第98話 二人っきりのお留守番
二人が姉弟になって、一年が過ぎた頃——
「敦也、唯。ごめんな。今日は、ちょっと、帰りが遅くなるかもしれないから、大人しく、家でお留守番できるかい?」
「うん!」
「分かった! あーちゃんは、私が守ってあげるから大丈夫!」
胸を張って、唯は言った。
「そうか、そうか。じゃあ、言ってくるからね。ご飯とかは、コンビニ弁当を買って、テーブルの上に置いてあるから、それを二人で一緒に食べるんだよ」
「はーい!」
「じゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい!」
「がんばって……」
唯と敦也は、修二を玄関で見送って、家の中は二人っきりになった。
「あーちゃん、何して遊ぶ?」
「ねる」
と、敦也は歩いて、リビングに向かう。
「なんでー? あーちゃんと私、二人なんだよ。遊ぼうよ!」
と、唯は後ろから抱きついて、敦也の歩く先を妨害する。
「いーやー、ねーるー!」
敦也は、ソファーまで何とかたどり着くと、横になる。
「んー!」
と、唯は、頬を膨らませて、怒っている。
「だったら、テレビ見よ!」
「……好きにして」
「分かった!」
と、唯は敦也の隣に座り、リモコンで電源を入れ、テレビを点けた。