第82話 ペア
「それにしても、団体戦のダブルスが僕達二人、選ばれると思いませんでしたよ。てっきり、二・三年生主体で行くと思っていたんですがねぇ。これは、どういう考えなのでしょうか?」
「知らねぇーよ。俺は自分の試合よりも女子の方が気になるな」
「ああ、そう言えば、敦也君のお姉さん、里菜さんでしたっけ? その試合が、気になるのですか?」
「まーな」
敦也と拓は、第三コートのベンチで準備をしながら、話をしていた。
「僕には、同じ一年生の対決は、そこまで気にならないと思うのですが、うちの女子の中では、二、三年生を差し置いて、里菜さんは三年の工藤さんといい勝負ですよね。相手である青蘭の一年生は、里菜さんより強いのですか?」
「現時点では分からん、としか言いようがない。去年までだったら、里菜姉の方が少し上だっただろうな」
「なるほど、相手は、同じ中学だった方ですね」
「あれ? 俺、お前にそんな事、言ったか?」
「いえ、言っていませんよ。今までの話の中で、僕なりに思っただけです」
「お前、底が知れないな……」
靴紐を結んで、ラケットを持つ。
(里菜姉の事だから、唯姉に任せておけば、たぶん、大丈夫だろう……。さて、こっちは……)
敦也が見る先には、木崎がいた。
敦也にとっては、合宿初日から当たりたくない相手だった。
(さて、ダブルスでどこまでやれるのかねぇ……)
伏見高校と青蘭高校の試合が始まる。




