表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

脳みそ

 次の休み時間は、忘れていた宿題もなく、落ち着いて過ごすことができました。

 

 

 ふと、目にとまったのはルキノが持っていたミニ下敷きだった。

 

 映画を観た人にだけ配布される限定品。

 

「ルキノ映画行ったの?」

「うん!」

「面白かった?」

「すんごくよかったよ。わたしこのキャラ好き」

「わかる!オレも好き」

「なんかさ、心になにか秘めてるって感じだよね」

「わかる。奥が深そうなのがまた魅力的!しかも少しセクシー」

「わかる〜。ほんとそこがたま魅力よね〜」

「なー、いいわぁ」

「ほんと好き〜」

 

 ん?

 

 …

 

 なんか視線を感じる…?ってなり、視線の方をみると、結衣菜さんがいた。

 

 

「結衣菜じゃん。」

 ルキノの言葉に結衣菜さんが教室に入ってきた。

 

 

「…あ、ルキノ教科書ありがとね」

 結衣菜さんがルキノに教科書をかえした。

 

「今度も、うちに借りな。冬希は、エロいカードとか教科書に挟んでそうだし。」

「なんだよそれ、挟んでねーから」

「どうだかぁ?」

「二人は…仲良いね」

「そんなことないよね?冬希」

「あー、うん。まぁね」

「そっか。……わたしそろそろ教室戻るね」

「うん」

「冬季ー、そういうとこだよ!彼氏なんだから送ってやりなよ。」

「あ、そ、そうだね!」

「ううん。大丈夫だよ、じゃルキノほんとありがとうね」

 と、結衣菜さんはルキノにお礼を述べつつ微笑んで教室へ帰った。

 

 目が合わなかった…

 

 結衣菜さん…

 オレには、微笑んでくれないの?

 

 …自ら送るよって言わなかったし、気が利かなかったからか?

 

 あー…やってしまった。

 

 気の利かないオレよ。

 

 バカめ‼︎

 

 

 

 

 

 それからは新人戦を控え、お互い部活が忙しくなってしまって、なかなか一緒に帰る時間がなかった。

 

 雨の日でも体育館での練習だから、なかなか部活が中止になることがお互いない。

 

 終わる時間も別々だったりして、オレは結衣菜さんロスになりそうだった。

 

 

 あー、結衣菜さーん‼︎

 

 今すぐ抱きしめてキスさせてくださーい‼︎なんて、体育館で大声で叫んだらヤバいやつ確定だ。

 

 いや…それどころじゃ、すまないだろう。

 

 仕方なく冷静という透明のヨロイをまとい、部活に専念した。

 

 危うく透明のヨロイは、汗で流れ落ちるところでしたよ。

 

 

 …

 

 

 そして結衣菜さんロスを積もらせて家に着いた。

 

 

 オレは学校でも、家でもだいたい結衣菜さんのことをおもっている。

 

 てか、考えているっていうのかな…

 

 

 ルキノが前に、いつまでお互いくんさん呼びしてるのって言っていたことを思い出した。

 

 

 これからは、結衣菜って呼び捨てしちゃう?

 

 部活では、部員仲間には結衣菜って呼ばれているみたいだけど…

 

 部員と一緒呼びは、どうなん?

 

 ゆいピーとか?

 

 …うーん

 

 あ、逆から呼んで…ないゆ?

 

 ないゆ?

 

 ない、ゆ?

 

 ゆ、がない?

 ゆいなからゆをとり…いな?

 

 いな

 

 …

 

 なんかな…

 

 今度、なんて呼んで欲しいか普通に聞こっと。

 

 

 …今ごろ結衣菜さんは、お風呂なんだろうな。

 

 

 …オレも風呂入ろっと。

 

 基本、結衣菜さんの日常の行動パターンを把握しているオレ。

 

 え、キモいって⁉︎

 

 まぁ、こまめに連絡取り合っているとおのずとわかるんですよねー。

 

 お風呂と夕飯、寝る時間はだいたいオレと一緒…ではなかった。

 

 結衣菜さんと夜電するのに、何時がいい?ってなったときに、九時とか言われてさ…風呂の時間ってなって、結衣菜さんは帰宅後すぐにお風呂に入るらしくて、だからオレもそれに合わせて早く、風呂に入るようになった。

 

 

 そしたら、母さんがめっちゃ喜んだ。

 

 洗濯も風呂掃除も早くできる〜ってさ。

 

 今までは、早くお風呂入りなさいとか言われてたけど、今は言われなくなってむしろ感謝されている。

 

 

 結衣菜さんに感謝だ。

 

 

 結衣菜さん大感謝祭。

 

 …

 

 ただ言いたかっただけです…。

 

 

 そんなオレたちは、部活もやっと落ち着いて、久しぶりのデートをすることになったんですよ。

 

 

 もうさ、朝から落ち着かないのなんのってさ。

 

 学校の日は、起きるの辛いのにデートの日なんかは、目覚まし前に起きるよね。

 

 どうなってんだよ?オレの脳みそよ‼︎

 

 いつもこのくらい、目覚めよくしたまえよって、脳みそにクレーム入れてきました。

 

 え?クレーム入れておくの起くってその漢字違くね?って思いますよね。

 

 ええ、いいんです。

 

 脳みそが、えっ⁉︎

 ってなりましたよね。

 

 インプットさせたんですよ。

 

 そこがミソです‼︎

 

 脳ミソだけにね‼︎

 

 ってさ、オレはなにを脳内で脳みそと遊んでいるんでしょうね。

 

 くだらない。

 

 一気にテンションダダ下がる…わけないって‼︎

 

 もうさ、デートデートでウキウキなんですよ。

 

 遠足の前ですか?ってくらいです。

 

 

 ウキウキで家を出ると、玄関の外にちょうどルキノがいた。

 

「おっす〜冬希ー」

「あー、はよーっす」

「今さぁ、冬希ニッコニコだったよね?」

「そんなこと…あるんだよぅ。結衣菜さんってめっちゃかわいいよなぁ。」

「あー、なるほどね。これからデートなのね。いってらー、そしてわたしは、おじゃましまーす」

「はーい」

 

 ルキノは、オレの家に入っていった。

 基本ルキノは、週一のペースでうちにきます。

 

 

 

 おっと、いけませんね。

 

 ルキノと話してる場合じゃ、ございません。

 

 デートです。

 

 オレは、これからデートなんですからね♡

 

 

 続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ