名も無き神愛の最終塗布
セレクター「・・・この反応・・・ねえ、この世界からするんだけど・・・」
アジセピク「・・・この世界は・・・」
セレクター「何か知っているの?」
アジセピク「荒廃せし未来・・・塗布の世界」
「何故、この世界に反応が・・・?」
セレクター「荒廃した未来・・・じゃあ、あの世界のもう1つの未来って事・・・?」
アジセピク「そうです」
「・・・セレクター様、調査をお願いします」
「反応が誤作動では・・・目も当てられませんので」
セレクター「分かった、とりあえず反応を頼りに探してみる」
「大丈夫♪私強いから♪」
アジセピク「・・・お気をつけて」
・・・・・・
セレクター「到着ー・・・」
「っと、反応はこっちからか」
「そんで・・・怪物がうじゃうじゃいますよと・・・」
「まあ・・・一点突破するだけなんだけど!」
・・・・・・
ゲイスマルア「・・・む?」
「何だ、この気配は・・・」
「この世界のものでは・・・ない・・・?」
??「ん・・・どうしたんですか、立ち止まって・・・?」
ゲイスマルア「・・・私の傍から、離れるなよ」
セレクター「・・・いた、あそこか!」
「到着~!」
ゲイスマルア「貴様か、この反応は!」
セレクター「おーっと・・・もしかして、反応ってこの子から?」
「・・・あれ、そっち?」
セレクターが改めてみた先は、車椅子に乗っていた少女だった。
ゲイスマルア「手出しはさせん!」
セレクター「わわっと!?危ないなぁ・・・」
「・・・一応聞くけど、会話する気は?」
ゲイスマルア「・・・ふん、聞くだけ聞いてやる」
セレクター「ありがとう、少し安心した」
「・・・私は今、この水晶に反応している存在を探していて・・・」
「それが、そこにいる貴方」
??「・・・ボク・・・?」
ゲイスマルア「その話・・・本当だろうな?」
セレクター「本当だよ、それにこれは・・・」
「今此処にいる、私と君にしか反応していない」
ゲイスマルア「・・・なるほどな」
??「どういう事・・・?」
ゲイスマルア「この子には、最終塗布というものが備わっていてな」
「私達は丁度、そのために移動していたのだが・・・」
セレクター「なるほどね・・・だから反応したのか」
「ああ、ちなみに反応する条件だけど・・・」
「運命を変えられるほどの器を持つ・・・だったかな?」
??「運命を・・・変える・・・」
ゲイスマルア「・・・ふっ、やはりまだまだ、知らないことがたくさんある・・・」
「君の名前、何と言うんだ?」
セレクター「名前は・・・ごめんね。思い出せないんだ」
「けど、一応こう呼ばれているんだ、セレクターって」
ゲイスマルア「セレクター・・・分かった、君の過去に何があったかは聞かない事にしよう」
「一応聞くが、この子を担いで飛べるか?」
セレクター「お安い御用だよ♪」
ゲイスマルア「分かった・・・先に行っているぞ!くれぐれも安全にな!」
??「・・・あ、・・・えっと・・・」
セレクター「大丈夫♪お姉ちゃんが、キミを安全に運んであげるよ♪」
「・・・ところで、名前なんて言うの?」
??「・・・分かんない」
「もう・・・自分の名前も・・・忘れちゃったから・・・」
セレクター「そっかぁ・・・じゃあ、私と同じだね」
「私も、自分の名前分かんないし♪」
「それじゃあ・・・行くよ!」
・・・・・・
「よいしょっ・・・と!」
ゲイスマルア「2人共よく来てくれた」
「今はここの病院は稼働していないが、フルで動ける」
「セレクターの君も、手伝ってくれるな?」
セレクター「・・・で、具体的には?」
ゲイスマルア「最終塗布を完全に安定化させ、この子の意思で動くことが可能なようにする」
「とは言っても、今は精神の起伏を抑えているが・・・」
「お前達も頼んだぞ!」
「「「はい!」」」
ウミータク「聞いていたとおり、第一作業は私の得意分野」
「個々のパターンはこうなって・・・よし、出来た!」
カシカータ「第二作業は私の担当」
「正しく安定化させるのは骨が折れるが・・・今の私ならどうということは無い!」
カリユース「第三作業は私の出番・・・」
「いつも以上に頑張ってるつもりだけど・・・全然安定しない・・・!」
ゲイスマルア「セレクター!回復をかけろ!」
セレクター「よし!」
カリユース「ありがとう!よし、これで大丈夫!」
シツカイノ「状況は・・・よし、このペースなら大丈夫そうですよ!」
ゲイスマルア「終わるまで油断するな!」
ヒロスーマ「最終作業の準備は完了した、いつでも」
ロセヒータ「1・・・2・・・3・・・よし、最終作業に入ります!」
トーアモキ「変われ、巡る穢れ・・・新たな息吹へとその身を昇華せよ!」
シツカイノ「・・・反応アリ!成功です!」
ゲイスマルア「後は、最後に精神を基に戻すだけ・・・」
「ここからはセレクター、君の領域だ」
「・・・頼んだぞ」
セレクター「はい、分かってます」
「ありがとうございます、お疲れ様でした」
・・・・・・
??「・・・うう、ん・・・」
「あれ・・・ボクは・・・一体・・・」
セレクター「意識が戻ったみたいだね?」
??「・・・誰・・・お姉さん・・・」
セレクター「私の名前は・・・いや、私はセレクター、そう呼ばれているの」
「君と同じ、運命を変えることが出来る力を持っているの」
??「・・・なに、運命って・・・?」
セレクター「君の中にあった、最終塗布っていうの」
「意識して、それを私の前に出してみて?」
??「・・・?何言ってんの?」
「そんな事、出来るわけ・・・」
ズドンッ!
「えっ・・・?」
セレクター「なるほど、壁ドンされちゃった」
??「これ・・・ボクの力・・・?」
セレクター「制御できるなら、安心かも」
「貴方の器を見込んで、お願いがあるの」
「私と一緒に・・・この世界がどうして滅んでしまったか、探しに行こう?」
??「・・・え?」
「ちょっと・・・状況が整理できな・・・い!?」
少女の頭の中に、名前以外で記憶が流れ込む・・・
??「かはっ・・・!?」
セレクター「ちょっと!?大丈夫!?」
??「はぁ・・はぁ・・・だ、大丈夫・・・ちょっと混乱しただけ・・・」
「・・・そっか、もう・・・先輩は・・・」
セレクター「・・・先輩?」
??「・・・ううん!なんでもない!」
「・・・さっき、運命を変えることが出来るって言ってたよね」
セレクター「ああ、うん・・・」
??「頑張れば、過去も変わるのかな・・・?」
セレクター「どうだろう・・・」
??「・・・分かった、お姉さんについていくね」
「多分、ここにいてもしょうがないだろうし・・・」
「それに・・・お姉さん、ボク好みな見た目だもの♡」
セレクター「・・・そっか」
「立てる?お姉さんがお姫様抱っことか♡」
??「あ、そういうのは恥ずかしいからいい・・・」
・・・・・・
「これが、入り口かぁ・・・」
ゲイスマルア「我々が入れず、君達だけが入れるというのも、また不思議だな」
セレクター「短い間ですが、お世話になりました!」
??「ばいばーい!またね~!」
ゲイスマルア「・・・ふふっ♪」
・・・・・・
アジセピク「戻られましたか・・・!」
「・・・そちらが、新しい戦力の・・・?」
セレクター「そうだよ、名前は・・・思い出せないらしいけど」
アジセピク「なるほど・・・」
「失礼ですが、貴方は何故ここへ来ることを・・・?」
??「・・・ボクは多分、やり直したいんだと思う」
「先輩を、変わり果てた自分が殺しちゃったから・・・」
アジセピク「・・・なるほど」
「しかし、過去干渉を定着させることはほぼ不可能です」
「そもそも、今の貴方がいる状況では、過去干渉自体も不可能でしょう」
??「そっか・・・ごめんね、変な事聞いて」
「・・・そっちの目的、改めて聞いていいかな?」
アジセピク「了解いたしました」
「改めまして、私は第2025統治継承者、エデンマスター、並びに」
「名前を、アジセピクと申します」
??「へえー・・・凄そうなのは分かった」
アジセピク「お二人には、このエデン因果構響領域・・・通称で、エデン領域を守ってほしいのです」
「このままでは、世界再生機能の弱体化と共に、歴史がこれ以上紡げなくなってしまいます」
「そこでお二人には、エデンハンターの撃退・・・及び、それに繋がる人員を補充して欲しいのです」
??「・・・オーケー、分かった」
「要は、ボクたちがヒーローになって、世界を救えばいいって事でしょ?」
「そんなの、やらなきゃ損じゃん」
「もしそれでボク達の運命が変わるなら、一石二鳥になるかもしれないし♪」
「ボク、それが終わったらおねーさんと一緒に・・・♡」
セレクター「あはは・・・まあ、協力的なのは良い事かな?」
アジセピク「では、この方にも仮で名称を施しますね・・・」
「コンバーター、変化、変わりゆくものの意味を指す」
「よろしくおねがいしますね」
コンバーター「こちらこそ♪って、なにこれ・・・!?」
「力が・・・湧き上がっていく・・・!?」
アジセピク「名称を与えるとともに、色々と強化を施しておきました」
「これで、貴方もセレクターと同じくらいの強さになれるはずです」
コンバーター「やったー!ありがとう!」
セレクター「ありがとうね、アジセピク」
「それじゃあ、次の反応を探そうか・・・」
3つ目は当然、あの機械です。