第93話 時には昔の話でもしましょうか
「でも、不思議よね」
「何が不思議なのですか?」
「だって、四人共、血が繋がっていないのに、普通、姉弟仲良くなって行けないじゃない? 私にも、弟が一人いるけど、あんた達みたいにイチャイチャするような仲じゃないわよ。毎日、喧嘩している感じ」
「別にイチャイチャしているわけじゃ……」
否定する唯。
「ねぇ、教えなさいよ。どうやったら、あんたと敦也君が、仲良くなったのか。私、気になってしょうがなかったのよね」
「俺と唯姉の関係の事か?」
「そうそう! 第一印象とか、あるはずでしょ! どうやって、出会ったのか、知りたいのよね」
「部外者は黙ってください!」
恥ずかしそうにしている唯。
「それだったら、ない事はないけど……。まだ、里菜姉と咲弥姉が家族になる前の話だな」
「やめてください! あっちゃん、それ以上、話しては!」
「ほーら、動かない、動かない。敦也君、話してもいいよ」
穂乃果は、唯の脇をがっちり両腕で固定して、敦也の話を妨害しないようにする。
「あれは俺が三歳の頃だったと思う」
「おお、それは結構、昔な話ですなぁ……」
「ああ、あれは、三歳の時のとある日だった——」