第86話 試合後
敦也・拓のペアは、惜しくも5―7で敗れた。
「疲れたぁああああああああ!」
と、脱力感が襲ってきた敦也は、悔しいというよりも疲れが溜まっていた。
「それにしても……。まぁ、いいんじゃなかったの? 俺は、負けたのには納得していないけど……」
「そうですね。もう少し、二人の域があっていれば……。あるいは、勝てたのかもしれないですね」
「だな……」
敦也は、芝生の上で、大の字になりながら空を見上げる。
「お疲れ、そこそこ、まあまあな動きだったよ」
と、咲弥が飲料ペットボトルを差し入れしてきた。
「冷てぇ!」
と、ごくごくと飲む敦也。
「で、あっくんは久々のダブルスはどうだった?」
「ん? そうだな。やっぱ、一人の方が動きやすいな。でも、拓とのペアも悪くはない」
「そう。だったら良かった」
敦也の隣に座って、まだ、コートで試合をしている選手を眺める。
「そう言えば、里菜姉の方はどうだったの?」
「気になる?」
「そうだな。結構、気になっていた」
どうやら、敦也も里菜の事を気にしていた。
「唯と里菜、思いっきり殴り合っていた」
「はい?」
「わぉ!」
咲弥の言葉に二人は、驚く。
「いや、殴り合いというよりもお互いに頬を一発、ビンタしていたかな?」
「何やっているんだよ。あの二人は……」
言葉にもならない。
「で、その後、どうなったの?」
「里菜が立ち直って、逆転した」
「すげぇ、としか言いようがないな」
「本当に里菜は、唯のビンタで立ち直るなんて、理解不能。データにできないから困る」
「あはは……。そうだね」
敦也は、本当の事だから何もいう事がない、と思った。




