第63話 息が合う、男の夢
ゴールデンウィーク五日前——
「来週から十連休になるが、以前言っていた通り、三年生にとっては最後の合宿になる。日程は、二泊三日。合同合宿になるから気を付けるように、後、宿題はできるだけ、終わらせておけよ。連休明け、提出しなかった奴は、説教だからな」
と、男女テニス部の顧問である須藤雅人が言った。
「場所は、毎年、この街から車で約四十分の場所にある自然公園。移動は、親御さんの車に乗っていくか、もしくは、足がない人は早めに言う事、荷物の事を考えたら、先生の車なら五人までなら乗れるからな。以上、解散!」
部活の練習が終わり、部員は道具を持って、部室へと向かう。
「へぇ、この部って、合宿があったんだな……」
「敦也は、この自然公園は知っていないだろ」
「あ、ああ。どういう場所なんだ?」
プリントを見ながら、敦也は、隣である康介に訊く。
「この自然公園は、広い芝生のグラウンド、野球場、芝のテニスコートが十二面、後は遊具がある。その他にも施設として、寝泊りが出来る大きな施設に、ログハウスが十個あるんだ」
「へぇ~」
「康介と俺は、何度か行ったことがあるんだよ」
「そうなんだ」
康介の隣にいる健斗が言った。
「それだけじゃないぞ!」
と、後ろから声がした。
そこには、三年の先輩たちがいた。
「最も、メインイベントと言われているのは、川だ!」
と、男子のキャプテンである三年の夏川大智が言った。
「川、ですか……」
なぜ、川なのかが分からない。
「その自然公園のすぐ近くに流れる川は、遊泳可能である。ちょっとしたプールみたいな感じの所が、あってな、毎年、練習終わりに遊ぶことが可能なのだ!」
「つまり、それは!」
康介が食い付く。
「そう、あの女子の水着姿を拝むことができるってわけだ! うちの部の女子は、レベルが高い。それに、他校の女子が加わるとすればどうなる?」
「なるほど、そういう事ですか!」
「そうだ、弓削!」
康介と夏川は、手を取り合う。
「「男の夢が、叶う!」」
二人は、息がピッタリだった。
(この二人、なんとなく、似ているよな)
敦也はそう思いながら、プリントを見返した。
夏のインターハイ予選【県高校総体】まで、残り一カ月。
三年生にとって、最後の合宿が始まろうとする。




