第80話 唯の心配
弁当を食べ終え、時間まで近くを歩くことにした敦也は、一人でいた。
歩いていると、誰もいないベンチを見つけ、そこでゆっくりとする。
(静かでいい……。ここならゆっくり休める……)
と、一人で気持ちよさそうに風に当たりながら目を閉じる。
「こんな所で、どうしたのですか?」
と、誰かが声を掛けてきた。
目を開けると、そこには涼しげな表情をした唯が敦也を見下ろしていた。
「ん? ああ、ちょっと、一人になりたくてね……」
「そうなんですか。なら、隣、失礼しますね」
と、敦也の隣に座る。
「どうかされましたか? 里菜と同じように顔色が悪いですよ」
心配する唯。
「そうかな? 里菜姉の方が、もっと悪いと思うけどね。あれは、相当、いがみ合っていたと思うよ。あれは、一人にしておいた方がいいね」
「そうですね。一緒にご飯を食べたのですが、一言も話しませんでした。あの子にとって、因縁の相手ですからね。よりにもよって、午後の最初から青蘭が相手になるとは思いませんでした。あっちゃんは、どう思いますか?」
「難しいが、もし、出るとなれば、色んな事を試したいかな? 別にこれで最後というわけではないし、どーせ、咲弥姉が俺達のデータを取ってくれているんだろ?」
「そうですね。難しい事は考えないようにしておきます」
二人は、それから時間になるまで、ゆっくりと話していた。




