第99話 甘い記憶
「ふわぁ……」
と、欠伸をした敦也が、起きたのは夕方の六時頃だった。
「…………」
辺りを見渡すと、夕日の射した光がカーテンの隙間から部屋の中に入ってくる。
「あれ? ゆーねぇーは?」
と、目を擦りながら唯を探す。
「すー、すー」
と、ソファーの下に敷いてあるマットの上で寝ている唯がいた。
「ゆーねぇー、ご飯食べよう」
と、敦也は唯の体を揺すって起こそうとする。
「ん、んー……。あーちゃん?」
と、唯はゆっくりと目を覚まし、視界に入ってくる敦也の顔を見る。
「あーちゃん、どうしたの?」
「お腹空いた……」
「うん……」
と、唯は両手で敦也の顔を掴んで、敦也の唇に自分の唇を重ねる。
「んー、んー‼」
と、いきなりキスをされた敦也は、暴れだす。
「ゆーねぇー、何するの?」
「ん? ご飯だよ?」
と、唯は頬を赤くしながら答える。
「ゆーねぇー、おかしいよ。大丈夫?」
「うん、大丈夫、大丈夫」
と、言いながら、起き上がって、再び敦也にキスをして、抱きつく。
「んっ、んっ……。どーお、あーちゃん?」
「はずかしい……」
と、敦也は答える。
真面な答えである。
それで、唯は敦也を求め、何度も気が済むまで、唇を重ねた。