デート
久々の近くでみる結衣菜さんは、とにかくかわいい。
なんなら、遠くからみてもやっぱりかわいい。
かわいくね⁉︎
かわいいをだれかと共有したい。
でも、男友達との共有は断固拒否‼︎
結衣菜さん、かわいいよなぁなんていいだす野郎は、目潰しの刑だ。
とりあえず今は、目の前の結衣菜さんと向き合おう。
結衣菜さんは、オレをみつけるなり微笑んだ。
目の前の結衣菜さんは、笑うと涙袋がぷくっとして、さらに笑うと口角が上がってオレにはどストライクなのだ。
だから、この笑顔が待ち合わせと同時にみられてオレは、キュン死寸前です。
「お待たせ」
「オレも今きたところだよ。じゃ行こっか」
「うん」
早速、結衣菜さんの手を握った。
もうさ、手繋いでいい?とか聞いている場合ではない!
やっとこの結衣菜さんだからね!
手を繋いでも振り払われることは、なかった。
なのでそのまま、たわいもない会話をして無事、目的地の映画館に到着です。
「オレ、この映画めっちゃみたかったんだよね」
「今、大人気だもんね」
「ね!」
映画館に着いて、飲み物とポップコーンという名の必須アイテムを入手して、席に座った。
席に着いて、なんとなく結衣菜さんをみると、ニッコリ微笑んでくれた。
か、かわいいってばさ!
かわいいが爆裂しながらも、なんとか必死に落ち着いて映画鑑賞をした。
エンドロールが流れ出すと、オレのドーパミンもサラサラ流れた。
「あーめっちゃよかったわー」
「ほんとだよねぇ〜」
からだの中に溢れ出すドーパミン。
映画の余韻にひたりつつ、なんならこのまま二回目までみちゃいたいくらいだ。
しかし、そんなことしたら映画館の人に怒られてしまう。
余韻という沼から抜け出すしかない。
仕方なくドーパミンの沼から、無事はいだすことに成功。
てか、余韻なんぞにひたっている場合じゃなかった‼︎
オレには、かわいい結衣菜さんっていう彼女がいるじゃないか!
「行こっか」
「うん!」
また、白くて折れてしまいそうな手をそっと握った。
途中でソイラテを二つ購入して、公園へ向かった。
もうすぐ春がやってくる。
冬だけど、チラチラと春がチラついている。
チラ見せする春。
なぜだろう。
夏はキンキンに寒い冬がとても恋しくて、冬はめっちゃ暑い夏が恋しいんだよなぁ。
春になると、なぜか爽やかな明るい気分になる。
もうすぐ、この冷たい空気が温かくなってオレを包み込んでくれる。
そうおもうから、春は…好きなのかな。
包み込んでくれるっていうか、オレが春をまとっているのかな。
春というカーディガンに。
秋は、少し切なく…でも、イベントのワクワクが同時に押し寄せる。
秋は、ガチのカーディガンが必要になってくる。
…
とりあえず座ろっと。
ベンチに並んで座った。
一旦落ち着いて、ソイラテをチューチューした。
「あ、そうだ!映画のおまけ、なんだったろう?今、みてみよっかな」
「そうだね!わたしもみてみようかな」
ガサゴソと、荷物をあさりセーノであけることにした。
「「せーのっ」」
ビリっ
…
「オレ…ミドリのごんぞうだったわ。」
「あー…わたしは、ブラックぺぺっ婆。」
「「あはは」」
どっちも独特なキャラやんけ…
マニアックもいそうだけど、オレの狙っていたキャラじゃなかったー。
「オレの推しキャラじゃなかったわ」
「わたしも。でも、わたしの推しは、冬希くんだから…なんて…」
恥ずかしそうにオレをみる結衣菜さんが、なんとも可愛らしくて、オレはついに崩壊した。
久しぶりにキスをして、抱きしめた。
「あー…ずっと結衣菜さんロスだったから、離れられない。」
「嬉しい。わたしもずっとこうしたかった」
「よかった。」
しばらく、充電タイムが始まった。
あったかいし、落ち着く。
人間ホッカイロって、このことを言うんだ。
…だれもそんなこと言ってないか?
あー、でもこの時間ってほんとすごいと思う。
これは、保存できないものか?
写真や音は保存できるんだから、温もりも保存できてもよくない?
保存袋とかだれか開発してくれないかな?
オレが開発しよっかな…?
そのためには、結衣菜さんの協力が必要だ。
ってか、発明よりも呼び名‼︎
「結衣菜さん、あのさ…呼び名なんだけど、そろそろさん付けじゃなくて、他に呼んで欲しい呼び方とかある?」
「それって…ルキノが前に言ってたから?」
「あー…まぁ、それもあるかな」
「ルキノって…ううん、そ…そうだよね。いつまでもさんとかくんつけてると、よそよそしいよね!わたし、結衣菜って呼んでもらいたい。」
「呼び捨てでいいの?」
「うん。仲良しって感じだから、そうしたいの。ダメ?」
「ううん、ダメじゃないよ。ゆ…結衣菜♡なら、オレも呼び捨てで呼んで欲しいな」
「うん、わかった。冬希♡」
「「ふふ」」
お互い照れながら名前を呼び合ったのでありました。
続く。