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スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


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EP 38

深淵の神殿、復活の魔王デュランダル

シーラン国の北に位置する『深淵の神殿』。

古びた石柱が並ぶその場所は、異様なほどの魔力濃度で満たされていた。

太郎、デューク、サクヤの三人が神殿の入口に足を踏み入れると、闇の中から数体の影が飛び出してきた。

「な、なんだ! 貴様らは!?」

現れたのは、不気味なローブを纏い、禍々しい気配を放つ魔族たちだった。

「お前達こそ、ここで何をしている!?」

太郎が問いただす。しかし、魔族たちは鼻で笑い、殺気を露わにした。

「フン、嗅ぎ回るネズミが来たか。下等生物如きが我等の邪魔をするか!?」

魔族たちは杖や曲刀を構え、一斉に三人に襲いかかろうとした。

だが、その切っ先が届くより早く、漆黒の影が動いた。

「ほぉ……。我に刃を向けるとは、愚かにも程が有るわ」

デュークが一瞬で間合いを詰め、リーダー格の魔族の顔面を鷲掴みにした。

「がッ……!?」

魔族は悲鳴を上げる暇もなく宙に吊り上げられる。

目の前に迫る黄金の瞳を見て、魔族は戦慄した。この圧倒的な覇気、ただの人間ではない。

「りゅ、竜王……!? なぜこんな所に!?」

「質問をしているのは我だ」

ギリギリギリ……。

デュークの指に力が込められる。魔族の頭蓋骨が悲鳴を上げ、ミシミシと嫌な音を立て始めた。

「お前らの企みは何だ? はやく言え」

「ぐ、ぐあぁぁぁ……!!」

「言わぬなら、このまま握り潰す」

デュークがさらに力を込める。慈悲など欠片もない。

「ぎゃあああ!! 言います! 言いますからァ!!」

魔族は泣き叫びながら白状した。

「ま、魔王デュランダル様の復活の為に、魚人達の魂と魔力を集めていました! 必要な魔力はもう溜まった……い、今から復活します!!」

「魔王デュランダルだと……? 面倒な名前が出てきたな」

デュークは冷たく呟くと、興味を失ったように腕を振るった。

「そうか。手間をかけたな」

グシャアッ!!

「――ッ!!?」

デュークは魔族の頭をトマトのように握り潰した。

リーダーを失った残りの魔族たちが恐怖で逃げ出そうとするが、サクヤが包丁を投擲し、太郎が雷霆で撃ち抜き、一瞬で制圧した。

「だ、そうだ。……あるじよ、どうする?」

デュークが手を払いながら振り返る。

太郎は神殿の奥、脈動するような闇の気配を見据えた。

「復活まで秒読みってことか……。先を急ごう!」

三人は神殿の最深部へと駆け込んだ。

そこには巨大な祭壇があり、集められた大量の魔力が黒い渦となって収束していた。

そして、その中心から、世界を凍らせるような冷徹な声が響いた。

「……騒がしいな。目覚めの時くらい、静かに迎えさせてはもらえぬのか」

闇が晴れると、玉座には一人の男が座っていた。

蒼白い肌に、天を衝く角。身に纏うのは漆黒の鎧。

かつて海を支配し、封印された古の魔王デュランダルが、完全に実体化していた。

「ほぉ……。誰かと思えば、竜王デュークか」

デュランダルはゆっくりと立ち上がり、デュークを見下ろした。

「長き眠りから目を覚ましたら、随分と落ちぶれたものだ。人間の飼い犬に成り果てたか? 愚かなトカゲだ」

その侮蔑の言葉に、空間がビリビリと震える。

だが、デュークは不敵な笑みを崩さなかった。

「……フン。寝起きで頭が回らんようだな」

デュークが一歩踏み出す。それだけで神殿の床に亀裂が入った。

「誰が飼い犬だ? 我はただの『ラーメン愛好家』であり、こいつの『友人』だ」

「友人だと? 笑わせる」

デュランダルが右手を掲げると、膨大な魔力が圧縮され、黒い球体が生成された。

「堕ちた竜王よ。まさか完全復活した私に、その老体で敵うとでも?」

「抜かせ」

デュークの全身から、黄金の闘気が噴き上がる。

「寝言は死んでから言う物だ。……デュランダルよ、貴様には二度目の死をプレゼントしてやる」

最強の竜王と、復活の魔王。

深海の神殿を舞台に、次元を超えた激突が始まろうとしていた。

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