かして……」

熱した鉄鍋に牛脂を引くと、香ばしい煙が立つ。

そこに、霜降りの牛肉を並べ、ジューッという音と共に焼き目をつける。

そして、醤油と砂糖、みりんが絶妙に調合された「割り下」を流し込む。

ジュワァァァァァ……!!

砂糖の焦げる甘い香りと、醤油の芳醇な香りが混ざり合い、厨房からホールへと爆発的に広がった。

これは、日本人のDNAを揺さぶる「すき焼き」の香りだ。

「なんだそれは……この旨そうな匂いは……酒が進みそうな香りだぞ!」

執務室から降りてきたヴォルフが、鼻をヒクヒクさせて厨房を覗き込んだ。

「へっへっ、ヴォルフさんも一緒にどうですか? 『スキヤキ』っていう鍋料理ですよ」

太郎はカセットコンロごと鍋をテーブルに運んだ。

グツグツと煮える鍋の中では、甘辛いタレを吸った牛肉や野菜が踊っている。

「では、頂きます!」

「い、いただきます!」

まずはそのまま、肉を食べる。

「う、美味いいぃぃ!! 何これぇ!?」

サリーが目を丸くする。

「お砂糖とお醤油の甘辛い味が、柔らかいお肉に染み込んで……噛むたびに肉汁が溢れます!」

「本当に美味しい……! 普通のシチューとは全く違う、濃厚な味付けですわ!」

ライザも熱々の肉を頬張り、恍惚の表情を浮かべる。

「くぅぅっ! この濃い味付けがエールに合う! 堪らんな!」

ヴォルフもジョッキ片手にのようなフォークが止まらない。

「あ、そうそう。これがないと始まらないんだった」

太郎は一度食べるのを止め、手元の小鉢に殻を割った「生卵」を入れた。

「生卵?」

「うん。こうやって溶いて……」

太郎は熱々の牛肉を、溶き卵にたっぷりとくぐらせ、口へと運んだ。

「う~ん、美味しい! やっぱりこれだよ!」

濃厚なタレの味を卵がマイルドに包み込み、肉の熱さを程よく冷ましてくれる。これぞ完全食だ。

しかし、異世界人たちの反応は違った。

「そ、そんな!? 生卵を食べるなんて!?」

サリーが悲鳴を上げた。

衛生管理が発達していないこの世界では、卵は完全に火を通して食べるのが常識だ。生で食べるなど、腹を壊す行為に等しい。

「生臭くないんですか? それに、お腹を壊したり……」

ライザも少し顔をしかめている。

「大丈夫! これは僕のスキルで出した『新鮮で安全な卵』だから。絶対に当たらないよ」

太郎は自信満々に言った。

「良いから、食べて見てよ。味が劇的に変わるから!」

「うぅ……太郎さんがそこまで仰るなら……」

「信じるわよ、リーダー!」

二人は意を決して、自分の小鉢に卵を割り入れ、恐る恐る牛肉をくぐらせた。

黄金色の卵液を纏った肉を、口に入れる。

トゥルン。

「…………!!」

二人の表情が一変した。

「美味しい! 本当だ! 全然生臭くない!」

サリーが声を弾ませる。

「タレの味が濃いから、卵と混ざると丁度いい濃さになるのね! それにトロトロしてて喉越しが良いわ!」

「美味とは、この事ですね……」

ライザも感嘆の溜息を漏らす。

「卵のコクが加わって、味がより一層深くなりました。熱々のお肉も冷めて食べやすいですし、これは計算され尽くした食べ方ですわ」

「だろ~?」

太郎はニヤリと笑った。

ヴォルフも豪快に卵を絡めて食べ始めた。

「ガハハハ! こりゃいい! 精力がつきそうだ!」

『ピカリも! ピカリもたべるー!』

「はいはい、ピカリには白菜とお豆腐ね」

鍋を囲んで、同じ釜の飯を食う。

死闘を乗り越えた仲間たちとの宴は、甘辛く、そして温かい味がした。

こうして、アルクスにまた一つ、新たな食文化が刻まれたのだった。

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