表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/191

EP 36

深海からのSOS 〜女王リリアーナの願い〜

ある日の午後。

太郎、デューク、サクヤの「ラーメン同盟」の三人は、城下町に新しくできたラーメン店『麺屋・あじさい』から出てきたところだった。

「ふむ……。あの魚介スープ、中々だったな」

「ええ。ですが、少し麺の湯切りが甘かったですわね」

「チャーシューの厚みは評価に値するぞ。だが、やはり我らの『ドラゴン火炎担々麺』には遠く及ばん」

ラーメン談義に花を咲かせながら歩いていると、ふいに周囲の空気が湿り気を帯びた気がした。

人混みの中から、透き通るような青い髪と、深海のような瞳を持つ絶世の美女が静かに歩み寄ってきた。

「……もし。勇者太郎様でいらっしゃいますか?」

鈴を転がすような美しい声。

太郎は足を止めた。

「は、はい。僕が太郎ですけど……(凄い美人さんだなぁ)」

太郎が見惚れていると、隣にいたデュークがサングラスをずらし、フンと鼻を鳴らした。

「貴様……リヴァイアサンか」

「えっ!?」

太郎が驚いて女性を見る。

以前、ビーチでデュークに恫喝され、大量の財宝を置いて逃げ帰ったあの巨大な海竜だというのか。

「はい。お久しぶりです、デューク様。……リリアーナです」

リリアーナは優雅にドレスの裾をつまみ、恭しく一礼した。

人型をとったその姿には、かつての巨大な怪物の面影はなく、高貴なオーラが漂っている。

「リリアーナ? 君は一体……?」

「実は私、この沖合の海中にある国、**『シーラン国』**で女王をしているのです」

「女王様だったの!?(あんなにペコペコしてたのに)」

「そうなんだ。で? そんな女王様が、僕に何か用かな?」

太郎が尋ねると、リリアーナの表情が曇った。

「……はい。実は今、シーラン国で緊急事態が起きているのです。民達が、原因不明の**『謎の病』**で次々と倒れてしまって……」

「謎の病?」

「はい。体が動かなくなり、高熱が出て、皮膚が変色してしまうのです。私共の抱える優秀な医者に見せても皆目見当もつかず、治療法も見つかりません。途方に暮れ、頭を悩ませていた時に……勇者太郎様の事を思いだして、恥を忍んで参った次第です」

以前、太郎たちが国を救った噂や、常識外れの力(100円グッズ含む)を持っていることを小耳に挟んだのだろう。

サクヤが口元に手を当てた。

「まぁ、大変ですね。海の中の病となると、地上の薬が効くかどうか……」

あるじよ。どうする?」

デュークが腕を組み、太郎を見た。

「我は知らぬ仲ではないが、面倒ごとは御免だ。だが……決めるのは主だ。貴様が行くと言うなら、付いて行ってやらんこともない」

デュークなりの遠回しな「助けてやろうぜ」という合図だ。

太郎は迷わずに頷いた。

「うん、行くよ。困っている人がいるなら放っておけないし、リリアーナさんにはバカンスの時にお土産(財宝)も貰ったからね」

「おぉ……! ありがとうございます、太郎様!」

リリアーナがパァッと顔を輝かせた。

「では、善は急げだ。サクヤも来てくれるかい? 料理の知識が役に立つかもしれない」

「勿論です。未知の深海食材にも興味がありますし」

「よし、出発だ!」

一行はリリアーナの案内で、港へと向かった。

人気のない桟橋で、リリアーナが海に向かって手を広げる。

「では、参りましょう。深海への道を開きます……『オーシャン・ゲート』」

海面が割れ、光り輝く水の階段が現れた。

さらにリリアーナは魔法で三人を大きな空気の泡で包み込んだ。

「これで水中でも地上と同じように呼吸ができます」

「すごい! 天然の潜水艦だね」

太郎たちは泡に包まれ、海の中へと沈んでいった。

色とりどりの魚たちが舞い踊り、太陽の光が青く揺らめく幻想的な世界。

しかし、深く潜るにつれ、光は届かなくなり、静寂な闇が広がり始めた。

やがて、海底に巨大なドーム状の結界に守られた、珊瑚と真珠で作られた美しい都市が見えてきた。

「あれが、私の国……シーラン国です」

海中国家シーラン。

太郎たちを待ち受けるのは、未知の病と、深海に潜む新たな謎。

ラーメン屋台の店主から一転、ドクター太郎(?)としての戦いが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ