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相国立志伝(仮題  作者: 神前成潔
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見た目はお坊ちゃま

本日、早速技術革新のフラッグを立てました。というか、この時代に彼が立てる技術革新はこんなもんじゃすまないんですけどね。(てゆーか、ペニシリン系抗生物質ってみんな実験で作ったことあるでしょ?)

  垣屋光成が生まれた年は諸説有るが、概ね「1520~1523」の間だというところまでは知っている。だから自分の今の年齢(つったって数えなんだが)から逆算すれば概ね今が何年かは見当が付く。……まあ問題は、歴史の大きな流れまでは覚えていても、具体的に誰がいつ何処で戦ったかの年号月日までは正直覚えちゃいないんだが、その辺りは「世間知らずのお坊ちゃま」の振りをしてうまいこと周囲から聞き出せば良い。少なくとも、まだ元服前なんだから信長は生まれてないだろう。

「して、もう幼名で呼ぶのはまどろっこしいから元服前とはいえ光成と呼ぶが、光成よ」

「はい」

「どうじゃ、茶の味は」

「……濃いですね」

「ほう、その齢で苦み以外を感じられるか。それは重畳。良い烏帽子相手となれそうじゃ」

「ははっ」

「……で、じゃ。少し続成と密談がしたい故、席を外してくれるか」

「畏まりました」



「おや、若。茶会はもう済んだのでござるか?」

「いや、お殿様が祖父上と密談したいって言ってたから席を外しただけ。呼ばれたら戻る」

「……然様で。……ところで若」

「なんだ」

「例の「薬」とやら、本当にあれは薬なのでござるか?」

「どういう意味だ」

「いや、カビから薬が出来るとは、到底思えませぬので」

「……大陸では、御器齧ごきぶりとか蜡蟲うじむしとかが薬として使われているらしいでな、カビくらいなら大丈夫だろ」

「……どこでお知りになりましたか」

「少し、文献を漁っていた時に流し読みを、な」

  嘘だ。私は未来人だからな、漢方製剤の原料というものがかなりトンチンカンなものを使うことを知っているだけだ。第一、漢方って名前は当時無い、ってこともな。そもそも漢方っつーのは江戸時代に作られた言葉で、オランダ、つまりは西洋医学の蘭方に対して伝統的医学のことを漢方って言うようになっただけで、この時代の漢方は概ね「本草ほんぞう」という呼び方が正しい。そして、上で会話した「カビから作られる薬」、察しの良い方は概ね見当が付いたと思われるが、私は某いおりんと違って端っから歴史を変えることに未練が無いからな。この時代にペニシリンとか作れたら大いに戦略物資にはなるだろ。

「して、若。この薬は如何様にして使うのでござるか。胃袋の酸とやらに負けぬように水薬を詰める方法、我等には到底……」

「まあ、その辺りは追々考えるさ。まずは、患者に一筆起請文を書かせた上で注射療法を行う予定だ」

「……ちゅうしゃ?」

「んー、まあ要するに、血管に直接薬を入れる方法。静脈だったら多少穴開けても自然に止まるから、問題は無いはずだ」

「……じょうみゃく?」

「……後で説明する。ひとまず、人間の血管には心臓から勢いよく流れる管と心臓に帰ってくる勢いのない管があるということだけ覚えて置いてくれれば、それで」

「……畏まりました。若は物知りでござるな」

「この程度の知識、文字通り児戯だよ」

「……はあ」

  ……この時、今思い返せば抗生物質にせよ、もう少し後で発明する蒸気機関にせよ、もう少し技術革新に手心を加えた方が良かったかも知れない。とはいえ、当時は生き残るのに一所懸命でそこまで配慮が行くはずも無く。そして、当時の暴走を振り返ってみたら、因果応報って本当にあるんだな、と。

……うん、やはり素組み工法+革新系仮想戦記というのは非常に私にとって相性の良い執筆方法だ。……まあ、そんなことは輝鑑(ノベルアッププラスにて好評掲載中)で判っていたことではあるけども、しばらくはこれで日刊も続きそう。(えぇ~、本当でござるかぁ~?)

→現在、第三話執筆中。倍速をしたら途中で息切れになることを承知の上で5/3~7の間はこの枠に限り(限るな)08時&18時に更新を行うかもしれない。(……無論、間に合えばの話ですが(dsynー))

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