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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 6

震える王と、悪魔からの招待状ラブレター

【ルナアシア大陸・グランディス王国 王宮・軍議の間】

「へ、陛下! た、大変でございます!!」

重厚な扉が乱暴に開かれ、あの大臣が転がり込んできた。

円卓を囲み、対・太郎国対策を練っていたアルフレッド国王と将軍たちの視線が一斉に集まる。

「騒々しいぞ大臣! 今は国家存亡の危機、極秘会議中だぞ!」

「そ、それどころではございません! き、来ました! 『奴』からです!」

大臣は、震える手で一通の封書を差し出した。

封蝋には、太郎国の紋章(※太郎が適当に描いたおにぎりのマーク)が押されている。

「ま、まさか……太郎国からの……?」

「は、はい。太郎王からの『親書』が、早馬にて……」

部屋の空気が凍りついた。

アルフレッドはゴクリと唾を飲み込み、震える指でペーパーナイフを握った。

爆発でもするんじゃないかとおっかなびっくり封を開け、中の羊皮紙を取り出す。

「よ、読むぞ……」

アルフレッドは視線を落とした。

そこには、太郎の達筆(スキル補正済み)な文字が踊っていた。

『拝啓 グランディス国王 アルフレッド陛下』

『突然のお手紙、失礼致します。マンルシア大陸の太郎です。』

(……来た。なんと馴れ馴れしい書き出しだ。これが強者の余裕か……!)

『最近、そちらの大陸でも不穏な空気を感じているかと思いますが、実は近々、伝説の魔王が2体ほど復活しそうです。』

「なっ……!?」

アルフレッドが声を荒げた。

「き、聞いたか皆の者! 『魔王が復活しそう』だと!? これはつまり……『我が国は魔王の復活を予期している(=制御下にある)』というアピールか!?」

「なんと恐ろしい……! 魔王をも手駒にすると言うのか!」

将軍たちがざわめく。

『つきましては、それに対抗するため、我が国では大陸を半分くらい吹き飛ばせるかもしれない兵器を大量生産することにしました。』

「ヒィィィッ!!?」

アルフレッドは椅子から転げ落ちそうになった。

「た、た、『大陸を半分吹き飛ばす兵器』だとぉぉ!? そ、それを『大量生産』しただとぉ!?」

文面には「かもしれない」と書いてあるが、パニック状態の脳はそれを「確実な未来」として処理した。

あの岩をも砕く『必殺の矢』の、さらに上位互換。

それが雨あられと降り注げば、グランディス王国どころか、ルナアシア大陸そのものが消滅する。

「こ、これは脅しだ……! 『大人しく従わねば、大陸ごと消し飛ばす』という、究極の恫喝だ!」

さらに、手紙の続きがトドメを刺した。

『ですが、安心して下さい。これはあくまで対魔王用であり、貴国を侵略する意図は毛頭ございません。』

「嘘をつけぇぇぇ!!」

アルフレッドが叫ぶ。

「『侵略する意図はない』……それは、侵略者が国境を超える直前に必ず言う常套句だ! 『安心しろ』と言いながら、核兵器級の矢を突きつけているようなものではないか!」

そして、最後の一文。

『むしろ、協力して平和を守りましょう。もし魔王がそちらに行ったら、うちの竜王と不死鳥を派遣して焼き払いますので、ご遠慮なく仰ってください。』

アルフレッドの顔から血の気が完全に引いた。

彼は、その文面をこう翻訳した。

(翻訳:さっさと降伏して協力しろ。もし逆らったり、魔王(=太郎の兵器)の邪魔をしたりすれば、破壊神竜王と不死鳥を送り込み、貴様の国を焼き払う(焦土作戦)。遠慮なく死ね。)

「あ、悪魔だ……。奴は人の皮を被った悪魔だ……」

アルフレッドの手から、手紙がパラリと落ちた。

太郎の「善意」は、恐怖というフィルターを通して「最悪の悪意」へと変換されてしまったのだ。

「陛下! いかが致しましょう!?」

大臣が泣きそうな顔で尋ねる。

アルフレッドは、ガタガタと震える膝を叩き、決死の覚悟で立ち上がった。

窮鼠猫を噛む。追い詰められた王は、叫んだ。

「やるしか……やるしかない!!」

彼の目は血走っていた。

「座して死を待つより、戦って死ぬを選ぶ! 直ちにルナアシア全土に檄文を飛ばせ!!」

「は、はい!」

「ミルト共和国、バルド帝国、聖教国ルーン……全ての国家元首を緊急招集だ! 議題はただ一つ!」

アルフレッドは拳を振り上げた。

「『世界連合軍』の結成だ!! 悪の枢軸・太郎国が保有する『大陸破壊兵器』と『魔獣軍団』に対抗するため、人類の全戦力を結集する! これは聖戦だ!!」

「ウオオオオオオッ!!」

「グランディスに栄光あれ!!」

軍議の間は、悲壮な決意と熱気に包まれた。

太郎が「魔王対策」のために作った兵器が、皮肉にも「人類同士の最終戦争」の引き金となろうとしていた。

当の太郎は、

「手紙、ちゃんと読んでくれたかな? きっと分かってくれるはずだ」

と、のんきに牛丼のおかわりをサクヤに頼んでいる頃であった。

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