第71話 当初の目的
昼食を済ませた後、大型ショッピングモールに来た敦也達は、両親と別行動をする。
「それにしても、ここは人が多いですね」
「まぁ、仕方ないよ。ゴールデンウィークだから、人が集まってもおかしくないし、それにこの時期のアニメ映画は、特に子供が多いからな」
と、敦也は、映画館内にある機械で、番号を打ち込み、四人分のチケットを手にする。
「上映時間まで、後十五分くらいしかないけど、どうする? もう、入る? それとも、売店に行く?」
「ちょっと、待ってください! その前に、誰が、あっちゃんの隣に座るのか、決めますので!」
「そういう事、さすがにこれは、決めないと不味いでしょ!」
「同意。でも、席は二つだから、確率は三分の二」
腕まくりをする彼女たちは、朝のじゃんけんより張り切っている。
今、敦也が持っているチケットは、四人が座れるファミリー用の席である。
本来であれば、中央の前に通路がある場所を取りたかったのだが、その周辺の席は人気であり、販売終了していた。
よって、話し合った結果、現在、恋人や家族向けの席に決定したのである。
「はい、一抜けです!」
と、右手でピースをする唯が、笑顔で勝ち誇っていた。
「「じゃんけん、ポンッ!」」
と、残った二人がじゃんけんした結果。
「当然、私の勝ち」
最後に勝ったのは、咲弥だった。
これで、自動的に里菜が、一人負けして、ガクッと、肩を落としていた。
「決まったならいいけど、俺、飲み物とポテト買ってくる」
「また、食べるんですか? 本当は飲み物もいけないんですよ。見ている最中、トイレに行きたくなったら、どうするのですか?」
「大丈夫、大丈夫。俺、毎年、この映画、見ているけど、途中でトイレに行ったことないから」
そう言って、敦也は、フードコーナーで、オレンジジュースのLサイズとポテトを頼んだ。
「まぁ、いいんじゃない。男の子は、この歳になると、食べ盛りなんだよ」
里菜は、唯に諦めなさいと、右肩に左手を置いた。
敦也は、お盆を持ったまま、売店へと一人で向かってしまう。
「あ、待ってください! 一人だと迷子になってしまいますよ!」
三人は、敦也を追いかけて売店へ行く。
「なるほど。さすが、人気漫画を毎年映画にする事だけはある。公開一カ月も経っていないのに、グッズがもう、半分以上もないなんて……。さすがだ」
敦也は、褒めていたが、内心、自分が欲しいものがなくて、ガッカリしていた。
「はい、入場するよ」
「お、おおお!」
里菜に引っ張られる敦也は、入場の列に並ばされて、劇場1と書かれた場所へと入り、チケットに書いてある番号の席に座る。
席の前には、飲み物などを置ける簡易的なテーブルがあり、奥に里菜が座り、唯、敦也、咲弥の順に座った。
そして、数分後、映画が始まった。




