第83話 開始の合図
「あらぁ? 私の相手は里菜、あなただったの。だったら、面白くない試合になりそうね。まぁ、私は別にいいけど」
「くっ……」
里菜の機嫌は、さらに悪くなる一方である。
「それに……監督代理が、あの子じゃあ、伏見って、そこまでない高校なのね。それじゃあ、始めましょうか?」
姫路の挑発に里菜は、グッと堪えて、我慢している。
「その顔、その眼つき、怖いからやめてくんない? ああ、それと、これだけは言っておくわ……。あなたでは、私に勝てない。それだけは言っておくわ」
里菜と姫路は、握手を交わし、それぞれ、軽くサーブを打ちながら、ウォーミングアップを開始する。
(ああ、これは非常にまずいですね。どう見ても分が悪すぎます。あの子ったら、試合開始前から集中していないですね。相手が姫路さんなら尚更、悪化していますね)
ベンチに座って、里菜の様子を見ながら、唯は、相手ベンチに座っている人物を見る。
(どうやら、向こうは、私と同じくらいでしょうか? 監督代理というのも、大変なものですね)
ウォーミングアップが終わり、試合開始の合図が鳴った。
「どうやら、女子の方は始まったみたいですねぇ。僕としては、今回、調整みたいな感じで、あなたの動きを見ながら、進めていこうと思うのですがどうでしょうか?」
「俺もそれでいいよ。元々、俺はダブルスというよりも、シングルス派だからな」
「分かりました。では、とりあえず、相手の出方を見ることにしましょうか」
二人もまた、試合に集中する。




