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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 46

分断された戦場と、涙の槍

【タロウ城・中庭】

出撃の刻。

太郎は、目の前に立つ巨躯の男を見上げた。

「じゃあな、デューク。気を付けてな。……あと、向こうに着いたらリリカーナ女王によろしく」

「フン、誰に向かって言っておるのか。我は竜王ぞ」

デュークは鼻で笑うと、一歩後ろに下がった。

次の瞬間、まばゆい光と共にその姿が膨れ上がる。

グオォォォォォォォ……!!

現れたのは、城をも見下ろす巨大な黄金のドラゴン。

その背中に、フレアとフェリルが軽々と飛び乗った。

「旦那様! お土産は魔族の首でよろしいかしら?」

「行ってくるよご主人! 美味しい魚あるといいな!」

「じゃあな、行くぞ!」

バサァッ!!

竜王の巨大な翼が羽ばたき、突風が巻き起こる。

三柱の最強種は、矢のような速度で天高く舞い上がり、南の空――シーラン国の方角へと消えていった。

それを見届けた太郎は、表情を引き締めて振り返った。

「よし! 僕達は北だ! エルフの里へ急ぐぞ!」

「「「はいッ!!」」」

太郎、サリー、ライザ、ヒブネ、サクヤ、そしてヴァルキュリア。

六騎の馬(ヴァルキュリアは自力飛行の方が速いが、スタミナ温存のため騎乗)は、土煙を上げて城門を飛び出した。

【エルフの里・外縁部】

数時間の早駆けの末、森の空気は焦げ臭いものへと変わっていた。

美しい緑に包まれていたはずのエルフの里は、今や黒煙と悲鳴に包まれた戦場と化していた。

「な……っ!」

先頭を走っていたヒブネが絶句した。

入り口の巨木はへし折られ、美しい家々が魔族の放つ火矢で燃えている。

同胞たちが逃げ惑い、それを醜悪なオークやゴブリンの軍勢が笑いながら追い回している。

「あぁ……私の里が……」

ヒブネの美貌が、憤怒に歪んだ。

「貴様ら……よくも……! 私の里を、同胞達を汚したなァァァ!!」

「ヒブネ!?」

ヒブネは馬から飛び降りると、愛槍を握りしめて単身突撃した。

冷静な判断力を持つ彼女とは思えない、激情に駆られた特攻だ。

「死ねぇぇぇ!! 魔族共おおおお!!」

ズバッ! ドスッ!

ヒブネの槍が唸りを上げ、オークの喉を貫き、ゴブリンを薙ぎ払う。

しかし、敵の数は多い。殺気立った彼女を囲むように、武装したオーガたちが集まってくる。

「ヒブネさん! お待ち下さい! 孤立します!」

ライザが馬上で叫び、自らも飛び降りた。

「はぁぁぁッ!!」

『竜殺しの魔剣』が一閃。ヒブネの背後から襲いかかろうとした魔物を両断する。

「ライザ……!」

「気持ちは分かります! ですが、今は連携を!」

二人の女戦士が背中合わせになり、前線を支える。

太郎も到着し、惨状を目の当たりにした。

「酷い……。ここまで蹂躙されているなんて」

「太郎様! 上空から失礼します!」

ヴァルキュリアの声だ。

彼女はすでに馬を捨て、背中の光翼を展開して天空へと舞い上がっていた。

これぞ神兵騎士団長の本領発揮である。

「薄汚い魔族ども! 天罰を受けるがいい!」

ヴァルキュリアが翼を広げると、そこから無数の黄金の羽根が生成された。

「『ゴールド・フェザー』!!」

ヒュヒュヒュヒュッ!!

光の雨が降り注ぐ。

羽根一本一本が鋭利な刃となり、地上の魔族たちの頭上を正確に貫いた。

「ギャァァァ!?」

「空だ! 空から攻撃が!?」

敵陣が混乱する隙に、ヴァルキュリアは戦場を俯瞰し、太郎の元へ急降下した。

「太郎殿! 状況確認しました!」

「報告を!」

「里の長老や非戦闘員たちは、里の最奥にある『世界樹の祠』に身を潜めています! 現在、残った防人達と太郎国軍の常駐兵が結界を張り、死守している様子! ですが、結界が破られるのも時間の問題かと!」

「分かった! 優先順位は避難民の保護だ!」

太郎は瞬時に戦況図を描き、指示を飛ばした。

「サリー! 君は回復魔法のエキスパートだ。怪我をして動けない人達の治療を頼む!」

「任せてくださいわ! 一人も死なせません!」

「サクヤ! 君もエルフだ、里の地理には詳しいだろう? サリーの護衛と、避難誘導の手助けを!」

「承知いたしました。……同胞を傷つけた罪、料理(物理)して差し上げますわ」

サクヤの瞳の奥にも、静かな怒りの炎が宿っている。

「ヴァルキュリア! 君は空からの機動力を活かして全体を見つつ、苦戦している防人達への火力支援カバーを頼む! 何か戦況が変わったらすぐに僕に報告を!」

「御意!!」

ヴァルキュリアが再び空へ舞い戻る。

「ヒブネ、ライザ! 前線を押し上げて道を作るぞ!」

「はいッ!!」

「行くぞ……!」

太郎は背中の『真・雷霆』を握りしめた。

里の中での使用は危険すぎるが、出力調整を誤らなければ、最強の援護射撃になるはずだ。

「ここから先は、太郎国の管轄だ! 一匹たりとも逃がすな!!」

王の号令と共に、反撃の火蓋が切って落とされた。

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