勘違い
結衣菜は、なぜかルキノの話になるとピリつく。
そして、いきなりバイバイしたあと…結衣菜は、オレにそっけない態度をとるようになってしまった。
携帯に連絡しても、返事がない。
学校でも、ほとんどあわない。
たぶんめっちゃ避けられておりますね。
困っていると、ルキノが
「もしかして、結衣菜と喧嘩した?」
って聞いてきた。
…
「あー…まぁ、うん。そんなところかな」
「もしかして、原因ってわたし?」
…
どうなんだろ…
正直…はっきりとは、わからないんだよな…
「喧嘩の原因っていうか…いきなりバイバイって言われてさ。」
「えっ?いきなりは、ないでしょ…その前になんか話とかしてた?」
…
「うん…実は、ルキノのことを少しね。」
ルキノは、しばらく一点をみつめて静かに口をひらいた。
「わたし、結衣菜にいうよ」
「えっ…でも…」
「いい。たぶん結衣菜、勘違いしてると思うんだ」
「なにを?」
「わたしが、週一で冬希の家いってるのもどこからか漏れててさ、しまいにはわたしが冬希を好きみたいな噂があるの」
「えっ?そうなの?」
「うん、だから結衣菜に言ってみるわ」
「ありがとな。でも、病気のことみんなにバレたら嫌なんだろ?」
「ううん、やっぱりさ…色んな人が知ってた方が、なんかあったら対処してくれそうじゃない。だから、言う。それに冬希を好きって誤解解きたい。そして先輩にダメもとで告白しよっかなって思ってる」
「そっか」
ルキノは、ひとつ上の先輩に一目惚れしたらしい。かなり前にそんなことを聞いていた。ルキノは、なにかが吹っ切れたみたいにスッキリした顔をしていた。
そして、きちんと結衣菜にも低血糖のことと、アレルギーのことを伝えたらしい。
あと、週一でオレの家にきている理由も話したとのことだ。
ルキノはアレルギーがあるから、料理が得意なうちの母さんに米粉を使った色んな料理を習っているのだ。
結衣菜は、納得してくれた。
おかげで、やっと普通に話してくれた。
「わたしどうかしてた。ごめん」
ってさ。
仲直りができてよかった〜
ルキノは、先輩に告白して友達からってことになったんだって。
仲直りして、それからまた普通に一緒に帰ったとき、公園で寄り道してたら、結衣菜が質問してきた。
「ねぇ、冬希」
「うん?」
「冬希は、やっぱり冬が好き?」
って。
「オレは、オレは…春が好きだな。桜がさ、好きなんだよね」
…
少し沈黙の後、結衣菜は
「冬希ってば、ウザすぎだよ‼︎」
って言ったんだ。
「はぁ⁉︎」
「わたし帰る」
「なら、送るよ」
「いい‼︎ついてこないでっ‼︎」
…
最近の結衣菜は、少々怒りっぽい。
更年期じゃあるまいし…まったく困った彼女ですね。
せっかく仲直りしたばっかりなのに。
もうすぐ迫りくる高校受験ってこともあって、ピリついているのかもしれないな。
しばらく放っておくべき?
一応家に着いたであろう時間あたりに、電話してみた。
でも、出なかった。
そのかわり、スンとした顔のスタンプが送られてきた。
だから次の日部活終わり、結衣菜も部活が終わるまで学校の門の前で待っていた。
結衣菜が友達と歩いてきたからオレは聞いたんだ。
いきなり帰った理由を。
「結衣菜、昨日どうしたんだよ」
ってさ。
そしたら結衣菜は、かなしそうに
「冬希は、やっぱりわたしよりルキノの方が好きになっちゃったんだね。」
って意味のわからないことを言い出した。
「えっ?」
「前にわたしに言ってきたよね?ルキノが気になるって。」
「へ?」
「だから、わたしも…そうだと思ったって答えたじゃない。そしたら、冬希…知ってたならよかったってさ…」
え?
ん?
…
えっ⁉︎
「どう言うこと⁉︎オレが好きなのは、結衣菜ですけど?」
「いいよ、もう。この前だってルキノの名前入ってるやつばっかり好きって言ってさ。無意識なの?春が好きとか桜が好きとかさ、ルキノの名前二個も入ってる。春紀乃桜子ってさ‼︎」
ギロリとオレをにらむ結衣菜。
え…
「もしかして、それが理由でこの前バイバイっていきなり帰っちゃった?」
「うん」
…
「単にオレは春の桜がすきなだけで…あと、ルキノのこと気になるってさ…それは、好きとかじゃなくて…気になる?って結衣菜に聞いたんだよ?オレがルキノを気になるって言ったんじゃないよ。結衣菜に気になる?って聞いたの」
「えっ⁉︎そ、そうなの?わたし…てっきりルキノを気になって仕方ないって言ってるのかと…でも、ルキノから病気のこと聞いて、病気だから気になって仕方ないって意味だって思って…だから、一度は仲直りしたんだけど…春とか桜とか好きって言うから…」
「結衣菜、オレは確かにルキノの病気は、心配だけど、一番好きなのは結衣菜だし、ずっとそばにいてほしいのも結衣菜なんだ。心配と好きは、違う。オレは結衣菜が一番大好きなんだ。だから、今まで勘違いさせて嫌な思いさせたことは、謝るよ。ごめんね。でも、わかってほしい。オレは結衣菜が大好きだから。誰よりも結衣菜が好きです‼︎」
「ちょっと…みんなに聞こえるから…」
「うん、かまわないよ。オレは結衣菜が大好きでーす‼︎」
と、大きな声で宣言した。
近くにいた結衣菜の友達は、驚いた顔をしていた。
でも、結衣菜の恥ずかしそうな顔をみるなり、状況を察したみたいで、
「「「おめでと〜」」」
と、にこやかにいい
「先にうちら帰るね!お幸せに〜♡」
と、帰っていった。
「結衣菜、一緒に帰ろ?」
結衣菜は、今までの勘違いを理解したみたいで、
「うん、勘違いしててごめんね」
って言いながら、優しくオレの手を繋いできた。
しかも、恋人繋ぎって…
ゆっくり指を絡めてくなんて…
「ゆ、結衣菜…その繋ぎ方ヤバすぎ」
「え?」
「え?じゃないって‼︎天然かよ⁉︎」
オレは、そんな結衣菜が大好きすぎてまだ学校の近くなのにキスをいたしました。
だってめっちゃかわいいんだもん♡
「結衣菜、大好き♡」
「わたしも大好き♡」
こうして、やっと仲直りしました。
これからめっちゃイチャイチャしたいと思います♡
おしまい♡