異世界転移
夜の闇が深まるにつれ、東京の街は静かに、しかし確実にその日常を閉じていった。
高層ビルの窓一つ一つが光を消し、街角のネオンサインは色とりどりの光を放ちながらも、次第にその輝きを弱めていく。
そんな夜の帳の中で、古いアパートの小さな部屋の中で、水野亜美は机に向かっていた。
壁には世界中の風景写真が飾られ、本棚には古今東西の文学作品が並び、亜美の個性を表している。
机の上には大学の教科書が広げられ、彼女は眉を寄せながらも、必死に勉強に集中していた。
時計の針が零時を指し、亜美は勉強を終えて、ベッドに向かった。
部屋の灯りを消し、彼女はベッドに横になり、目を閉じる。
(おやすみなさい)
心の中で呟くと、亜美の意識は徐々に現実から離れ、夢の世界へと誘われていった。
夢の中で、亜美は自分がまったく異なる世界にいることに気づいた。
そこは、彼女がこれまで見たどの夢とも異なり、鮮やかで、生き生きとしていた。
空には星が輝き、地平線は遥か彼方まで広がる草原が広がっている。
古代の遺跡のような建造物で構成されていた。
そして、その夢の中で、亜美は初めて彼に出会う。
「やっと見つけた……」
青年は自らをレオンと名乗った。彼の姿、その銀髪と青い瞳は、神聖な輝きを放っていた。
レオンは亜美に向かって言った。
「あなたの力が必要です」
その言葉は、亜美の運命を変えることになると、彼女はまだ知らなかった。