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相国立志伝(仮題  作者: 神前成潔
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ナーニソレ次元から来た人

えー、「輝鑑」とは異なる物語です。……これはきちんと言っておかなければならないので、供述致します。

方向性、作者、舞台に至るまで、全て同じですが、改変点の違いとプロット、まあこれは輝鑑にもなかったわけですが、が新規作成であることを理由に、「輝鑑」とは異なる物語であるとここに宣誓致します。

……輝鑑世界では、垣屋続成が暴れましたが、今度は垣屋光成が暴れる予定です。……そこ、いつものことだろとか言わない!

……一番迷ったのは本文ではなく題名なのは、もう自分のネーミングセンスを信じていないので。

  ……正直、今でも迷っている部分はある。祖父続成のように無念の内に自害したわけでもなければ、嫡子恒総のように選択を間違えた結果自害したわけでもない、個人単位で見ると非常に巧みな外交戦術で乱世を凌ぎきった武将に逆浦転生したというこの事実。史実をよく知らないにしても、そのまま行けば垣屋光成という武将は安定した生涯を終えたことができたはずである。記録の上ではそうなっている上に、そもそもそれが介入者なき事実である以上は、私が介入することで却って損益計算の上では損を引くことになるのではないか、と。

  ……だが、そうは問屋が卸さないようで、私は今戦国乱世にいる。幸運なことに、私自身は割と恵まれた生まれである。垣屋光成という存在は、決して弱い立場でもなければ、無能者とも言い難い。それは光栄でもそこまで非道いステータスを与えられていないことからも、ある種「使い勝手が良く、乱世を巧みに泳ぎ切ったモブ」の証拠であると言えよう。そこに、私の存在だ。光成さん自身の意識が何処に行ったのかは知らないが、眼前の祖父は父が早くに死んだこともあって厳しい躾をしようと思っているのかもしれないが、私はこう見えて、三十路に近い年齢である。そして、兄弟が居ない、もしくは居ても庶子である以上は、私以外に家督を譲る相手は居ないはずである。故に、どうしても甘くなる。そして、目下の問題は祖父への対応ではなく、重大にして不可欠な悩みが存在する。

  ……今一人、眼前に存在する但馬守護にして祖父の上司である、山名祐豊という人間の存在である。彼も亦、甥豊国同様に決して無能というわけではない。少なくとも、山名家の当主という存在は家柄だけで務まるほど甘いものではない。如何に応仁の乱で衰退したとはいえ、かつては山名宗全を輩出した程の武闘派である、当然のようにその領国は(喩えそれが私達のような守護代・近臣・国衆の働きあってのものとはいえ)きっちりと運営されていた。さすがに、簿記などの技術が必要なほど纏められているわけではないが、この時代に(喩え書いてある帳面が大福帳とはいえ)預金通帳らしき書留があることには仰天した。……いや、もちろん預金通帳ではなく誰それの借金の証書などが紙幣として扱われていたり、あるいは銀貨と銅貨他の為替の記録が書き留められているだけなのだが、それもまた紙幣として扱われており、情報財とはこの当時から存在する証拠として差し押さえたい程度にはうずうずしている。

  ……さて、そろそろ独白も辞めにしよう。茶が温くなる。

「どうぞ」

「うむ」

  この時代、まだ茶道が確立されていない影響もあって(意外かも知れないが、私と茶道の祖こと田中与四郎はせいぜい2,3歳しか違わなかったりする。ゆえに私、の外の人である光成さんが元服前の茶坊主である現状、せいぜいまだ千利休はもちろんのこと千宗易すら名乗っては居ないだろう)少しでも堂に入った所作さえすれば作法通りでなくともそれなりに通用するのだ。……え? テメェはどこからその堂に入った所作を身につけたって? ……母親が華、琴、茶の三種の免許を持っていたのでね、知識だけかっぱらってきた。それに、元服前の小僧が知識ありでここまでできたらそれなりに過大評価してくれるだろ、って話。

「して、続成よ。そろそろ嫡子の元服も迫ってくる頃じゃ、烏帽子親は決まっておるのか?」

「は、畏れながら……」

「まあ、本来ならば父親が決めるものであろうが、続貫は惜しいことをしたの」

「……はい」

  あ、続貫ってのは光成さんの父親のことね。眼前の続成さんが光成さんの父親だと間違われることも多いけど、一応光成さんは続成さんの孫です。続貫さんがなんで死んだかは、また後で話します。

「そこで、じゃ。……補填というわけではないが、決まって居らぬのならば、儂で良いな?」

「!! まことにございますか!?」

「戯れでこんなこと申すか」

「……それでは、殿にお願い致しまする」

「おう。名ももう決めてある」

「はっ、して如何なる」

「光成じゃ。何でも唐の姓名判断とやらではそれが一番画数が良いらしいからの」

「有り難き幸せ、それでは……おい」

「ははっ」

「元服式まで時はもうそんなに無い、今からではないが、おぬしの諱は「光成」となる。覚えて置けよ」

「ははっ」

  ……うん、ここまでは史実通りだ。そして、史実通り進めば私は生き残ることが出来る。だが、そんなレールの上を走るのは生かされていることと同義、第一嫡子の恒総は史実通りならば私の死んだ後に自害するではないか。故に、その歴史は変えさせて貰う。見てろよ、史実。端っから天下統一なんか目指せはしないことは判っているが、死ぬ間際に至るまで、お前より上を行ってみせる。

5/3-05:23、末尾の展開を大きく変えてみる。元服式の愚痴もまあ、面白いだろうけども(故に参考登録が付いたと思われる)初期の展開を今のうちに変えておいた方が修正は容易と判断。

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