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第72話 飛び交う思惑
映画が始まった瞬間、天井は暗くなり、大きなスクリーンに映像が流れる。
この映画を楽しみにしていた人は、どれくらいいただろうか。
敦也もその一人である。
広告CMが終わると、ようやく本編が流れる。
「楽しみですね。一応、予告動画とかは見たのですが、特にラブシーンが、私は気になります」
耳打ちで、唯が言う。
「あ、うん。それはそうだな。俺も楽しみにしている」
敦也の頬が赤くなる。
(それにしても、俺の予感が正しければ、今回の映画は、一人で見たかったんだよな。薄々、感づいていたけど、平常心でいられるのか?)
(ふふふ……。逃がしませんよ、あっちゃん。この映画は、事前に予習済みです)
(何か企んでいる。唯、さっきからおかしいのよね。でも、私は負けない)
(あああ、なんでじゃんけんで負けたのかな? これじゃあ、完璧にアウエーじゃない!)
四人の思惑が飛び交いながら、映画は、少しずつ進んでいく。
この後、どうなるのかも知らないで——




