第91話 目の前に現る二人の少女
「それにしても疲れた……」
川のプールの端の方で、一人、ゆっくりとして、疲れを癒していた敦也は、後ろに置いてある小さな岩に背中を預けて、全身浸かっていた。
(でも、まぁ、こんな施設で、練習後にこうしたきれいな川に入れるなんて、ラッキーだな。水も透き通って、中まではっきりと見えるし、自然のプールも悪くないな)
周りは、水で遊んでいる他の学校の生徒や先輩達の姿もちらほら確認できる。
(さて、時間が来るまでゆっくりしておこう。明日も一日、練習あるからな……)
冷たい水をアイシング代わりにして、体全体を冷やす。
「隣、いいですか?」
と、誰かが声を掛けてきた。
「なんだ、唯姉と松田さんか……」
「あっちゃん、『なんだ』はないのではないでしょうか?」
「え?」
唯に指摘されて、戸惑う敦也。
「そうだよ、敦也君。一生懸命、水着を着た女の子にそれはないと思うな? ほら、感想言ってみ。感想」
「穂乃果さん、別に私は!」
「え~、いいじゃん! 感想を聞くくらい、罪じゃないんだし……」
穂乃果は、唯の背中を押す。
「ほら、敦也君。感想は?」
「そうだな。二人共、可愛いと思うよ」
「あ、ありがとうございます……」
顔が赤くなる唯。
「普通の感想か、つまんないの……」
文句を言う穂乃果。
(他になんて言えばいいんだよ……)
それを聞いた敦也は、はぁ、とため息を漏らした。
「そんな事より、そこで立っているだけじゃ、疲れは取れないだろ? 座ったらどうだ?」
「そうですね。そうします……」
唯は、敦也の隣に腰を下ろし、その隣に穂乃果が座った。




