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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 21

魔改造された相棒、その名は『真・雷霆』

城の地下深くにある兵器庫。

ひんやりとした空気と、油の匂いが漂うその場所に、太郎は一人で佇んでいた。

手には、長年連れ添った愛弓であり、剣にも変形する万能武器『雷霆らいてい』が握られている。

「はぁ……。最近じゃめっきりご無沙汰してるよな」

太郎は布で丁寧に雷霆を磨きながら、独り言を呟いた。

魔王を倒し、最強種たちが居候し、平和になった今、この武器を振るう機会は激減していた。

「いつかまた、お前と思いっきり暴れたいな。……お前も退屈してるだろ?」

ヴン……。

雷霆が小さく震え、赤い光を明滅させた。主の言葉に応えているようだ。

「主よ、何をしてるんだ?」

背後から野太い声が響いた。

振り返ると、竜王デュークが腕を組んで立っていた。暇つぶしに城内を散策していたらしい。

「あぁ、デュークか。武器の手入れだよ」

「ほう。それは何だ? ただの弓にしては、妙な魔力を感じるが」

「え? これは『雷霆』と言って、伝説の武器なんだ。意思を持っていて、使い手と共に成長するんだよ」

太郎が説明すると、デュークの目が怪しく光った。

「ほぉ……成長するか。武器が意思を持つとは面白い」

デュークは興味深そうに近づき、雷霆に手を伸ばした。

「どれ……少し試してやろう」

「え?」

ドクンッ!!

デュークの手から、禍々しいほどの赤黒いオーラが噴き出した。

竜王の覇気、破壊のエネルギーそのものだ。

「はっ!?」

雷霆がビクンと跳ねた。

しかし、デュークはお構いなしに、その膨大な魔力を無理やり雷霆にねじ込んだ。

「我の力の一端をくれてやる。受け取れるか?」

バチバチバチッ!!

雷霆が悲鳴を上げるように赤く発光し、熱を帯びる。

「わぁっ! 何するんだよ! 壊れちゃうだろ!」

太郎が止めようとした時、さらに二つの影が現れた。

「何してんの〜? 面白そうな音がする!」

「旦那様? ここに居らっしゃいましたの?」

フェリルとフレアだ。

地下から溢れ出る異常な魔力を感じ取ってやってきたのだ。

「丁度良い。貴様らも、この武器に力を注げ」

デュークがニヤリと笑って命じた。

「こやつは『成長する武器』らしい。我等の力を注げば、どこまで成長するか見ものだぞ」

「へぇ〜! なにそれ、実験? 面白そ!」

フェリルが無邪気に笑い、雷霆の切っ先を掴んだ。

「じゃあ僕も! **『絶対零度アブソリュート・ゼロ』**の魔力をあげる!」

パキパキパキ……!

灼熱の竜王の力に、フェリルの極寒の凍気が混ざり合う。本来なら反発して爆発するところだが、雷霆という器の中で奇跡的な融合を始めた。

「旦那様の武器ですのね? でしたら……」

フレアがうっとりとした表情で、雷霆のグリップ(太郎が握っている部分)に手を重ねた。

「私の**『愛の力(不死鳥の再生と浄化の炎)』**を注ぎますわ♡ 旦那様を守る、永遠の愛を……!」

ゴオォォォォォッ!!!

「ちょ、ちょっと待って!? キャパオーバーだって!!」

太郎の叫びは光に飲み込まれた。

竜王の破壊力。

狼王の氷結力。

不死鳥の再生力。

世界の頂点に立つ三柱の力が、一つの武器の中で渦を巻き、限界を超えて圧縮されていく。

『グオォォォォォン……!!!』

雷霆そのものが、獣のような咆哮を上げた。

兵器庫が激しく揺れ、棚が倒れ、壁に亀裂が走る。

やがて、光が収まると――。

そこには、以前とは似ても似つかない姿の武器があった。

深紅と蒼銀、そして黄金の三色が複雑に絡み合い、常に神々しい粒子を放っている。

ただそこに在るだけで、空間が歪んで見えるほどの威圧感。

**『真・雷霆シン・ライテイ』**の誕生である。

「何これ……」

太郎は震える手でそれを握った。

軽い。羽のように軽いのに、振れば大陸の一つくらい両断できそうな力が伝わってくる。

「フハハハ! 見ろ! 素晴らしい輝きだ!」

デュークが高笑いする。

「これで主は、神や邪神如き、好きに倒せるぞ! なんなら世界を再構築できるかもしれん!」

「良かったな! 主! これで僕と全力で遊べるね!」

フェリルも尻尾を振って喜んでいる。

「ふふっ♡ これでいつでも私の愛を感じられますわね、旦那様♡」

フレアも満足げだ。

「…………」

太郎は白目を剥きそうになった。

ただ懐かしくて磨いていただけなのに。

いつの間にか、相棒が『惑星破壊兵器クラス』に進化してしまった。

(こ、こんなの……うかつに試し撃ちも出来ないよ……!)

最強種たちの「善意」という名の「魔改造」。

太郎の胃痛の種が、また一つ増えたのであった。

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