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もしも明日、手紙が届いたら。  作者: 今井マイ
9/13

9通目

どうしてあんなことしてしまったのか。



(ここまで読んでくれた物好きな方にはわかると思うが、このくだりは2回目である。恥の多い生涯を送って来ました。)


寝て起きて正気に戻ったが、元気かと聞いていきなり泣き始める人を見てどう思うか。そりゃあドン引きである。いくら優しい人間でも、人を励ます時には体力と心構えが必要である。学生時代に「聞いて欲しい」というLINEが来たら、まず未読スルー、ご飯を食べてお風呂に入って布団に入って初めて「どしたん?話聞くよ?」と返していた。

つまり一言でいうと明らかに「メンドクサイ」と思われたということである。


人の都合考えないで相談してくる女、嫌いだったな。あ、私か。

ベットの上で転がり周り頭を打ち付けていると、カノンさんからメッセージが来た。


それは昨日の件で心配だという話、良かったら家まで顔を見に行きたいという話だった。


また泣いた。神様だと思った。

これほどまで他人に干渉してくれる人間に初めて会った。どうして私なんかに。

カノンさんには何度か車で送って頂いたことがあるので家の場所は知られている。私もカノンさんに会いたいと思った。


でも、断ることにした。


それは何故かというと、鬱でひきこもり始めてから早3か月、髪を切っていないのでボサボサ、容姿も気にしていなかったのでとてもじゃないが人前に出れない。

そして何より、やつれてみすぼらしい姿をカノンさんに見られたくなかった。

しばらく悩んだ末、昨日の謝罪文と一緒に会うことはできないという趣旨をメッセージで送る。これで良かったのだという気持ちと会えなくて悲しいという気持ちが拮抗する。

無事送信できたことを確認し、私は再び眠りについた。


5~6時間ほどして目が覚めた。あたりはすっかり茜色の夕日に包まれていた。

どうやら母親が扉をノックする音で目が覚めたらしい。


「みなちゃーん、100均の時のカノンさん?がいらしてお菓子置いてったよ。びっくりしちゃった」

カノンさん!?慌てて扉を開けて受け取ると、スーパーのビニール袋だった。布団の上で袋をひっくり返してみると、スポーツドリンク、栄養剤、ファミリーパックのチョコレートが入っている。まるで風邪の人に持ってくるみたいな内容だな。少し笑った後また涙が出てきた。

袋に何か違和感があった。まだ中に入っているらしい。広告かな?と思い出してみると、一通の封筒があった。


手紙である。


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