俺と5年付間、付き合った彼女は俺との記憶をいずれはすべて忘れてしまうのだろう!
“俺と5年間、付き合った彼女は俺との記憶をいずれは、
すべて忘れてしまう!“
俺の名は、東川アズヒ28歳、営業の仕事をしている。
俺の彼女は俺より3つ下で、同じ会社の受付の仕事をしている!
俺と彼女は、“会社にバレないように隠れて5年間も付き合っている。“
もうそろそろ、“結婚を意識し始めており、上司にふたりの結婚報告を
しようと話し合っていた頃、“ まさかの出来事が起きた!?
・・・どうも彼女の言動がおかしい!
先言った事を、また直ぐ言ってみたり。
同じ事を何度も繰り返ししていたりと何か変なのだ。
俺は彼女を連れて病院に行く事にした。
『先生! 彼女がなんだかおかしくて。』
『小野岡さん、これをやってみましょうか? これは何に見えますか?』
『“・・・い、犬”』
『・・・い、犬ですか、』
『先生、』
『じゃあ、これは? 数字が隠れています、何の数字が隠れていると
思いますか?』
『・・・わ、分かりません、』
『分からない、そうですか......。』
『・・・・・・』
『東川さんだけ少し残って、小野岡さんは外で待っててくれますか?
椎名さん、小野岡さんをお願いしていいかな?』
『はい、先生!』
『じゃあ、小野岡さん! ワタシと一緒に外で待ってましょうか。』
『・・・あぁ、はい、』
*
『・・・せ、先生、』
『“ハッキリ言いますね! 彼女は、アルツハイマーだと思います。”』
『・・・ア、アルツハイマー?』
『“若年性認知症”』
『き、記憶がなくなっていく、あれですか?』
『そうです。』
『もう元には戻せないんですか?』
『“症状を遅らせる事は出来ますが、治す事は今の医学ではまだ、”』
『・・・そ、そんな、』
『“近い将来、アナタの事も彼女は全て忘れるでしょう。”』
『・・・お、俺との記憶が全て消える?』
『“新しい記憶からどんどん失っていきます、多分! 思っているよりも
早い段階でアナタの事を忘れるかもしれません、それに耐えられますか?”』
『・・・お、俺との記憶が、』
『彼女にとって、アナタがもう誰か分からなくなります、それでもアナタは
彼女の傍にずっと一緒に居る事ができますか?』
『・・・・・・』
『“私がこんな事を言うのはおかしいとは思いますが、彼女と別れるなら
早い方がいいですよ、彼女のご両親にも連絡して面倒を見てもらうように
してもらった方がいいでしょうね。”』
『・・・そ、それは、まだ、』
『“よーく考えて決めてください!”』
『・・・あぁ、はい、』
・・・病院の帰り、俺と彼女は俺達二人の想い出の話をしながら
家に帰った。
きっと彼女は、”今日俺と話した事も全て忘れてしまうのだろう。”
何もかも全て、”俺との大事な記憶が失われるのだ!”
俺は彼女が俺の事を全て忘れてしまっても一緒に暮らしていけるの
だろうか?
そんな事を思いながら、俺は彼女と家に着く。
『“ねえ、アズヒ?”』
『うん?』
『今日の晩、外で何か食べに行こうよ。』
『うん! 何が食べたい?』
『“回転ずし!”』
『いいね! 食べい行こう。』
『うん。』
この日の晩、俺は彼女と家の近くにある回転ずしに行ったのだが、
彼女の行動がなんだかおかしい?
『柚? 何してんの?』
『・・・お寿司どうやって食べるんだっけ?』
『えぇ!?』
『箸の使い方が分かんなくなっちゃった!』
『・・・手、手で食べたら?』
『そっか、手で食べるね。』
『・・・ううん、』
・・・とうとう本格的に、いろいろ忘れてしまっている事に気づく。
箸の持ち方が分からない、お茶も右手に持ったり左手に持ったり、
どうしていいのか分からくなってるみたいだ。
こうやっていろいろと忘れていくのかな。
俺は彼女と5年付間付き合って、もうそろそろと結婚も考えていた。
彼女のウエディングドレス姿を見たかった。
でも? 今のままじゃ”結婚“なんて考えられない!
俺の事も全て忘れてしまう彼女との結婚が怖くなっている自分がいたんだ。
病院の先生が言ったように、今のうちに彼女と別れるべきなのか?
あんなに大好きだった彼女が、なんだか凄く遠くに感じている。
彼女と結婚するという事は? ”彼女の介護をはじめる事だ!“
俺はそれに耐えられるのか、、、?
仕事をしながら、彼女の介護も、、、。
それが分かっていて、本当に彼女と結婚なんて、どうしたらいいのだろう。
彼女は日に日に、”女性から少女に返っている気がする。“
幼い子供のように、無邪気に笑う彼女が俺の目の前に居る!
嬉しい気持ちと悲しい気持ちが込み上げてきて、彼女の前で俺は
泣きそうになった!
俺は今の彼女を、これからも愛し続けていけるのだろうか?
そんな事を考えると、不安に押しつぶされそうになる!
俺はこの先も彼女と生きて行けるのか?
不安だが、それでも今の俺は彼女と離れるという選択は考えられない!
例え? 彼女が俺との記憶をすべて忘れてしまっても、それでも俺は
彼女と生きて行く事を諦めきれないのだ。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。