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第85話 スッキリした
「——っ……」
と、左頬を触りながら、自分を平手打ちした唯を見る。
「どうですか? 少しは頭が冷えたでしょう。もう、いいんじゃないのですか? 視野を広く持ちなさい。今、私があなたにしてあげられることは、これしかできないです。本来であれば、蹴とばしてでも、あなたと交代して、出たいところですが、これはあなたの試合ですので無理です。分かっていますよね」
「うるさいわよ……」
と、小声で言う。
「何か言いましたか?」
パンッ!
と、唯の左頬を平手打ちした。
「ふぅ……」
ゆっくりと、息を吐き、そして、唯の方を見る。
「あーあ、スッキリした!」
里菜は笑顔で言った。
「あなた、さっきのビンタ思いっきりやりましたね」
「あら? 最初に手を出したのは、どっち?」
「ふ……」
「ふ……」
「「ふははは……」」
二人は笑う。
「どうやら、落ち着いたようですね」
「まぁ、このまま、無様な試合をしたら、この後のお楽しみも楽しくないからね」
「そうですか」
と、唯は立ち上がって、里菜の背中をバシッと叩いた。
「なら、ここで負けるわけには行かないですね」
「ええ!」
里菜は、コートへと向かった。




